Photographed by You Noguchi 1921年に創業し、現在に至るまでさまざまなガラス製品を生み出し続けてきたHARIO(ハリオ)は、ドリッパーやミルを始めとしたコーヒーアイテムも多く販売しており、コーヒー好きの人には馴染み深い存在だと思います。
僕自身、コーヒーや紅茶、お茶にまつわるアイテムを生み出す“メーカー”としての印象を強く持っていました。しかし、最近になってHARIOが経営する“カフェ”の存在を知ったんです!
作り手が自ら手がけるカフェとは、一体どんなお店なのか?
期待に胸を膨らませつつ、六本木一丁目駅から歩くこと約3分。都心とは思えないような緑あふれる空間のなかに、「HARIO CAFE 泉屋博古館東京店」がありました。
ご縁によって生まれた「HARIO CAFE」
開放的な雰囲気と、コーヒーの香りに癒やされる店内。至るところから緑を眺めることができ、その自然を感じるロケーションに心が落ち着きます。
泉屋博古館東京店は、日本橋室町店・名古屋店に続いて3番目にオープンした店舗ですが、美術館の隣という立地を選んだことに理由はあるのか。広報企画部の辻本真理(つじもとまり)さんにお話を伺いました。
広報企画部 辻本真理さん
元々、泉屋博古館東京にはカフェが併設されていませんでした。施設のリニューアルをするタイミングで美術館の方から直接お声がけいただいて、ここにオープンすることになったんです。
お店でコーヒーの淹れ方を学び、そこでコーヒーを飲んで、実際におうちでも淹れてみる。HARIOは耐熱ガラスメーカーですが、ただ器具を提供するのではなく、コーヒーをおうちで楽しむきっかけの場にもなれば……という思いで、このようなカフェを運営しています。
辻本さんによると、日本橋室町店や名古屋店も地域に根ざしたご縁がきっかけでオープンしたのだとか。今年10月8日には「軽井沢安東美術館店」がオープンするなど、その環はさらなる広がりを見せています。
実はこの壁、元々は美術館の外壁なんですよね(笑)。美術館の外側にそのままカフェが増設されたような形で、2021年10月1日(コーヒーの日)に「泉屋博古館東京店」はオープンしました。
やけにデザイン性の高い壁だな~と思いきや、美術館に増設する形で作られていたとは! でも、併設されている「泉屋博古館東京」では歴史ある陶芸品や茶道具の展示が行われていることを考えると、HARIOとのシナジーを感じられる気もしてきます。
どこか店内に和の雰囲気が漂っているように感じられるのは、この壁によるところが大きいのかもしれません。
淹れ方はワークショップ、器具は店舗で
こちらのカフェでは、利用客に向けたワークショップが企画されている点も特徴のひとつ。
しかし、なぜわざわざワークショップを開いているのでしょうか。おいしいコーヒーを自宅で淹れられてしまったら、カフェを利用する機会が減ってしまう気もしますが。
私達はショッピング街にカフェを展開しているわけでもありませんし、メーカー的には飲食にしっかり力を入れる……って感じではないんですよね。それよりも、コーヒーの楽しみ方を伝えて、コーヒー文化を広めていきたい。そのために、ワークショップを企画しています。
基本的なコーヒーの淹れ方からさまざまな器具を使った楽しみ方など、不定期ではありますが、各店舗さまざまな催しを行っているんです。この間は名古屋店でサイフォニストの方をお呼びして、コーヒーセミナーを開催しました。
事業拡大のためにカフェをオープンするのではなく、あくまでコーヒー文化を広める拠点としてカフェを運営すること。これこそ、創業から約100年に渡ってさまざまなコーヒーアイテムを生み出し続けてきた、HARIOならではの姿勢。
僕自身、ハンドドリップでしか淹れたことがなかったので、機会があればサイフォンのセミナーに参加してみたい!
