なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=「バリュートラップに怯えすぎる愚はおかしたくないと考える日々が続く」=
(有料メルマガ第244回・2013/9/10配信号)
※注 2013年9月現在の内容ですので留意下さい。
株式投資など、相場といわれる投資対象で、長く運用を行っていると、相場での運用成績は運や偶然に左右されることが本当に大きいということを身に染みて悟らされます。
【中略】
運や偶然もある程度の努力で、より運が良くなるとか、自分に都合のよい偶然が起こる確率を高める、ということが出来ないわけではないと私自身は信じてい ます。しかし、これは経験で体感、理解できることで、言葉や理論で他人に明確に説明し理解してもらうことができることではないと思っています。
そこで、私は運や偶然は人間の力ではどうすることもできないものだという前提を置いたうえで、投資家としては人間が理解できる20%から30%程度の合 理的に説明できる株価に影響を与える部分を見極め、考え抜いて投資行動をとっていくことで、利益を少しでも上げること、運用成績を上げることを目指すしか ないと考えているわけです。
中長期的に考えれば、株価というものは企業が業績を上げ利益を出し続けて成長していけるかどうかで決まると、世の中では考えられています。
だから個人投資家もプロのファンドマネージャーも投資家ならば企業のファンダメンタルズの内容を考え抜いて、ファンダメンタルズが良好なのに株価が安値に放置されている、本当(=どう考えても絶対といえるほど)に割安な銘柄を探しているわけです。
しかし株式投資においては、そんな本当に割安な株に投資することが出来たとしても、それで儲かることが保障されているわけではないことも、真実です。
多くの自分以外の投資家が、自分が買った『本当に割安』な株に気が付いて、いっしょに買ってくれなければ株価は、まったく上がらずに、むしろ下げてしまうことも多いのが株式市場の真実の姿です。このことは株式投資を1年程度も行っていれば、気付かされる事実です。
これを相場の世界では『バリュートラップ(割安性の罠)』などと呼んでいるわけです。しかし、このメルマガをスタートしてから、研究銘柄として取り上げ た時点ではバリュートラップにどっぷりはまり込んでいたバリュー株が1年から2年たって株価を確認すると、研究銘柄として取り上げた時よりも株価が数倍に 上がったものはかなりたくさんあります。
多くの投資家が割安な株に投資しない理由はもろもろです。投資家がそのような株を買わないのは、その企業の株価が割安なことを知らないことが、まずあり ます。また割安だと気が付いていても、出来高が小さい銘柄の場合は、その銘柄に投資している大口の投資家の都合による売買で株価が急に大きく落ちてしまう ことも有りうるという流動性リスクが高いこともあります。
しかし多くのベテラン投資家が懸念するような、流動性リスクが発生して自分の買値から株価が大きく下落しても、買った時点で、すでに株価が『企業の本当 の価値(=資産価値+事業価値)』から考えて、とても安いところにあったわけですから、さらに株価が下げたとしても購入時点より配当利回りが高くなり、 PERとPBRなどの投資指標はより低くなり、割安感がもっと大きくなるということも事実です。
最初に述べたように株価が業績に比例して、いつかは分からないけれど、いずれかの未来に上がるならば、その企業が業績を伸ばして利益を出し続けて成長し ていくと信じられるなら、ある程度の長い投資期間を考えて、これから数年間は使う必要がない資金を、投資しておく対象として考えても良いと思っています。 つまり現在時点ではどっぷりとバリュートラップに落ち込んでいる銘柄も、投資対象としては魅力があるとも判断できます。
そのような割安株に投資をするために一番大切なのは、その企業のファンダメンタルズ、少し細かく例示すると利益率、収益性、事業の成長性、財務の健全 性、すでに保有している資産の価値、製造ノウハウなどの知識を持つことです。つまり企業分析が大切だということです。その企業を良く理解していないと投資 する意欲は持てません。
繰り返しになりますが、人間が理解できる理由で株価が上がる(=決まる)割合は20%から30%しかないことも、頭の中ではしっかりと認識しておくことも大事です。
そしてこのようなバリュートラップに落ち込んでいるような銘柄の株価が上がり始めるときは、何らかのカタリスト(=触媒)が存在していることも多いということを理解しておくことが大事です。
身近なカタリストといえば、優待の最終権利日が近づいてくること、業績の大幅な増益修正のIRがあること、投資環境が良くなる事などが考えられます。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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