先日、突然、オジサンに呼び止められたのです。
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。
定年後であろう白髪混じりの3人組にカメラを渡され、
「1枚だけですよ~」と渋りながら
「はい、チーズ」をやったのですが、
そんなに「いい人オーラ」が出ていたでしょうか?
旅行先では、だいたい必ず、
この手の場面に遭遇するのですが、まさか「東京駅構内」で
デジャブするとは。
きっと「頼んでも大丈夫そう」だと思われているんでしょうね。
ただ、いきなり「すみません!」と呼び止められると、
少し心臓に悪いです(苦笑)
さて、ここからが本題です。
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さて昨年、落語家でタレントのヨネスケさんの離婚が報じられましたが、
これだけ大きな注目を集めたのは大方の第一感が
「そりゃそうだよね」ではなく「まさか?!」だったからでしょう。
なぜでしょうか?
「まさか」の理由はきっと「年齢」です。
ヨネスケさんは現在、67歳。40年近い結婚生活
(報道によると39年と363日)にピリオドを打ったようです。
確かに今は人生80年の時代です。とはいえ、
40年もの間、お互いに辛抱してきたのに、
今さら「もう我慢できない」なんて・・・
外野の私たちからすれば、内野の内情はチンプンカンプンで
首をかしげるばかりです。これはどういうことでしょうか?
例えば、昭和の時代に働き盛りだった夫のことを、
ここでは「昭和型夫」と呼びましょう。
昭和型夫は今流行りの「草食系」夫とは正反対です。
具体的には、向上心が満々なので「妻よりかわいい子」が
いれば平気で口説いたり、性格はオラオラ系なので
「俺の金は俺の金。お前の金も俺の金」とばかりに
家計の財布を握ったり、亭主関白の限りを尽くすので
家事育児は知らぬ存ぜぬだったり・・・
「昭和型夫」は一昔前のダメ亭主そのものですが、
妻も妻で、すでにあきらめの境地に達しており、
今さら離婚したところで、すでに古希(70歳)間近なら、
残りの人生はせいぜい10年そこそこ。
それなら無理に事を荒げるよりは、今までも我慢してきたのだし、
喜寿(80歳)まで我慢し続けるしかない。外野から見れば、
そうやって惰性で結婚生活を続けるのだろうと思われがちですが、
それなのに当の本人は、どうして離婚に踏み切るのでしょうか?
ヨネスケさんのような熟年夫婦の場合、子供はすでにいい年で
30代から40代でしょうか。
息子や娘はすでに独立し、安定した収入を得て、
新しい家庭を築いているでしょう。
「昭和型夫」の妻は多くの場合、生涯ずっと専業主婦という
ケースが多いので、いざ離婚したところで妻は自活することは
厳しいのが実情です。
ですから、母親は息子や娘の助けなしに離婚に踏み切ることは
難しいのですが、一方で子供の目に「両親の離婚」を
どう映るのでしょうか?
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両親の離婚が子供にとって完全に人畜無害ならまだしも、
必ずといって良いほど、大なり小なり息子や娘は迷惑を被り、
負担を強いられ、心身ともに振り回されるのだから、
(母親への生活費の援助、父親との離婚交渉の代理、そして遺産相続の煩雑化など)
母親の離婚という決断は「わがまま」だと思い、
離婚に伴う協力や援助、手伝いは「とばっちり」だと
感じるケースも少なくないようです。
実際のところ、私のところには息子や娘が母親と連れ立って
「両親の離婚」について相談しに来るケースが一定数、
存在するのですが、確かに母親は離婚が周りにどのような影響を与えるのか、
思い至らないまま、離婚を決断するケースが多いという印象です。
これは熟年離婚に内包する「今さら感」が強ければ強いほど
顕著なのですが、胸に秘める思惑は父、母、子で三者三様です。
例えば、父親は突然の三行半でビックリ仰天、
母親はとにかく一刻も早く離婚したい、
そして子供は・・・どうなのでしょうか?
前回までは私のところに来た相談実例をもとに、
父親(勇さん、78歳)の入院中に、その隙を突いて、
息子(圭介さん、46歳)が母親(美智子さん、76歳)を
連れ出し、離婚前提の別居を実現したところまで息子目線で紹介しました。
今回はその続きからです。
離婚後の生活を設計する上で年金は必要不可欠ですので、
私は美智子さんに上記の書類を申請するよう頼みました。
そして共済組合から美智子さんのところに届いた書類によると、
今回のケースでは毎月4万円の増減(夫⇒妻へ4万円)という結果でした。
美智子さんいわく、勇さんが倒れるまでの間、もらっていた
生活費は毎月7万円だそう。つまり、離婚しなければ7万円、
離婚すると4万円なので、その差は3万円。
せっかく美智子さんの年金が毎月4万円増えても、
勇さんからの月7万円の生活費を打ち切られると、
結局のところ、離婚をお金で買うようなもの
(しかも毎月3万円の分割払い)ですが、
これは本当に美智子さんが丸損する条件なのでしょうか?
「とにかく離婚さえ出来れば、後はどうでもいい」
確かに美智子さんは最初から最後まで、そんなふうに後先を
考えず自暴自棄な感じで振る舞っていましたが、目先のことを
考えると年金<生活費でも、後先のことを考えると年金>生活費と
いう具合に切り替わることが、話を進めるうちに分かってきました。
これはどういうことでしょうか?
確かに勇さんが美智子さんより長生きをし、生涯にわたり、
生活費を渡し続ければ逆転せず、「離婚は妻にとって損」と
いう結論になりまねませんが、
いかんせん、勇さんは今まで3回も脳梗塞で倒れており、
医者からも「次はない」と言われていて、
しかも、勇さんの気性の荒さを考えると、いつポックリ逝くか
分からないでしょう。
もちろん、天国の故人がお金を渡すことは不可能なので、
勇さんが亡くなったら、生活費はそれっきりです。
一方、年金はどうでしょうか?離婚時にきちんとした手続
(例えば、公正証書を作成し、年金事務所へ提出する、など)を
踏んでおけば、美智子さんが勇さんより長生きしても安心です。
なぜなら、離婚しない場合の生活費と違い、勇さんが
亡くなったからといって、毎月4万円の年金(勇さんから
分割された年金)の支給が止まることはなく、
美智子さんが生きている間、ずっと支給され続けるからです。
もしも、元妻の年金が元夫の生き死に左右されるのなら大変です。
「ちゃんとリハビリをやっている?きちんと三食たべてる?
まだボケてない、大丈夫?」
せっかく離婚したのに元妻は元夫の様子に気が気でなく、
「最近、お父さんはどう?」と探りを入れたりするでしょう。
結局のところ、『夫という存在』を怯えて右往左往するようでは、
何のため離婚したのでしょうか?
とりあえず年金に限っては「夫の存在」を完全に忘れても構いませんし、
これでようやく夫と言う存在は「赤の他人」に成り下がるのです。
では具体的な数字を計算してみましょう。
(次回に続く)
現在私が執筆しているダイヤモンドオンラインの連載
『実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」』ですが
おかげ様で本日、11回目が公開されました。
今回は『妻と間男に傷つけられた息子の心
憎しみの夫が取った行動は?』です。
夏休みの最終週に、ぜひぜひご覧いただければ嬉しいです。
男性はもちろん、夫の作戦を守って知りたいという女性にも
役立つ内容です。立場を逆にすれば、きっと応用できるはず?!
http://diamond.jp/articles/-/77558
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