ハンドドリップの器具やサイフォンを含め、お店で使っているほとんどの器具が店内で販売されている点も見逃せません。お店と全く同じ器具を買って帰ることで、理論上はお店の味を家でも再現できるようになるわけです(技術的な部分を考えると、そう簡単なことではありませんが)。
取材陣にコーヒーを淹れてくださっている、店長の大野竜太朗さん。
また、どんな器具を買ったらわからないときは、飲みたいコーヒーのイメージを店舗スタッフさんにお伝えすることで、それに合った器具の提案もしてもらえるのだとか。
コーヒーの技術をワークショップで学び、必要な器具はその場で買う。店舗に足を運ぶ中でコーヒーの楽しみ方がどんどん広がっていきそうです。ちなみに紅茶系のドリンクも販売されているので、コーヒーが苦手な方でもゆっくり過ごすことができますよ。
コーヒー器具のみならず、「HARIO Lampwork Factory」のガラスアクセサリーも販売されていました。この洗練された透明感に見惚れてしまう……。
カウンター席に置いてあった三角フラスコもかわいくて、思わず一目惚れ。こちらは店舗での販売はされていなかったため、取材後にネットで購入しちゃいました。
HARIO(ハリオ) SF-20 SCI 三角フラスコ20ml 1,345 Amazonで見てみる 1,690 楽天市場で見てみる !function(t,e){if(!t.getElementById(e)){var n=t.createElement("script");n.id=e,n.src="https://araklet.mediagene.co.jp/resource/araklet.js",t.body.appendChild(n)}}(document,"loadAraklet")
コーヒーに合わせたフードの提供も
フルーツサンドは土日限定メニューとのこと。
クラシックショコラやフルーツサンド、チーズケーキにホットサンドと、フードメニューも充実。
しかも、これらは日本橋にある「パティスリーISOZAKI」や、差し入れグルメで知られる日本橋「赤とんぼ」を始めとした名店から仕入れた逸品ばかり。
本社がある日本橋付近のパティスリーさんから仕入れたり、名古屋店もその近くにあるお店のデザートを仕入れたりしています。ご縁がきっかけで各店舗出店していますし、地域の繋がりによってフードメニューが増えていっているんですよ。
お店で使われているのは「コーヒーサイフォンテクニカ」。もちろん店舗で購入可能。
取材の終わり際、大野さんが淹れてくださったサイフォンコーヒーと一緒に、お店の人気メニューである「クラシックショコラセット」をいただきました。
これまでサイフォンコーヒーを飲む機会は指で数えるほどしかなかったけれど、やっぱりハンドドリップのコーヒーと比べると温度が高い分、香り高くて華やかに感じられます。クラシックショコラの優しくまろやかな味わいとマッチして、取材を忘れてすっかりリラックスモードに。
窓の外に広がる緑を眺めながら、都心の真ん中で過ごす、ゆったりとした時間。
ひとりでカフェに行くとコーヒーを飲みつつ作業したり勉強したりと、ながら利用することが多かったのですが、ただぼーっと外を眺められるこの贅沢な環境は、“しっかり休憩したいとき”にぴったりだと感じます。
秋には紅葉、春には桜も見られるそうなので、コーヒーと一緒に季節の移ろいを味わえる点も嬉しいところ。四季折々の景色とコーヒーとのペアリング、最高じゃないですか。
あらためて、コーヒーの魅力を感じたうえで、お店で使っている器具をその場で購入できるのはとても魅力的です。
その場で学んで買えるからこそ、「コーヒーのことを知るために、まず最初の一歩としてHARIO CAFEへ行ってみる!」みたいな楽しみ方もできるのではないでしょうか。ここに通えば通うほどに、コーヒー沼にハマっていってしまいそうな予感。
おうちコーヒーの始め方を知りたい人やコーヒーの楽しさをさらに深く感じてみたい人は、ぜひお近くの店舗に足を運んでみてくださいね。
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