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為替市場動向~ポジション調整?トレンド転換?思案のとき~

2014/12/11 22:30 投稿

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中央銀行の超金融緩和と株価下支え、年金資金のリスク資産運用率の引き上げなど日本では国策相場が続いています。好調が言われる米国経済、原油安も材料となり猛スピードで円安が進みました。
 先週金曜日に発表された米国の雇用統計は予想を大きく上回る雇用者増のサプライズ。ドル円相場は一気に121円台後半、そして日経平均株価は1万8千円 台達成を果たしました。この水準達成は、短期、中長期の投資家にとって利益確定の絶好の機会となった感があります。6日の満月を挟んで、相場はいったん一 つの節目を迎えたのではないかと思います。

 9日には、中国での短期融資に関する担保規定の厳格化という材料に加えて、ギリシャの政治不安報道が世界的な株安によりリスク回避行動が先行したとされますが、実際にはきっかけの一つとなっただけでしょう。

 このところの原油価格下落、ドル高で為替市場では、新興国通貨の下落が目立っていました。最も下落していたのは、ロシア・ルーブルです。ウクライナ問題 による欧米の制裁も響いて対米ドルで直近レートは10月末比約40%のルーブル安。同期間でブラジル・レアル-14%、豪ドルマイナス12%、メキシコ・ ペソ-10%、アジア通貨ではインドネシア・ルピーが8.6%と資源国通貨安が顕著になっています。

 米ドル独歩高傾向から生まれる大きな均衡の崩れが新興国リスクにつながり、それが世界的リスクにつながる可能性を市場が匂いを感じ始めたと見るのは、考 え過ぎかもしれません。ただ、一方通行で進んできた相場です。利益確定、ポジション調整があっても不思議ではないでしょう。それがポジション調整だけなの か、大きな相場の転換点なのかを判断するには、しばらく時間が必要になるだろうと思います。

 先週までの相場では、「売って知る相場の強さかな」でしたが、今週から場味が変わったようにも思います。ドル円相場、株式相場は、これまでの押し目買い作戦が有効でした。しかし、ここは様子見にして次の展開を考えていく時期ではないかと思います。
 目標値が達成されたことに加えて、年末相場は例年様々なポジション調整が起こりやすく、参加者の減少とともに荒波が起こりやすい時期です。荒波で取引す る楽しみ(?)とともに儲ける自信があれば良いのですが、やっと到達した目標値、個人投資の場合、いったん〆ても良いのではないかと思います。

 金融超緩和の長期化、累積する貿易赤字構造、日米実質金利差の拡大など、円安材料は事欠かないわけですが、相場には賞味期間があるのも確かです。今回の相場でもっとも熟した食べごろが今月5日~8日あたりだったとも考えられます。

 今後、更なる円安が進むとしても、相場形成の時間が必要だと思います。
 また、日本の貿易構造にも少しずつ変化が表れてきている兆候も今後の方向性を見定めるために注目する必要もあるでしょう。

 量的緩和が来年早々開始されると言われるユーロ相場は、先週米国雇用統計の結果を受けて、ドル高ユーロ安の展開となり、1.22台中盤まで下落しました が、昨日からのドル売り傾向の中1.23台後半まで買い戻されています。量的緩和期待でユーロ安に賭けたポジションが累積しているので買戻されやすい傾向 があります。加えて、ユーロ諸国の物価を差し引いた実質金利はプラスであり、日本の実質マイナス金利とは異なります。金利面ではユーロ買い材料となりま す。量的緩和期待で売りトレンドは続くと思いますが、一方的な動きにはならない可能性もあります。

 資源国通貨の中で、底堅い人気を維持してきた豪ドルも上記したように12%下落しています。資源安の影響もありますが、国内経済の不振も加わっているので、上値の重さはしばらく続きそうです。


 さて、11月26日付の拙コラムで、

”「米国経済は好調」の盲信で、しっぺ返しを受けるリスクも考えておく必要があります。”

というコメントを書いたところ、読者の方から

”米ドルのしっぺ返しというのは、将来ドル高は米国貿易収支によろしくない!と米政府がコメントする場面を想定した表現でしょうか?”

というコメントを頂戴しました。読み返してみると、私の表現がいつもながらの説明不足だったようです。

 申し上げたかったのは、今ある定説を疑ってみることも大事ということです。何か(この場合、米国経済)を過剰評価するのもリスクの一つですから、一歩下がって注意深く見ておく必要があるとの文脈でした。ご指摘ありがとうございました。

 また、他の読者の方から、拙コラムからは師走相場が静かになるようなさびしい印象を受けました、とのコメントを頂戴しました。
 申し上げたかったのは、例年クリスマスに近づくに従いポジション調整が先行しやすく、また参加者減少でマーケットが薄くなる傾向があるので、方向感がない乱高下で振らされることもよくあるので注意しておいた方が良いということでした。
 文章力、説明力不足を反省します。

 日本の総選挙や来週の米国FOMCという材料も残っていますので、大きな動きも予想されますが、個人的には今年は株高、外貨高でリスク投資をした方には利が出た年であったと思います。良いところで〆て新年を迎えるのも得策かなと思った次第です。

 読者の皆さまからのコメントは大変参考になり有難く思っています。御礼申し上げます。今後とも、ご意見を伺えれば嬉しく存じます。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

*12月10日15時執筆
 本号の情報は12月9日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、
 記載内容および拙見解は参考情報として記しています。

式町 みどり拝

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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