- 「桜の花が灰色に見えるのは…」
- 「神様が吹かした風?」
- 「地球の大自然に勝るもの…」
桜の季節が訪れると、
いつも思い出すことがある。
映画やテレビで活躍している女優で、
私の作品にも、多数出演している彼女が、
桜の木を見上げて、言った。
「生まれ変わったら、桜の木になりたい。」
「何で?」
「一年に一回、皆から『綺麗だ』と言ってもらえるから」
「……」
個性派女優として知られる彼女の、
正直な内面の声を聞いた思いがした。
日本人ほど、桜が好きな国民を、私は知らない。
桜が咲けば、木の下で、花見をし、
桜の季節には、桜もちを食し、
戦友を「同期の桜」と、唄った。
日本人が好きなのは、桜の他に、
花火とほたるがある。
全て儚いこと。
桜とほたるには、儚いという他に、
もうひとつ共通点がある。
それは、桜の花びらがヒラヒラと舞う速さと、
ほたるが飛ぶ速さが、同じ速度なのである。
科学的な速度計が無くても、
私達には、素晴らしい感覚が備わっていて、
心に響くスピードが感知できるようだ。
五感を使って生きる。
スマホに頼るのではなく、感覚を磨く。
何故ならば、
五感で感じなければ、その本当の良さは解らないのだから。
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