石のスープ
定期号[2013年12月15日号/通巻No.101]
今号の執筆担当:村上和巳
定期号[2013年12月15日号/通巻No.101]
今号の執筆担当:村上和巳
[キャプション]説明会で渡された取材ス
ケジュールや降車取材場所に関する資料
まず、説明されたのが当日の集合時間などの段取りである。これは前回と同じく朝8時に収束作業の拠点である福島県双葉郡広野町にあるJビレッジ内の会議室・アルバインローズ。福島第一原発から約20キロ地点である。
そして原発構内に入るにあたっては氏名、住所などが確認できる写真付身分証明書持参が必要であること。これもいつも通りだ。ただ、前回と違ったのは、代表カメラを担当する者に対しては機材の養生(機材に放射線物質がついて被曝しないように、ビニールなどで覆うこと)を自ら事前に行ってほしいということだった。前回はアルバインローズ到着後、東電社員に機材を渡し、彼らがそれを行っていた。養生には一定の時間を要するため、スケジュールを円滑に運ぶと同時に関係する社員の省力化が念頭にあったと思う。仕方がないと思いつつ、やや厄介だなというのが私の印象だった。凹凸が激しく、様々なボタンも付属しているカメラの養生には一定のコツがいる。手慣れた東電社員にやってもらい、あとはこちらで微調整をするのが一番楽だからだ。
構内取材は基本的にバスに分乗して行われるが、取材場所は6号機のオペレーションフロア、4号機オペレーションフロア、多核種除去設備(ALPS)が降車取材場所、その他に汚染水タンクエリアをバスの車内から見せるという話だった。
今話題の汚染水問題にかかわるタンクエリアで降車できないというのはやや不満だったが、40数人の記者を4号機、6号機のオペレーションフロアに案内するという手間を考えれば、さもありなんとも思った。
ちなみに3月の公開時は、使用済み燃料共用プール、そして汚染水タンクエリア、ALPSが降車取材場所で、その他に1〜4号機が見渡せる高台がバスの車内からというものだった。当時は汚染水タンクからの漏えいがまだ発覚していなかったこともあったので、ややうがった見方をすれば、今回はあまり積極的には見せたくなかったのかもしれない。
そして広報部側が今回注意事項として強調したのが、取材時間である。全面マスク着用時間が過去の2時間弱から今回は3時間弱になるので、注意してほしいというもの。作業員でも2時間強を目安としているので、体調が悪くなった場合はすぐに教えてほしいと強調された。
確かに全面マスク状態は心地いいものではなく、マスクの着用の仕方、とりわけマスクのベルトをきつく締めすぎると頭痛がしたりするのは良く知られている。ところが逆にこれを緩めると外気が入り込み、汚染された粉塵などを吸い込む危険もあるほか、マスク内と外気の温度差でマスク前面が曇り、視界が悪くなることがある。代表カメラにとってはこの曇りは天敵である。
もっとも前回、それほど苦痛には感じなかった私はこの3時間を「自分たちは作業をするわけでもないし、たかが1時間延びるだけだろう」と舐めきっていた。後にこのことを後悔することになるのだが……
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