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Deligitimation:戦略用語解説シリーズ|THE STANDARD JOURNAL

2014/06/05 14:55 投稿

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和田です

昨日の「アメ通LIVE!」をご覧になって下さったかた、
ありがとうございました。
まだご覧になっていない方は、こちらからどうぞ!
http://live.nicovideo.jp/watch/lv180132410


昨日の「アメ通LIVE」では、戦略系用語として、
「delegitimation 非正統化」という言葉を紹介しました。
相手の正統性を突き崩す言葉です。
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legitimation 正統に
deの否定語がついた非正統化です。
legitimacy は合法性や正統、
道理にかなっていること、妥当性。
一応、ケンブリッジの英英であたると、
the quality of being legal となります。

正当でなく、正統という点に注意して下さい。
正当だと説明するなら、「Justify」になります。

なぜ、この言葉が重要かというと、国際政治の中で
このlegitimacyをめぐって
相手をディスるのが最近の傾向なのです。

相手に対して「legitimacyがない」
とか言ってdelegitimationするのです。 
日本語にするとニュアンスが
ちょっと違うのでそのまま英単語で説明しています。

最終的に武力をもって戦争で解決するというのが早いのですが、
兵士が死ぬと補償やなんだ、マスコミもうるさく
国家は対応にカネも手間もがかかります。
一発のミサイルも使わずにすむだけに、アイデア次第です。
しかし、口先三寸で相手を黙らせて有利な条件が受けられるなら
好都合なわけです。

武力なら敵わなくとも、小国が大国に
「お前のやっていることには『正統性』がない!」
と言ってしまうことで国内的にはまとまり、
第三国の支持を取り付けることもできたりするわけです。

そもそもその国の立場なんて当事国でないと、
中々わからないことが多いので
がんがん相手国のやることや存在に
delegitimationをぶつけるわけです。

力で決められない小国はそもそもこれしかないのですが、
これが最近は大国である中国もよく使うし、
かつても今も大国でもない韓国もお家芸としてよく使うわけです。
中国共産党も韓国も実は歴史においてlegitimacyがないので
必死に国内外にlegitimacy
を創り上げてアピールしているだけなのです。

日本はこのdeligitimacyで攻められているのです。
歴史問題を持ち出し、「日本がそんなことをいう立場なのか?」
とか、自国のことを棚上げして
「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」などでも攻めてきているわです。
日本人は真実を元に議論しますが、相手はウソでもいい、
真実関係ないっていうレベルでもふっかけてくるので、
一瞬そんな隠れた真実があったのか?と、たじろいでしまうのですが、
すべて資料もないウソだったりするのです。
そのウソに乗っかってしまったのが河野洋平なのですが、
その談話がずっと話し合いのベースになってしまっているわけです。

そもそもそんな輝かしい歴史がある国ばかりではないので
話半分以下ぐらいに考えて欲しいものです。

これが21世紀の国際関係はこういうdeligitimacyによる
舌戦が繰り広げられるのです。
現実と関係あったり、全くのウソだったりしながらも繰り返す
プロパガンダ戦争の道具、それがlegitimacyをめぐる戦いなのです。

ご存知の通り、日本はレジティマシーはあるのに切り札にしていないのです。

で、ここからなんですが、こういうことを日本の政治家や
メディアがちゃんとわかって対応して欲しいもんですね。

朝日新聞はじめ大手メディアは「アジア諸国が納得しない」
だとか、「諸外国は日本がやった行為を忘れない」
などと本気かどうかわかりませんが、
相手方のdeligitimacyに乗っかっちゃってるわけです。

この「legitimacyをめぐる戦い」のことをぜんぜん認識しないで、
「心からの反省と補償を!」とか言い出してみたり、
「日本が正しいことをやっていれば、
いずれ世界のみんなはわかってくれるんだ!」
なんていうテンションで報道しているのには懲り懲りです。

せめて、そういうことがわかっている政治家を選ぶようにしないと、
日本人自身が、この「legitimacyをめぐる戦い」
「プロパガンダ」に勝つことができません。

「日本の政治家の発言にわが
中国国民が傷ついたアルヨ」といわれたら、
「実際中国内でやってきた文化大革命などや
いまでも法輪功にやっている言論弾圧はどうなんだ?」
とか、
「総選挙はいつやるんですか?
 いつ独裁やめて民主主義になるんですか?」
ぐらい政治家には発言して欲しいし、新聞も書いて欲しいもんです。
きっちり仕返しして突っ込んでいれば、
相手から日本のligitimacyを崩すのは本当は難しいと思われます。

これのdelegitimacyはプロパガンダそのもののなのです。

なので今回、この重要単語についてもしっかり解説しました。
おおもとである「プロパガンダ」について、詳しく解説したCDがあります。
http://www.realist.jp/propaganda.html
ぜひ、この機会に学んでいただければと思っています。
また、自分をどうだますか?自分にどうプロパガンダをかけるか?が
欧米人と戦う上で必要だったり、これからの乱世で
生き抜くことが重要であるということで、
自分に対してプロパガンダをかけて
世に打って出るという考えも後半入れています。

少しアピールすれば全く違った展開になっていたというのは
国際関係だけでなく人生でも多々あることなんです。
幸運の女神の前髪をつかむために、
ぜひ参考にしていただければと思います。






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