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「宇都宮徹壱WMプレゼンツ 平成が終わる前に語り合う『スマホ以前』のサッカーネット論壇」を観覧してみた!

2019/04/15 19:15 投稿

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4月11日(木)に東京・高円寺のスポーツ居酒屋KITTEN!にて行われたイベント「宇都宮徹壱WMプレゼンツ 平成が終わる前に語り合う『スマホ以前』のサッカーネット論壇」を観覧させていただきました。


“徹壱さん”は10年以上前からの知り合いで、私がサッカーサイト編集者だった時代に原稿を依頼したり、最近でもお花見に誘っていただいたりと、浅からぬ縁があるわけですが、世間的には「ブロードバンド黎明期に台頭した“プロの”サッカーライター」という位置づけになるかと思います。

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司会の徹壱氏、そしてゲストの岡田康宏氏(2代目サポティスタ)、UG氏(SOCCER UNDERGROUND BLOG)、ケット・シー氏(J-KET掲示板)は、スマホ以前のサッカーネット論壇における主要プレイヤーとなります。

■スマホ以前のサッカーネット論壇

1998年に「Microsoft Windows 98」が発売されて以降、日本では急速にインターネット文化が広がっていきます。それはサッカー界においても同じで、BBS(電子掲示板)を使った議論が盛んに行われるようになります。さらに2002年頃からブログサービスが紹介されるようになると、ブログ主による「サッカーネット論壇」が形成されるようになります。

2004年2月にSNS「mixi」がスタートすると、サッカーネット論壇のプレイヤーはSNSでつながるようになります。徹壱氏はIDが「2908」ですから、かなり早い時期に登録したことが分かります。ちなみに私は津田大介氏から招待されたのですが、津田氏のIDは「8597」で、私は「28947」。このことからも、徹壱氏が情報感度の高い人物だと分かります。

その頃「サッカーネット論壇」でポータル的な役割を果たしていたのが「サポティスタ」であり、「SOCCER UNDERGROUND BLOG」は人気サイトの1つでした。私は「サッカー景気の悪い話」という東京ヴェルディ1969(当時)を応援するブログを更新しており、「J.B.Antenna」で東京Vの管理も任されていましたが、隅っこにいるだけの存在でした。それはそうと「Wayback Machine」で2004年のサイトを見つけましたが……。いま読むとひどいイキリようで、恥ずかしいですね。

サポティスタ

SOCCER UNDERGROUND BLOG

サッカー景気の悪い話

J.B.Antenna

このほか、イベント中にも名前が出ましたが、サポティスタ創設者や横浜F・マリノスのゴール裏で活動されていたmasterlow(清義明)氏あたりが、主要プレイヤーとなるでしょうか。「サッカー“ネット”論壇」と言いながらも、当時の風潮は“現場重視”でした。どれだけネットで弁が立っても、サッカースタジアムに行かない人間は評価されない。その是非はともかく、そこが現在との大きな違いかと思います。

■スマホ以後のサッカーネット論壇

イベントの細かい内容は「宇都宮徹壱WM」でも掲載されるでしょうから割愛しますが、岡田康宏氏が「スマホ以後」について語った話が印象に残っています。「サポティスタ」は2010年にフロムワンに買収され、岡田氏はフロムワンのWebサイト「サッカーキング」のアドバイザーになるのですが、その時の目標が「最もPV数を稼ぐサッカーサイトになる」でした。

この目標は達成されるのですが、その時の空気感に違和を覚えたと話します。岡田氏はサッカーを中心に「ナタリー」のようなカルチャー寄りのサイトを目指していたが、周りはサッカー界でNo.1になったことに満足していたと。その後、岡田氏はアイドルに軸足を移し、神宿や眉村ちあきさんの運営に関わるようになります。

この話を聞いて私は「最近のサッカー界は、そういう傾向が強いよな~」と思ったのです。そういう傾向とは、サッカーファンだけに届けばよいという雰囲気です。これは話すとは長いのですが……。

前提として、TV地上波中心に行ってきた視聴率アップの施策が、ことごとくサッカーファンを逆なでする内容だったことがあります。取りあえず人気のタレント・俳優をゲストに呼んでおけばいいだろうとか、海外リーグ中継ではプレーそっちのけで、ベンチあるいはベンチ外の日本人選手について語り続けるとか。サッカーという競技に対するリスペクトのない施策は、サッカーファンからブーイングを浴びることになります。

そうした経緯もあって、ピッチ上で起きた現象に特化した「戦術論壇」などが、サッカーファンの心をつかむようになります。これまでのサッカー観戦は、ファンタジスタが妙技を披露するまで“耐える”ものでしたが、現在においては90分間、気の抜けないものとなったのです。2018FIFAワールドカップ・ロシアは、その流れを決定付けるものでした。

語るべきことが多くなったことで、サッカーは内向きの傾向を強めます。そこにはPV数を稼がなくてはいけないサッカーメディアの事情もあるのですが、結果的にサッカーはサッカーファンだけのものという風になっていく。TV地上波のキャンペーンがブーイングを浴びた歴史もあるため、へたなコラボレーションは打てない。原理主義者に対する忖度(そんたく)とも表現できるかもしれません。Jリーグのビッグクラブほど、保守的になっていると感じます。

こうなると、いまサッカーにおいて外向きな原稿を書きたいと思うならば“利権を犯さない範囲での”日本代表、あるいは中堅以下の地方クラブとなり、そのまま徹壱氏のフィールドとなっているのです。

■動画の可能性

イベントの後は懇親会が行われました。そこで話題となったのは動画です。実は、かなり昔から指摘されている問題なんですよね。

――ここでようやくフロムワン時代にたどり着いたわけですが、ニコ生サッカーキングがスタートした経緯はどのようなものなんでしょうか?

タツ 発端は、フロムワンが2010年に岡田(康宏)さんのサポティスタを買収して、それで岡田さんがサッカーキングのアドバイザー兼プロデューサーになったんです。実は僕も、岡田さんと仕事ができるなら面白いなと思って、岩本さんからのオファーを受けたというのがあったんですけど、岡田さんは「これからは動画メディアが来る」と主張していたんです。でも、みんな日々の仕事が忙しくて、ずっと放置状態だったんです。そしたら「いい加減、進めないとまずい」ということになって、誰もやりたくない塩漬け案件が僕に振られたというのが実際のところです(笑)。
これは徹壱氏がMCタツ氏にインタビューした時の記事ですが、結局「ニコ生サッカーキング」がスタートしたのは2013年。2017年、Jリーグの放送事業をDAZNが担当するようになり、試合ダイジェストや得点シーンはSNSでも共有されるようになりましたが、サッカー界に動画メディアが来たかというと、そうでもない印象です。動画メディア自体は、YouTuberが子供に人気の職業になったり、バーチャルYouTuberが人気を得たりしているのに……。

その中で意欲的な試みをしているのは、サガン鳥栖と清水エスパルスです。鳥栖はヒップホップMCのDOTAMAを起用。相手チームを煽る動画を配信して話題となっています。清水はVTuber富士葵を公式新人サポーターに任命しました。清水は16位で鳥栖は18位と成績が良くないため、サッカー以外のことで目立つことにイラだっているサポーターも多いことでしょうが、頑張ってほしいですよね。

話を戻すと、公式ではなく“在野”で、サッカーに関する動画を配信する人がいたら面白いよねという流れになります。そこに徹壱氏が挑むのか。それともニュースターが現れるのか。停滞したイメージのあるサッカーメディア界で、動画は新風となり得るのか。こうした動きにも注視したいと感じたのでした。

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