口に入れたときのハイな気分、収集欲をかき立てるパッケージ、なんだったらメッセージ性。連載「スナック・タイム」では、文筆家・甲斐みのりさんが、男の空腹を満たすためだけではない「嗜好品」としての食べものを紹介。第11回は、「コロンバン」のビスキュイ トリコロール。

幼い頃の、セピア色の思い出

缶入りクッキーを前にすると、きゅっと胸が切なくなる。親戚中で祖母の家に集まったお盆休み。庭の木を剪定する植木職人さんのおやつ。ピアノのお稽古のあと先生のためにおこなうお茶支度。実家で過ごした幼い頃の、セピア色の思い出がよみがえる。

何種類かあるクッキーの中からお気に入りの味が決まると、手を出すのはそればかり。たまたま姉や親戚と好みが重なると、競うように次々クッキーを頬張った。

食べ進めるほど、缶の中はがらんと寂しくなってくるけれど、私はほくほく。中身が空になったら缶をもらって、バニラの香りの消しゴムや短くなった鉛筆やキラキラ光る髪留めやファンシーショップで買ったシールや少女漫画の付録やら、大切なものを詰め込んで、宝箱にするのだから。

クラシカルな「コロンバン」の焼き菓子たち

大正13年創業の「コロンバン」は、日本で初めて本格的なフランス菓子を販売した洋菓子店。コロンバン創業者・門倉國輝氏がショートケーキを考案したと聞いた甘党の友人は、「人生に楽しみを与えてくれた恩人」といったほど。

そんな「

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