皆さまお元気ですか?アタクシは風邪をこじらせずっと寝込んでおりました。約2週間もこのコーナーの締切を破ってしまい申し訳けありません。
「鼻水と痰がひどくて会社のごみ箱がティッシュだらけで中高生の夏休みみたいだけど私は元気です」(魔女の宅急便より・嘘)
と、いうことでズバリ、ジブリ。オーイェス・ジブリ。
3度のデズニーよりもジブリ好き。(キッパリ
どんな作品もボーイミーツガール的なものになってしまう、ある意味永遠の中二病である駿先生に思想がどうとかストーリー崩壊がどうとかという批評などは無意味だと思うのです。ハヤオ論は長くなるので置いておくとして、今回ご紹介するのは「病み上がりで泣ける!ナウシカ7巻」!すいません。すごくピンポイントなご紹介になりますがお付き合いのほどを。
宮崎駿 著 徳間書店 「風の谷のナウシカ 全7巻」
みなさんも大好きな「ジブリ」の発端となった作品がこの「風の谷のナウシカ」であります。アニメは1984年に発表されジブリからDVDになっておりますのでご覧になった方も多いかと思いますが原作の漫画を読まれていない人は実は多いのでは?
この作品は宮崎駿さんがアニメ仕事の手が空いていた時期にアニメ雑誌のアニメージュで連載されていたもので、途中アニメ化による中断もあり完結まで実に12年!(第2巻目あたりまでのお話をまとめたのがアニメ版ナウシカです)
さて、お話はといえば
「ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は1000年後に絶頂期に達しやがて急激な衰退をむかえることになった。『火の7日間』と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく永いたそがれの時代を人類は生きることになった。」
という典型的なデストピア設定にはじまります。(ちなみに火の七日間戦争の主力兵器は「巨神兵」でアニメ版での巨神兵のパートは若き日の庵野秀明さんが担当していました)
そして地球上は猛毒の胞子をまき散らす巨大な菌類と巨大でおぞましい蟲(三つ書きます)に覆われます。ナウシカは風が強く吹くために菌類の毒がおよばない谷あいの小国のお姫様。しかし自ら腐海とよばれる菌類の森へ踏み込みその生態を研究したり、人々が嫌う蟲を愛でたりする変人で、諸国を漫遊する賢人・ユパに教えを受けるなど男前で凛々しい…宮崎ヒロインの基本の一つですね。
さてさて、アタクシ、心が折れそうになったり(折れやすいねん)泣きたくなったり(泣き虫やねん)すると「風の谷のナウシカ 7巻」のある場所を読み返すのです。
ナウシカには蟲使いという人たちが出てきます。
軍隊に従軍して戦死した人たちの金品を鵜飼いのように蟲を使つて回収する人たちです。
常に蟲とともに行動し集めた金品全てを身につけているという、今で言うと物を拾てられないタイプですね。
この人たち「屍を好んでまさぐるいまわしいやつら」と忌み嫌らわれ、
仕事柄、身体に死臭や蟲臭が残るのでしょう、「臭い」とさげすまれます。
チッチッチッチッチッチッ。ヒクヒク…ヒクヒク…
そんな虐げられた彼らを辺境の小国ではありますがお姫様のナウシカは優しくなんの差別もなく接するんですね。
学園カーストの最下層に委員長が毎日笑顔で話しかけてくれるようなもんです。
舞い上がった彼らはナウシカの親衛隊となりどこまでもついていこうとするんですね。
そしてナウシカはこの世界を操ろうとする巨大な教団の本拠地「シュワの墓所」に向います。このことを離れた所で聞いた蟲使い達はナウシカの家臣に自分たちもナウシカのもとへ連れていってほしいと懇願します。
しかしナウシカのもとへ向かう飛行機は大きくなく同乗を断わられた蟲使い達はシュンとしてしまいます。
「蟲使いは全財産をかついで歩いとるんだ」「かわいそうだがこれであきらめてくれるだろう」と家臣たちが安堵する瞬間
「ワアアア…!!」
蟲使い達は自分たちの大事な蟲を全部殺してしまいます。
身につけた財産も全て捨ててしまいます。
「俺達はナウシカの守人だ あの方は俺達を友人だといってくれた」
「俺達のにおいイヤがらなかった 手を握ってくれた」
「ナウシカ守るため財産すてた!!」
「蟲使い蟲すてた!!」
うわーーーーーーーーーーーーーーーーん
ここで号泣です。
一番大事な物を誰かのために投げうつ…できないですよ普通。
大事なフィギユアを委員長のために捨てれますか?
PCの密かなところに貯めたHなデータを全消去できますか?
絶対的な信頼と絆。ファンタジーではありますがきっといつかどこかでアタクシのリアル人生の中にも見つけたい。見つけられるはずだ!とまた号泣ですわ。
というわけで「へんしうちょ、さびしいの?」的な感じでしめくくってしまいました「風の谷のナウシカ」。
かれこれ30年くらい前の作品ですが、今読んでも全く古さを感じさせない作品です。ぜひ一度読んでみていただけたらと存じます!! チッチッチッヒクヒク…
次回はわれらが絵姫の「む」がエッジの効いた「何か」をご紹介すると思いますのでよろしくお願いいたします。
【へんしゅうちょ】
PHP研究所 PHP-COMIXの編集長。社風にそぐわぬ異色の企画をプロデュースし続ける45歳。尊敬する漫画家は、藤子F不二雄。好きな映画はゾンビもの。1歳半の娘を魔法少女に育てたい一児のパパ。
◎バックナンバー
【第0回】 ごあいさつ【第1回】『鳥海浩輔・安元洋貴の禁断生ラジオ本』
【第2回】 九井諒子さんの作品集×3作品
【第3回】『ヨルムンガンド』『乙嫁語り』『小南正太郎、家から出るをはじめました。』
【第4回】 へんしゅうちょの机