北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「ラーメンイベントの飽き」山路力也
10月に入ってラーメンイベントがますます活況を呈しています。東京だと「東京ラーメンショー」「大つけ麺博」の2大イベントが相次いで開催されることもあって、全国のラーメン店主さんが東京に集結している感があります。これは業界的にもコアなマニアの方的にも、ラーメン界最大のお祭りのような感じになっています。
しかしながら、意外と普通の消費者たちは冷めていたりもします。地方ではまだ当面は大丈夫にも思いますが、特にイベント慣れしている都心などではその傾向が強いように感じます。どこのイベントでもあまり代わり映えのしないラインナップ。去年と同じだから行かない、なんて話も実際良く耳にします。
ラーメンイベントといえばこの店というような店の名前を皆さんも多く思い浮かべることが出来るでしょう。ラーメンイベントで一日1,000杯以上も提供するスキルとオペレーションを持っている店はそうそうありません。また、個人店だとイベントに出すだけのマンパワーもありません。だからどうしても同じようなラインナップになってしまうのです。その店たちが全国各地を回っていく様は、ラーメン巡業のようでもあり、ラーメンサーカスのようでもあります。
運営側の苦労は本当に良くわかります。もちろん初めての店を出店させたいでしょうし、去年とは違ったものにしたいという努力もされていることでしょう。しかしどうにも例年同じような顔ぶれ、印象に落ち着いてしまう。これを例えば音楽フェスに例えてみたらどう感じるでしょうか。毎年同じバンドやアーティストばかりが登場するフェス。しかも全国どこででも一緒のラインナップとなれば、魅力的なイベントとは言い難い。ここ数年のラーメンイベントにも同じような印象を受けるのです。ですから、私は仕事が絡んでいる時や、なかなか会えない地方の店主さんがいらっしゃっている時は行きますが、単純に一ラーメン好きとして足を運んだことはここ数年ありません。
ラーメンイベントを面白くするにはいくつか策があります。おそらく主催者側も同じようなことはとっくに考えていることでしょう。しかしそれが出来ない理由も容易に想像がつきます。色々な障害を超えてそれをどうクリアしていくのか。そのためには一度今までのフォーマットなりシステムを見直す時期に来ているのかも知れません。
タイトルは誤植ではありません。ラーメンイベントの秋ではなくて、飽き。そろそろお客さんたちは飽きてきました。いかに飽きさせずに楽しいイベントをこれからも続けていけるかは、この数年の動き方や考え方で決まるような気がしてなりません。主催者の皆さんや出店者の皆さん、皆さん真剣に美味しいラーメンを提供しようと頑張っています。だからこそ、その方法論ややり方を今一度見つめ直して、ずっとこの楽しいイベントが続く様に頑張って頂きたいなと心より思うのです。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年8月に電撃復活した「竈TOKYO」の 「ラーメン 味の二重奏」を、山路と山本が食べて、語ります。