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『六代目山口組の激闘』
六代目体制発足から司忍組長出所までの軌跡を完全網羅した山口組版“広辞苑”。
週刊大衆特別編集
齋藤三雄監修
双葉社刊
定価1575円
(amazon.co.jp)
現在から六年前の〇五年は、ヤクザ社会においてビッグニュースが重なった年であった。とりわけ山口組、住吉会、稲川会の三大ヤクザ組織で大きな変革が集中した。
まず四月に関東でも有数の名家名門を傘下に持つ巨大組織の住吉会から慶事のニュースが聞こえてきた。住吉会の中核を占める住吉一家において七代目継承盃儀式が華々しく執り行われたのである。悠久の歴史を紡いできた名門の譜に、福田晴瞭住吉会会長の名が永遠に刻まれたのである。
つづいて翌月の五月には稲川会から突然の訃報が舞い込んできた。稲川会の創設者で初代会長を務めた稲川聖城総裁の実子であり、親譲りのカリスマ性を宿していた稲川裕紘三代目会長が病によって急逝したという。生前の稲川三代目はヤクザ社会全体の和平や安寧に奮闘し、また未来の繁栄を願って自ら旗手となって献身的に行動していた。それだけに、その喪失に業界からは別れを惜しむ声が寄せられ、後日に催された告別式にはヤクザ組織の代紋頭をはじめ多くの親分衆が全国から弔問に足を運んでいた。
さらに山口組でも業界を騒然とさせる動きがあった。五月のはじめ、五代目体制を支えていた司忍若頭補佐が、八年間も空席だった若頭へと就任したのだ。「宅見事件」以降、山口組では次期若頭に関する話題は、タブー視されていただけにそのインパクトは大きかった。
だが間もなくしてふたたび業界は震撼する。七月の終わりに山口組六代目の継承が決定し、また、その直後に同時に自身が率いてきた弘道会の二代目である高山清司会長の若頭就任も発表されたのである。それから、およそひと月後の八月二十八日、山口組総本部において六代目継承盃儀式が厳粛に執り行われて司六代目体制は勢いよくスタートを切った。
しかし、六代目継承からわずか三カ月後の十一月下旬に最高裁は、九七年に配下組員の拳銃所持事件で共謀共同正犯に問われた審理で上告を棄却するのだ。一審の無罪判決を破棄し、二審の懲役実刑六年を支持したことで司六代目の実刑が確定。そして十二月五日、司六代目は大阪府警に出頭し、そのまま大阪拘置所に収監されたのである。
こうした激動の〇五年を経て以降、三大組織を含めヤクザ社会には猛烈な逆風が吹きつけている。とくに山口組への風当たりは苛烈を極めたと言ってもいい。警察当局は、山口組史上初のトップの長期にわたる社会不在を組織壊滅の絶好のチャンスととらえたに違いない。しかし、司六代目のおよそ五年四カ月に及んだ社会不在の間も山口組は、「信賞必罰」「先人顕彰」「原点回帰」を徹底し、業界のリーダーとしての威厳を保っていたのである。
この五年四カ月間の山口組の動向を、本誌でもお馴染みのジャーナリスト・斉藤三雄氏が詳細に追跡し、丁寧にまとめた一冊がこのたび出版された。このおよそ四百五十ページの大著には、山口組の過去と現在、そして未来予想までが完全網羅されている。
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通信時報
通信時報編集部
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