3月号連載記事
■ナンバーワン企業の「仕組み」
●終身雇用の実力主義
かつて「日本型経営」の根幹をなすともいわれたのが、『終身雇用』と『年功序列』です。しかし、私が若かりし頃は経営者の第一目標とされた『終身雇用』は、今や風前の灯火です。「退職者を出すのは会社の恥だ」と言われた時代からは隔世の感があります。
今や、業績が悪化したときにいわゆる「リストラ」を行わないと、場合によっては「経営者として怠慢」とまでマスコミから批判されます。しかし、このようなマスコミの批判は明らかに間違っています。
日本企業だけではありません。世界中のエクセレントカンパニーはほとんどすべてのケースで終身雇用を基本としているのです。IBM、ネスレ、P&Gなど数え上げればきりがありません。
それもそのはずで、多額のリクルーティング費用と社内研修費をつぎ込んで育てた社員が途中で辞めてしまっては、会社にとって大きな損失です。是非とも定年まで会社で働いてもらって、つぎ込んだ投資を会社に十分還元してもらわなければなりません。
逆に働く側から見ても、会社が終身雇用を保証してくれなければ、自分の与えられた仕事に全力投球することができません。いつ「リストラ」されるかとびくびくしていて、ヘッドハンターとの連絡を欠かさない社員が良い仕事をするとは思えません。
しかも、リストラされた後の社員は、「自社の内部事情を詳細に知るライバル会社の社員」に即座に変身する可能性が高いわけです。
●安定した雇用が従業員に会社にもプラスになる
1914年、ヘンリー・フォードは「日給5ドル宣言」を行いました。それまでのフォードの熟練工の最低日給は2・34ドル(ちなみに、他の会社の時給は さらに低いものでした)でしたから、一気に倍以上に引き上げるという大胆な決断でした。実はフォード自身は当初この案に乗り気ではなかったのですが、片腕 と目す人物からの熱心な提案によって実現しました。
そして、驚くべきことに、日給を2倍以上に引き上げたことによって、フォード自動車の製造コストは大幅に「下がった」のです。なぜかといえば、日給引き あげ以前のフォードでは、工員の定着率が非常に悪く、辞めていく工員の穴埋めをするためのリクルーティング費用や、新入工員の研修費用に莫大なコストがか かっていたのですが、この費用がほとんどゼロになったからです(1万人を雇用するために年間約6万人を採用していました)。
相場の2倍の日給をもらっているのに辞めたい人間などいないも同然ですから、定着率が100%近くなりリクルーティングや研修の費用が激減するのも当然です。また、当然のことながら熟練していない新人工員の数が減ることによって、作業の精度やスピードも向上します。
<続く>
続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/
3月号をご参照ください。
(大原浩)
【大原浩の書籍】
★バフェットに学ぶ【永久不滅投資法】―損を出さないで永遠に資産を増やすことは可能かー(同友館)
★日本株で成功する バフェット流投資術 (日本実業出版社)
★企業情報を読み解け! バフェット流<日本株>必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント(日本実業出版社)
★『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)
★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2014)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2013)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
http://goo.gl/iz1GUV
★GINZAX30社! 大原浩著 昇龍社<Kindle版>
上巻
下巻
GINZAXグローバル経済・投資研究会・代表大原浩著
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
コメント
コメントを書く