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桜花賞の時期は毎年たまらなく憂鬱になる。世間では花見だの新歓だのと盛り上がる中、これ以上ないほどブルーな気分で桜が散るまでの一週間をやり過ごしている。


自分でもなぜだろうと思っていたが、おそらく誕生日が近いからではないだろうか。年を取ること自体はさほど何とも思っていないが、何も成し遂げないまま今年も一つ年を取ることに、一抹の焦りを感じざるを得ない。そしてそんなぼんやりとした不安を感じるからこそ、誕生日はもちろん、その時期に行われる桜花賞を満面の笑みで迎えることができないのだろう。


初めて見に行った中央競馬のG1レースはキョウエイマーチの勝った桜花賞だった。18年前、東大阪市のアパートに住み始めてまだ1週間、土砂降りの日曜日に俺は一人で阪急電車を乗り継いで仁川の阪神競馬場へと向かった。到着したのは15時近く。前座の梅田ステークスが発走し、その場内の歓声の大きさに田舎者の俺はたじろいだ。それまで小さな金沢競馬場しか知らなった自分にとって、初めて見る芝レース、直線の長さ、豊富な馬券の種類、すべてが新鮮だった。

改修前の阪神競馬場は「芝の千六、外枠不利」と言われていた。俺が当時、競馬の神と崇めていた山田雅人が執筆した競馬必勝本「セオリー」にもそう記してあったと記憶している。その頃の自分にとっては大川慶次郎よりも原良馬よりも誰よりも山田雅人こそが競馬の神であり、彼の競馬予想のスタイルは俺に大きな影響を与えた。「笑っていいとも」のテレフォンに山田がゲスト出演した際、トウカイテイオーの勝った有馬記念の実況を山田が再現し、客席の女性が全員ドン引きしていたのを当時少年だった俺は羨望の眼差しで見ていたのである。

外枠不利の桜花賞。あの日1番人気だったキョウエイマーチは18番枠、2番人気のメジロドーベルも16番枠と人気の2頭が揃って大外枠に入ることと相成った。俺は唯一神・山田雅人先生の言葉を信じて外枠に入ったその2頭をバッサリ切って4番人気のオレンジピールから馬券を買った。結果はピンク帽の2頭、キョウエイマーチとメジロドーベルで見事に決まり、俺の馬券は紙屑となった。確かその時からだっただろうか。山田雅人は神ではない、山田も同じ人間、同じ人の子なのだと俺が気付いたのは。

今年の桜花賞には強い馬が一頭いる。きさらぎ賞で牡馬を圧倒して桜に駒を進めたルージュバックである。前走の派手な勝ち方は歴代の牝馬と並んでも遜色はないだろうが、しかし一方でマイル未経験、多頭数未経験、ついでに関東馬と買いたくない材料がズラリと揃っているのもまた事実。おそらく単勝1倍台は確実だろうが、ここは同じ3戦3勝の関西馬クイーンズリングを本命としたい。対抗にはルージュバック、コンテッサトゥーレ。誕生日翌日に行われる今年の桜花賞、勝って祝い酒に舌鼓を打ちたいものである。

2015年4月12日
新爆

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