民間銀行の業務は中小企業向けの貸出がメインでありますが、一部国債での運用も行っています。一般の預金者の預貯金の金利と貸出レートや国債のレートの差が銀行の利ざやとなります。
このほか、投信販売や不動産ファンドの販売なども収益源となっています。
こうした収益を稼ぐとその利益の中から株主への配当金として、その20%から30%ほどを株主に対して払っているのが銀行です。
中にはあおぞら銀行のように配当性向50%という銀行もあります。
店舗数や貸出先、看板こそ異なるものの、やっている業務に大差はありませんが、細かく見ると財務上に格差があり、日本を代表する都市銀行である三菱 UFJ銀行を傘下に持つ、三菱UFJフィナンシャルグループやみずほ銀行を傘下に置く、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行を傘下に置く三井住友 フィナンシャルグループといった3つの銀行・証券グループの総資産は667兆円、自己資本合計では32兆円、経常利益合計では約3兆8000億円という規 模になっています。
これに対して時価総額は3グループ合わせて約14兆円にしか過ぎません。
世界的な財務規制の中で堅実経営に徹してきた日本の銀行は、ほとんどリスクを取ることなく安全資産をベースに収益を稼いできました。
株式市場での評価は成長性の観点では魅力がないものと映っているのか低い状態です。さすがに横並び意識が強いのか配当性向は25%から30%となっており、各社増配意欲が旺盛。そうした中で株価は低迷しており、配当利回りは押しなべて4%以上になっています。
ここで提言。
「日銀のマイナス金利の導入後の施策として、政府は民間銀行株を浮動株の20%程度までを買い取らせる施策を打ち出し銀行株の急落を食い止めるべきだ。」
「銀行の経営者は自社株買いに努め、株価をこれ以上下落させない施策を打ち出すべきだ。」
狙いを銀行株に絞ったのは銀行株がイレギュラーな下げを演じているためで、これが日経平均の下落に拍車をかけたと考えるなら、こうした施策によって、指数を押し上げることができるのではないかと期待されるためです。
例えば5.25%の三井住友FG(8316・1株当たり年間配当金150円)の現状の配当利回りを4%にまで下げるためには株価は3750円に上昇させ ないとなりません。結果として時価より3割も上昇します。また配当性向は現在27%程度ですが、これを30%に引き上げると配当金は170円程度になり、 株価は4250円にまで上昇します。
国債利回りがマイナス金利の導入で低下している中で、日本を代表する民間銀行の配当利回りが4%というのはむしろ高すぎるという声が出て2%でも良いというムードが出てくれば、株価は一気に8500円にまで上がることになります。
ここまで上昇すればバブルの再来ということにはなりますが、行き着く先の銀行株の株価は、ここからの値下がりというよりも、想定外の値上がりということになるのではと淡い期待が寄せられます。
但し、その前に今後導入されるマイナス金利政策の影響による業務収益の低下という関門が立ちはだかっている可能性もあります。
じっくりと状況を確認していきたいと思います。
(炎)
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