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やっぱり日本人には「戦略の階層」がない。|THE STANDARD JOURNAL

2015/01/14 19:36 投稿

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みなさん、こんにちは
和田です。

昨日のThe Standard Journal「 アメリカ通信」で
アメリカのテレビブランドVIZIOに言及しましたが、
驚いたとか、そう思ったとか、そして批判まで
メールで意見を頂いたのでブロマガでも書くこととしました。





私の家のテレビは子供の頃から日本製です。
これはほとんどの国民が同じだと思います。
自分のカネで買うようになってからはずっとソニーです。

中学、高校の頃には日本メーカーがアメリカのテレビ市場を独占どころか、
アメリカのテレビ会社がほぼなくなったというニュースを見ました。
戦争で負けたアメリカの製造業を日本が駆逐したのです。
自動車は政治マターでもあるので、家電は自由競争。
自由競争なら日本は負けない。
そう誇らしく思ってきました。

家電製品で海外ものを買うときはJBLのスピーカーやLINNのアンプなど
マニアックなオーディオものを選ぶときくらいだろうと思っていました。

それが2000年頃からです。
アメリカに行くとSamsungの大きな看板なんかを目にするようになり、
またたく間にホテルのテレビはSamsungかLGの韓国製に
切り替わっていきました。

私は海外旅行に行ったらおみやげ屋よりも
スーパーや量販店を見るのが好きですが、
SHARPやSONYの方が価格が高く、韓国製は安かったのが
だんだん同価格になっていき、機能では逆転されるようになりました。

日本のメーカー擁護論者は、為替や人件費のせいにしていましたが、
実際日本の家電メーカーのすべての利益を足しても
Samsung一社に敵わなくなりました。

このニュース見た時には、さすがに日本の経営者、
ホワイトカラーが単純に負けているのだ、と受け入れがっかりしました。
しかも国内の経済評論家たちも為替や
人件費のせいにしている状態は続いていたのです。
批判すべき言論や評論でさえこんなレベルなのかと二重にがっかりしました。

そこでアメリカ・カリフォルニア州でできたテレビブランドのVIZIOの話です。
昨年全米で売上はサムソンについで二位、販売数は一位なのです。
まだ、ブランドとして弱いので安いが高級品に見える装備だったり、
スマートテレビ機能を入れたりしているのです。

この会社が2002年に創業したベンチャーであり、
社員数はたった90人だというもの驚かせました。
ファブレスでほとんど台湾で作っています。
この点はAppleのiPhoneのようですね。
デザインと売り方だけに特化しているのです。
こんなことが可能なのです。

日本のテレビメーカーは外国の見比べると映像は綺麗ですし、
技術は確かにあると思います。でもたいして売れていません。

VIZIOの売り方はウォルマートやコストコにダンボールに入って並んでいます。
家電店での既存テレビブランドとガチで勝負しないのです。
韓国企業になら仕方ないどころかアメリカのベンチャーに敗北です。

日本の家電メーカーの社員は万単位だと思いますが、
わずか90人のVIZIOに負けているのは戦略のなさです。
まったく違う戦略で着々とシェアをとっているのです。
知名度が上がればそのうち高級品を販売する可能性もあります。

日本は技術はあっても、それを活かす戦略がないのです。
もう一つ加えると危機感がもありません。

奥山さんが『戦略の階層』を薦めているのはこの点なのです。
日本人は技術があるから大丈夫だとか言っていては始まらない。
戦艦大和やゼロ戦をつくる技術があっても
戦略がなければ惨敗してしまったのです。

企業なら売上をたて、利益を確保し
会社を継続繁栄させていくことが重要です。
敗北しているという事実を見ず、
為替や人件費の差にしている限り逆転はありません。

日本のメーカーの世界観は
日本製しか買わない日本人の住む日本一国しか見てません。
ガラケーでもそうでしたが、その日本は人口減なのです。
世界で売っていくことを考えねばなりません。

Samsungを誉めたくないですが、しょぼい韓国マーケットを無視して
アメリカが主戦場でここで勝つしかないと決めた差は大きいですね。
4Kや8K企画を技術面で成功させても、
このままでは日本メーカーが縮小し、
みなさんの買うテレビが韓国製か台湾製しか選択肢がなくなってしまう・・・
そんな可能性は高いのではないでしょうか?

