●「戦略」とは戦争のやり方である
ビジネスの世界では「戦略」という言葉が当たり前のように使われていますが、これは元々軍事用語です。もちろん「戦争において【どのように勝利するのか】という方法論」を意味します。
ビジネスの「競争戦略」においては、マイケル・ポーターの著作が大変読み応えのある存在((どれも大著・・・)ですが、それを遡ること数千年前に書かれたのが「孫子」の戦略論(兵法書)です(ちなみに「孫子」は、著者の名前としても書物の名前としても使われます)。
マイケル・ポーターの著書が百科事典並みの厚さとすれば、「孫子」は会社案内や映画館で売られているパンフレット並みの薄さです。
細かく事例を挙げて細部を検証しながら学問的体系を構築する西洋的手法の典型例がマイケル・ポーターだとすれば、孫子は「暗黙知」(=言葉にならない知性・知識)を前提に、ごく限られた言葉で核心をついていく東洋的手法の典型といえるでしょう。
ここでどちらが良い・悪いを論じるつもりはありませんが、東洋人である日本人にとって、短くて鋭い言葉の背景にある「暗黙知」を理解するのは、それほど難しいことでは無いと思います。
バフェットはもちろん西洋人であり、その考えは論理に裏付けられていますが、東洋的思想と共通するものも感じます。少なくともマイケル・ポーターよりは「暗黙知」をよく理解し活用しているようです。
その証拠の一つが、よく知られている「バフェットの金言」です。バフェットは短い言葉で核心をつくのがとても上手で、「なるほど」とうなずくことが多いのですが、これはもちろんバフェットが「暗黙知」をよく理解しているからです。
そして、バフェットの金言と孫子の言葉には多くの似通った部分があります。
今回は、孫子とバフェットの言葉から両者の共通項を探ります。
●敵を知り己を知れば百戦危うかず
これは老子の中でも最も有名な言葉の一つでしょう。相手の戦力や弱点などを研究するだけでは無く、自らの戦力や弱点を知ってこそ「勝利」が確実になるということです。
バフェットは同じことを「自らの範囲で投資(ビジネス)を行っていれば決して(致命的な)失敗はしない」と表現しています。
<続く>
続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/5月号をご参照ください。
(大原浩)
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GINZAXグローバル経済・投資研究会・代表大原浩著
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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