しかし、だからといって無くならないもの、それは「紙」。デジタルブックスが増えて使用量は減っているけれど、私はやはり読書を本でしたくなるし、契約などの正式書類、DMなど毎日何かしらの紙を手に取っている。お菓子の包み紙、手書きの手紙、子どもが絵具や色鉛筆で彩った画用紙など、どれも愛着を持つことができる。紙がこの世から無くなってほしくないと願うのは、私が古い人間だからだろうか?
COSMIC WONDERさん(@centerforcosmicwonder)がシェアした投稿 – 2017 8月 16 6:19午後 PDT
ファッションブランド・COSMIC WONDER(コズミックワンダー)主宰・現代美術作家の前田征紀さんと、工藝デザイナー・石井すみ子さんによるユニット「工藝ぱんくす舎」によって、紙がテーマの展覧会「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」が開催される。特に、天然の素材を使い手作業される、手すき和紙の可能性に焦点を当てるものだ。
昨年、島根県立石見美術館で開催された同コラボレーションによる「お水え いわみのかみとみず」展を再構成する本展。唐津の紙漉師・前田崇治さんによる新作を加え、紙が発明された頃と同様に大麻の繊維を原料に、薬にもなる香りのよい海浜植物・ハマゴウを混ぜ込み、紙の新たな可能性を探る。
工藝ぱんくす舎が創案した「お水え」は、お茶会に着想を得た湧水をふるまうセレモニーであり、自然の恵みに対する感謝の念をあらわすパフォーマンスだ。すべての生命の源であり和紙作りにかかせない「水」にフォーカスして創案された。
川合優「柄杓 松の木のこぶ」
コズミックワンダーが制作した、席主と半東の衣装である紙衣(かみころも)「うみかみ紙衣」
その「お水え」のしつらえや道具が展示され、「お水え」からイメージを膨らませて作られた工芸作品が並ぶ。演出は、日本の文化の源泉である縄文をイメージしたもの。
日本製紙連合会によると、「それ以前に紙すきが行われていたという説もあるが、610年(推古18年)、高句麗の僧、曇徴(どんちょう)が墨とともに日本に製紙法を伝えたと言われている」とのこと。
7世紀……日本で古くから愛用され、史実や文学作品を伝え続けてきた紙。現代では、さらにさまざまな姿に形を変え、やはり生活に欠かせない存在として君臨している。また、展覧会タイトルの「かみ」は、神への感謝という意味も。
石井直人「水瓶」「水椀」
西田誠吉・佐々木誠、紙すきによる和紙「こよみ唄巻物」
昔ながらの手作業で作られた作品を通して、いにしえや「みえないものをみる」日本人特有の感性を感じたり、「かみ」の歴史、そして、未来について想いを馳せるのもよいかもしれない。
「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」展会期:2017年8月29日(火)~10月22日(日)
時間:平日11:00~19:00 日・祝11:00~18:00
休館:毎週月曜日
会場:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
入場無料
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