和田です。
都知事選まっただ中ですね。
争点を「原発推進か廃止か、即廃止か」に
しようとしている候補がいます。
原発推進か、廃止かは高度な知識と哲学的要素もあり、
有権者は知識では判断がつかず、
結局、感情で判断するんじゃないでしょうか?
ただ、非常に恐ろしいことが起きています。
27日の産経のニュースでは、
http://goo.gl/maLYye
(転載はじめ)
27日発表された平成25年の貿易統計で、
貿易収支が11兆4745億円の赤字と、過去最大を更新した。
原発の停止や円安に伴い、火力発電で使用する
液化天然ガス(LNG)や原油の輸入額が増えているためだ。
さらに円安でも輸出が伸び悩んでいることも背景にある。
(転載おわり)
とあります。
記事の通り、原発停止と円安による
化石燃料の輸入額の増加が原因で貿易赤字が拡大中です。
しかし、米国でのシェールガス革命が起きているのに、
全く日本には恩恵がありません。
日本が大東亜戦争をやったのは資源がなかったからです。
戦後、原発開発をやったのも、
石油を止められてやむなく戦争をはじめた
苦汁の記憶から腹をくくって原発開発をやったのです。
その原発を即停止を主張するのなら、日本が安く買える気配のない
化石燃料価格を下げる方法をなぜセットで主張しないのか?
全く、無知だからでしょう。
この話はほとんどマスコミも取り上げません。
野党が自民党に対して、
「日本が買う天然ガスの価格は米国の5倍です。
米国は産油国になったので安いのはわかりますが、
なぜ、日本の買い付け価格は高いままなのか?」
と追求する様を見たことはありません。
マスコミですら、最大の問題の一つであるにもかかわらず、
スルーなのです。
もともと2000年代初頭、
日本とヨーロッパの天然ガスの価格は同じで
米国はその8割安程度の差でしたが、シェールガス革命以降
米国と日本で4−5倍差、ヨーロッパの1.6倍差となっています。
主張したいことは、
今回、日本人は、特に政治家はもっと地図を見よ!
と言いたいところです。
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米国は、TPP加盟国に対してはシェールガスなどの
エネルギーを売るそぶりをしていましたが、
自国に十分産出できる体制ができたので、
どうやら日本にも売ってくれるようです。
しかし、売ってくれるところまできても、問題があります。
それがシーレーンです。
地理関係そのものがコストになるのです。
徹底的にこの運搬するルートが時間やコストにかかるから、
重要なのです。
実は、米国にはメキシコ湾、カリブ海側にしかパイプラインがないので
太平洋側に天然ガスを引くことができないのです。
日本の商社も政府も、シェールガス革命を知りつつも
米国でのパイプライン開発に手を打っていなかったのです。
やっとメキシコ湾側のタンカーの港湾開発にこぎつけたところです。
幸運なのは、今年竣工予定のパナマ運河の大型化があります。
これで大型タンカーを通行させることは可能になります。
・米国が安価なLNGを販売する約束をしてくれること
・メキシコ湾の港湾開発が完了すること
・パナマ運河の大型化が竣工すること
・もしくは、太平洋側にパイプラインが引けること
地理、人口、エネルギー、交通ルート・・・・、
これらひっくるめて学び、
地政学的リスクを考える力が政治家に必要なのではないでしょうか?
奥山さんはよく、
「リアリストは、冷静であること、選択肢を多くもつこと、柔軟であること」
といっていますが、
まさに、エネルギーの安全保障は分散投資の考え方が必要です。
多くの選択肢を持つことが必要です。
少なくともシェールガス革命を知っていた
日本の商社マンですらノーマークだったことに、
地理に関する感性が足りなかったと残念に思います。
最近安倍さんはインドを押さえ、
中東からのシーレーンの安定化を図っていますが、
シェールガス革命の恩恵にのるか、原発再稼働をしないと
アベノミクスは中折れしてしまうでしょう。
IT革命があっても、地理関係そのものはコストだ
という論理は残ります。
地理関係やルートなど
まとめて学びたい人は地政学講座がありますし、
http://www.realist.jp/geopolitics.html
直近の問題は「未来の地政学」として販売していますので
興味がありましたらどうぞ。
( 和田 )
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