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「歴史認識」はお手軽な「プロパカンダ」ツール!?|THE STANDARD JOURNAL

2014/04/01 11:35 投稿

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おくやまです

おくやまです。

ここ何回かはウクライナ情勢について触れてきましたが、
今回は中国ネタを少し。

まずは以下のニュースを見てください

(転載はじめ)

▼習主席「南京で30万人虐殺」 独で講演、日本を名指し批判
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014032902000246.html

 【ベルリン=共同】
ドイツ訪問中の中国の習近平国家主席は二十八日、ベルリンで講演し、
日中戦争時に旧日本軍が南京を占領した際に起きた南京大虐殺に言及し
「日本は三十万人以上を虐殺した」と強調した。

習主席は「日本軍国主義による侵略戦争で
中国人に三千五百万人以上の死傷者が出た」
とも述べ、日本を名指し批判した。

ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の歴史を抱えながら
近隣諸国と和解したドイツで、
習主席自らが歴史問題をめぐって日本批判を展開し、
安倍晋三政権と徹底対決する姿勢を鮮明にした。

中国が「反ファシズムと抗日戦争の勝利七十周年」
と位置付ける来年に向け、
国際社会での対日包囲網構築の動きを強める構えだ。

(転載おわり)

きましたね・・・。

習近平が「歴史認識」問題をテコにして、
あからさまな「反日攻勢」に出てきました。

ところが賢いドイツのメルケル首相は、
この時に習近平側から提案された

「ベルリンにあるホロコースト記念館に一緒に行きましょう!」

という申し出を拒否しております。

これが気に食わなかった北京政府は、
さっそく「人民日報」の紙上で、
超反日的な外国人記者に「メルケルには失望した!」
という記事を書かかせております。

▼メルケルのホロコースト記念館の訪問は失望的なもの
By Martin Sieff(http://english.people.com.cn/90780/8581256.html)

さて、このような一連の「歴史認識」をめぐる外交問題から
私が何を言いたいのかというと、それは、

<「歴史(認識)」というのはあくまでも「政治的なツール」でしかない>

ということです。もちろんここで、

「いやいや、おくやまさん、歴史の“真実”のほうが重要でしょ?!」

という意見の方いらっしゃるのは、
ある意味で、とても真っ当な見識であり、
その点については私も十分理解しております。

ところが、です。

国際政治を「リアリズム」的な視点で俯瞰してみると、
このような「真実」というものは、
多国間の熾烈な政治的な権力争いの前では、
いとも簡単に吹っ飛んでしまうものなのです。

これは困ったことなのですが、なぜこうなってしまうのでしょうか?

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『戦争論』で有名なクラウゼヴィッツは、

「戦争は他の手段をもってする政治の延長」

という言葉を残しております。

さらにこの言葉に大きな影響を受けた毛沢東にいたっては、

「政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である」

という名言を残しております。

毛沢東のこの認識にハッキリと示されておりますが、
あらゆる国家、とくに大国というのは、

いざ国力増強や国益のためとなると、
「人殺し」がからんでくる戦争でさえも政治の「道具」として使う、

ということです。

そして「歴史認識」などは、
戦争のような「人殺し」に比べれば、
まったく"お手軽"なものです。

例えば、最近の「クリミア併合」の件に関して、
以下のような報道がありました。

(転載はじめ)

▼クリミア住民投票、民主的手続きと国際法にのっとり実施=ロシア大統領
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPT9N0LQ05B20140318

[モスクワ 18日 ロイター]
ロシアのプーチン大統領は18日、
ウクライナ南部クリミア自治共和国の住民投票は
民主的な手続きと国際法に完全にのっとって実施されたとの見解を示した。

同大統領は議会上下両院を含む「連邦会議」で、
クリミアをロシアに編入させる条約の草案を承認。
承認後に行なった演説で、
「クリミアは、われわれすべてにとり歴史的な重要性を持つ」と述べた。

(転載おわり)

「いやいや、おくやまさん、民主的とか言ってるけど、
 実際はぜんぜん"民主的"なんかじゃないでしょ~!」

と仰りたいですよね。わかります。

しかし、今回のロシアとウクライナとの件のように、
いざとなれば、国家(とくに大国)というのは、
「民主制度」を巧みに利用して、
自分の国力増強のための行動(今回の場合はクリミア併合)
をさらっと行うのです。

いいかえれば、「民主制度」でさえも、
あくまでも国家にとっての「手段」
(tool / instruments)
に過ぎない、という身も蓋もないお話です。

国際政治の、とくに「大国」と呼ばれる国々が絡んでくると、
「民主制度」だけでなく「歴史的な真実」などは
皆さんが思っている以上に、
気軽に使える"便利なツール"に過ぎないのです。

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さて、読者の皆さんはもうお気付きですね。
これをあからさまに示しているのが、
冒頭で説明した中国の動きです。

これについて前ブッシュ政権のアドバイザーだった
ランディ・シュライバーという人が、
ある記事の引用の中で面白いことを言ってます。

(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140330/amr14033003100001-n3.htm)
 
  「そもそも中国が提起する歴史問題というのは
  歴史の真実や正確性とは関係ない。
  日本を自国に服従させ、米国から離反させ、
  国内向けの宣伝をも目的とする政策なのだ。
  中国の博物館の歴史展示のひどさを見ればよい」

これなど、まさしく「身も蓋もない」事ですよね。

ここが一番大事なポイントなのですが、
私は何も、殊更に中国を批判したり貶めようとしているわけでなく、
ただ<すべての国>が(その度合の違いはあるでしょうが)、
このような「歴史の真実や正確性」というのを、
<この程度のもの>として扱って行動している
という事実を指摘しているだけなのです。

では彼らにとって「歴史」とは何かというと、
それは「プロパガンダ」のためのツールでしかないわけです。
誤解を恐れず、あえて言い切ってしまえば、
このプロパガンダこそが、
彼らにとっての「政治的な真実」なのです。

かようにして大国が使う「プロパガンダ」の前に、
「歴史の真実」というのは無意味なのです。

( おくやま )

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