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「確定拠出年金」。

このちょっとカタい名前の制度は「退職金の前払い」であるということは、前回お話しました。

なんとなくわかりづらい、ややこしそうというイメージがありますが、この確定拠出年金にはいくつものメリットがあります。

従業員の側から見たメリット

普通、この制度は従業員よりも企業側にメリットが大きいと言われることが多いです。

なぜなら運用責任が会社から個人に移るので、会社は責任を逃れることができるけれど、個人は自分で運用しなければならないから大変だというのが一般的な見方だからです。

ところが私はちょっと違った見方をしています。「運用しなければならないから大変だ」という話題については別途詳しくお話したいと思っていますので、ここでは従業員の側から見たこの制度のメリットを少しお話したいと思います。

私が考える確定拠出年金の最大のメリット、それは「会社がつぶれても退職金はちゃんと受け取れる」ということです。

前回、たしか「確定拠出年金は退職金の前払いである」ということをお話しました。つまり今までは会社が積立てて管理してきたお金を、あらかじめ社員の専用口座を作ってそこに積立て、管理・運用は社員自体がおこなうということです。

したがって仮に会社がつぶれたとしてもそれまでに積み立てられたお金は個人の口座に入っていますから、完全に自分のものとして保全されます。

一方、確定拠出年金以外の退職金・企業年金制度であれば、会社が管理・運用するわけですが、運用自体が予定通りにいかなければ不足金が生じる場合もあります。

もし会社が破たんした時には退職金として積立てられていたお金は社員に配分されますが、本来支払わなければならない金額を下回るということも往々にして起こり得ます。

もちろん会社として十分な積立てがあればそういう心配はありませんが、会社が破たんするというような事態が起こるというのは経済環境自体も良くない場合が多いでしょうから、運用がうまくいっていないケースが多いであろうことも容易に想像されます。

結果として本来貰うべき金額よりも大幅に減額されることは十分あり得ます。過去に破たんした企業においてそういうケースが多くありました。

これに対して確定拠出年金はもう既に社員に支払われているわけですからそんな心配はありません。

もちろん会社が破たんすればそれ以降はお金をもらえませんが、これは確定拠出年金以外の退職金・企業年金でも同じことです。

「退職金前払い」ということの意味の大きさを実感していただけたのではないかと思います。

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