衆議院の総選挙に関連して11月29日夜、ニコニコ生放送で党首討論が行なわれました。自民党の安倍晋三総裁がニコニコ動画での討論を呼びかけていたのを、野田佳彦首相が応じたのです。そのほか、日本未来の党、公明、共産、みんな、社民、新党大地、国民新党、新党日本の各党首が集まり、六本木のニコファーレで議論を交わしました。
この件について、私は時事通信から電話取材を受けました。そのコメントは時事通信のニュースサイトや、時事通信の配信を受けた毎日新聞の朝刊に掲載されています。もちろん、私が電話で回答したものを時事の記者がまとめていただいたものです。正確にそう話したのか?と問われれば、いろんな話をするなかで、このようにまとめられたというのが正解だと思います。そのため、記者に十分に伝わっていなかった部分がありますので、補足したいと思います。
できるだけ記事をなるべく生かした形で、加筆修正をします。
まず、時事通信が配信したコメントは以下の通りです。
フリージャーナリスト渋井哲也さんの話 ネット生放送の党首討論ではパフォーマンスのうまい人が得をし、政策の内容を細かく議論できない。一方、テレビは編集ができるため政策が伝わりやすい。ネットはオンデマンドで見られる便利さや、投票率の低い若年層がよく利用するなど利点もあるが、総合的に考えてテレビの方が党首討論の場にふさわしいと思う。ニコニコ動画は形式的には中立的なメディアだが、実際は保守的なコメントが多く、政治家や視聴者が偏ったコメントを一般世論だと誤解する恐れもある。
<ネット生放送の党首討論ではパフォーマンスのうまい人が得をし>の部分ですが、「ネット生放送」とありますが、この部分は「ネット生放送」と一般化して話したつもりはありません。ネット生放送といっても、FC2やツイットキャスト、ユーストリーム、スティッカムTVなどといろいろあるわけですが、それぞれにユーザーの特性があるはずです。その中でも、ニコニコはパフォーマンスのうまい人が受けやすいメディアでもあります。ただし、これはネットに限ったことではなく、メディア全般に言えることです。
また、ニコニコでのコメントは画面に流れる仕様になっているのですが、その内容は「ネタ」として盛り上がるものが好まれる傾向があります。その「ネタ」としては、よくニコニコは保守的な内容が多いと指摘されています。これは、中の人もそう指摘しています。そのため、沈黙しているユーザーは別として、アクティブにコメントを書く人は保守的な内容を書いています。もちろん、保守的なコメントを書く人=保守的な考えな人、とは限りません。あくまでも、「ネタ」として機能している部分があります。盛り上がると、共同性を獲得できるものだと思います。
もちろん、<政策の内容を細かく議論できない>というのも、より詳しく言えば、ネットに限ったものではありません。だから、このあたりをより正確に書くとすれば、冒頭に「テレビと同様に」を加えたいところです。
<<テレビと同様に>>ネット生放送の党首討論ではパフォーマンスのうまい人が得をし、政策の内容を細かく議論できない。
また、<テレビは編集ができるため政策が伝わりやすい>の部分ですが、記者の質問で、「ネットは若者に届くかもしれないが、中高年や高齢者層はどうするのか?」などと聞かれた記憶があります。この点については、正確に表現するのなら、
<<生放送はだだ漏れで論点がわかりにくい場合もあるために、編集が的確だという前提の上で、中高年や高齢者に届くためには>>テレビは編集ができるため政策が伝わりやすい。<<また、中高年や高齢者層に届かないと思ったら、ネットでの生放送とは別の手段を講じればいいと思う。>>
としたいところです。
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