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ひと昔前、深夜にテレビをつけるとちょっとマニアックな映画がたくさん放送されていました。眠いのに、なぜか続きが気になって最後まで見てしまっていたという方も多いはず。

そんな、深夜にもう一度見たくなるようなマニアックでちょっと懐かしい映画を「今宵の夜更かしシネマ」と題して紹介していきます。

今回、紹介する作品はマーティン・スコセッシ監督の「After Hours」。1985年の映画で深夜のニューヨークが舞台になっています。まずは予告編でどのような雰囲気の映画かをご覧ください。

まさに深夜にやってそうな映画!

ストーリーの舞台は80年代のニューヨーク。ワープロ技師(今でいうプログラマー?)として働く主人公の男が、コーヒーショップである女性に出会い連絡先を知ることになります。彼は家に帰り彼女に電話をかけ、これから会いにいく約束をします。しかし、そのために乗ったタクシーの運転がかなり乱暴で、手に持っていた彼の全財産の20ドルが窓から飛んでいってしまいます。そして、ここから彼の不条理で予測不可能なドタバタな一夜が始まるという物語です。

映画のタイトル「After Hours」とは、会社を退社したあとの時間のこと。映画自体も、彼が会社を退社してから翌日の朝、会社に出社するまでが描かれています。

予告編を見ると分かるように、さまざまなキャラクターが登場します。主人公を誘惑するクレイジーな女性、そのルームメイトで彫刻家の女性、あり得ない運転をするタクシー運転手、キレやすいバーの主人と、情緒不安定なウエイトレス。書ききれないほどのキャラクターがまだまだ登場します。しかも、全員どこかクレイジー。常識という言葉が存在していません。そのクレイジーな人たちに翻弄され、次々に事件へと巻き込まれていく不条理さ。情けない姿をさらしながらも、必死で逃げるしかない主人公。そんな悪夢のような映画です。

とにかく変なこの映画、「なんでこうなるの?」「こんな人いる?」の連続です。しかし、普段の生活では絶対にあり得ないだろう展開も、人種のるつぼと言われるニューヨークの、しかも深夜の出来事と言われれば、もしかしたらあり得るかも? と思ってしまいます。

非現実的な深夜が明けて、いつもの様に眠そうに出社する主人公。何事もなかったかの様に動き出すニューヨークの街が心地よい余韻を残してくれます。

今宵は夜更かしをして、映画を一本見てみるのはいかがですか?

After Hours Trailer [via YouTube]

(稲崎吾郎)

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