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12月号連載記事


■ナンバーワン企業の人事制度=「終身雇用の実力主義」

●終身雇用と年功序列はセットでは無い

 私がいつも奇妙に感じるのは、マスコミを中心とする多くの人々が終身雇用と年功序列をセットで語り、まるで分かちがたく結びついていて切り離すことが出来ないもののように扱うことです。
 そんなことはありません。むしろ、両者は相反するものでありその調和しないものを一つの会社の中に押し込めようとするから、日本の多くの企業で問題が生じているのです。

 なぜこの二つは相反するものなのか?

 まず、終身雇用について考えてみましょう。
 前回述べたように、「会社は愛されなければならない」のですが、会社が愛されるためには会社が社員に対して誠実であり、なおかつ社員からも信頼される必要があります。

 会社が社員から信頼されるための最良の方法はたぶん終身雇用でしょう。
 社員は、自分の一生涯の食い扶持を保証してくれる会社に大いに感謝し、尽くそうという気持ちになるはずです。

 例えば武士を考えてみましょう。封建制度では「御恩と奉公」という関係が機能していました。武士たちの所領を安堵(食い扶持を保証)することによって、主君に奉公するよう求める。
 ずいぶん古臭い話だと思われるかもしれませんが、当時も現在も人間の本質そのものは変わっていません。
 終身雇用とは所領安堵と同じことであり、これが確保されなければ、武士が主君に反旗を翻すように従業員が会社に対して反乱を起こしても仕方がありません。

 逆に年功序列は、組織や従業員を腐敗させます。終身雇用で身分が保証されているのに加えて、仕事の結果が社内の地位や報酬に反映されないのであれば、社員のモチベーションは急低下します。

 例えば、旧ソ連やチャイナなどの共産主義国家で、終身雇用の年功序列組織である国営企業がどうしようもなくなりました。そして、結局資本主義的競争原理 を取り入れた「市場化」で生き延びただけでは無く、チャイナに至っては「改革開放」という実力主義で大繁栄したことを見てもこの事実は明らかです。

 人事・給与システムを頻繁に変更してきたある企業のオーナー社長もこう言っています。

「固定給、完全歩合制など色々な方法を試したが、結局、生活最低限の基本給を保証して、それに加えて思い切った歩合給を支給するやり方が、もっともうまくいった」

「最低限の生活が保障された上で、実力次第でより多くのものを得ることが出来る」というシステムが最もうまく機能するということです。


●リストラをしてはいけない

 ところが、現在の経営者の多くはまったく逆のことを行っています。
 私が若いころは「経営者の最も大事な仕事は、従業員とその家族の生活を保障することである」と当たり前のように語られていましたが、最近はそんなことを言う人には滅多にお目にかかりません。

<続く>

続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/12月号をご参照ください。

(大原浩)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)