近年、国の内外を問わず、映画の上映時間が長くなりがちな傾向にある。二時間オーバーが当たり前になっている現状は、少し考えものだ。
 特に娯楽映画に関しては、よほどの超大作でない限りは最低でも二時間以内、百分前後が最も適しているというのが、筆者の持論だ。
 そこで嬉しいのが旧作邦画、特に一九七五年前後より以前に作られた作品だ。当時は二本立て上映がメインだったため、巨匠の撮るような大作を除いては、たいてい九十分前後の上映時間。そのため、無駄なくテンポよく終わることが多かった。さらに、二本立てのメインでない添え物的な「二本目」の作品はさらに短く、一時間前後もざらだった。
 それで内容的に物足りないかというと、そのようなことはない。むしろ凝縮され、引き締まった構成になっていることも少なくなかった。
 今回取り上げる『拳銃0号』も、そんな一本だ。上映時間はわずか五十三分。 
週刊文春デジタル