ということで、これを読んでいる方には
自分の会社や自分の人生の
『戦略の階層』を組みたたて欲しいのです。

自分の戦略の階層においての弱点は何か?
年に何度も見直し手を加えて欲しいと思います。

( 和田 )

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コメント

経営についての批判一本に絞れば批判はそこまで大きくならなかったと思います。その部分については私も大いに納得しています。
これは戦略的にも戦術的にも失敗です。

問題は、経営の話と経済の話をごちゃ混ぜにしたことです。
残念ながら、経営と経済は別に語られなければならない事象です。ここでいう経済は、企業や家計等のミクロではなく国単位のマクロ経済です。

労働時間の話に対するツッコミ(生産性は単位時間あたり創出したの付加価値の量なので時間の長さだけでは意味がない)とはともかく、日本人の給料は高いという話(中間層の否定)、そして日本人はケインジアンが多いという誤った分析(むしろ新古典派的な人が多い)、この2点はマクロ経済の視点で見ると明確に誤りでありました。
最新の情報では、スティグリッツやクルーグマンなどによって、和田さんのおっしゃる新古典派経済学的な意見はほぼ完全に否定されております。

経営者は経営については詳しいのですが、マクロ経済についてはズブの素人がほとんどです。(これはクルーグマンも指摘している)
なまじお金が絡むので同じように見え、経営の視点でマクロ経済を語ってしまうのです。(見方によっては傲慢な思考)

経営の思考では、モノ(サービスも含む)を売って稼ぐことが重要ですのでつい、マクロ経済でも同じことを言いがちです。
ですが、マクロ経済では、モノを売ってそれで終わりではありません。モノが売れるということは必ず反対でお金を出して買っている人がいるということです。
当り前に見えますが、経営の視点では買った人のその後や財布の中身までは考えません。

マクロ経済の視点では、売った人と買った人がいて、差し引きすると0になるという見方をします。
金融資産も同じです。世界中の金融資産と金融負債を差し引きすると必ず0になります。会計的に言うと、国や世界全体をバランスシートで考えるようなものです。輸出入も同じです。
ですので、稼ぐ=支払うが同時に成立します。これがマクロ経済の世界観です。

そう考えると、労働者は同時に消費者、つまりお客さんでもあるのです。
なので、よく言われるGDPというのは、支出(消費や投資)と所得(分配)と付加価値(生産)は同じもの(GDP三面等価の原則という)であり、そこで発生したお金の取引量を図っている指標なのです。
稼いだ額でも間違いではありませんが、同時に支払った額でもあるのです。(経済成長とは、国全体のお金の移動量の増加なのです)

ですので、日本人の給料が高過ぎるから下げろというのは、GDPを減らせと言っているのと同等なのです。
何故なら給料を貰う側は同時に消費をする、いうなれば市場であり、その市場を縮小せよと言っているわけです。
今の日本がデフレ不況なのは、平均給与が下がり市場が縮小してより消費を抑制しているから(合成の誤謬)です。(人口減で経済成長している国があるので人口減は理由になりません)
ちなみに、日本の高度経済成長は、人口ボーナスの恩恵というよりも分厚い中間層の豊かな市場(需要)と需要に応じる生産性の向上(供給)によって達成された部分が大部分を占めます。池田勇人の所得倍増計画は正しかったわけです。

マクロ経済は経済の大枠であり、地政学のように大きな視点を求められるのが似ていると思います。
マクロ経済の本質をより詳しく知りたいのであれば、廣宮孝信氏の「国債を刷れ!」を読むことをおすすめします。考え方さえ柔軟で真にリアリストであれば、入門書として最適です。
そのあとはスティグリッツやクルーグマン、今注目のピケティでもいいと思います。

長々と失礼いたしました。

No.1 118ヶ月前
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