先月の記事でしたが、日経新聞10月24日の市場欄スクランブルに「頼りない日本株投信」との見出しのコラムがありました。野村アセットマネジメントの ファンドを引き合いに出して、ある意味、国内販売会社(銀行や証券などの大手金融機関)の販売姿勢に対する批判記事になっていました。
業界では誰でも知るファンドなのですが、パフォーマンスも良く販売開始から10年以上を経ている投信なのに国内残高は僅か60億円しかありません。それ に対して海外では4,500億円もの残高になっているのですが、その理由は単純明快で、国内では乗換えにより残高が増えないのに対して、海外ではそのパ フォーマンスと将来性を評価されて資金が増え続けている訳です。証券市場関係者は相場を嘆くよりも先にやることがあるはずとの解説が付されていました。
過去に何度も記述していますが、正にこれこそが国内の投信販売状況を表している現実です。日本の投資信託は乗換えが多いために残高が増えないのですが、 銀行や証券会社は売り易い、そして投資家に訴え易いストーリーをイメージさせる金融商品を運用子会社に作らせ、毎年500本もの投資信託を世に送り出し、 少しでも基準価格が上がると(商品特性をよく知らない)投資家に売らせて次の商品を勧める・・・この繰り返し。
販売額を増やすためには特別配当金までも含めて(欧米では禁止されている方法で)好利回りを謳い、詳しくない一般投資家を勧誘してきました。
2000年代に入ってからは株式委託手数料が自由化された中で証券会社の収入は激減しました。同時にこの時すでに従来型の(株式投信を筆頭に)投信は信 頼を失っていましたので、何とか投資家の気を引く金融商品が必要になりました。その筆頭格が国際投信のグロソブであり、これに倣う形で毎月分配型の投資信 託が続々と生み出されました。「年金代わりになりますよ」との整合性の無いセールストークを引っ提げて。監督当局はこの不合理性を分かっていたはずですが 業界の衰退を懸念してか黙認してきました。
特別配当金、つまりタコ足配当もひっくるめた「好配当」をパンフレットにまでも謳ったファンド組成の全盛期が2000年代から始まりました。毎月決算に するための手間賃も投資家負担になりますし、複利効果が得られないのですから何のための投信?と言いたくなる商品ですが、毎月の配当(手取り)があること と、目先の配当を優先することで将来に於ける運用や為替のリスクを軽減したい、と言う事なのか・・・?
大半の投資家は特別分配の仕組みを理解せず買わされたため、その後実態を知った投資家からの訴えなどからトラブルが頻発し、漸く今年の暮れに改善される見通しとなりました。「特別分配金を配当と書いてはいけないよ」と。当たり前ですね。
ここ数年はハイイールド債(ジャンク債)と海外通貨をミックスするなどで好配当を謳った商品が増えています。そりゃそうです。今度はリスクの高い複数の 原資産を組み合わせているのですから高い配当を出しやすい訳で、つまりリスクが倍加した金融商品を組成することで手数料収入と配当を厚くする手法に移って います。今のところは世界的な低金利と円安傾向などにより運用出来ていますし見栄えは良いですが、もし市場が逆方向に動けば大きな損失を蒙る懸念がありま す。保有コストも高いですから注意が必要です。
財務省の管轄業界に限らず、農水省による食管制度やJAの存立とコメの流通においても、また経産省の商品先物業界においても厚労省の医療行政などにおいても、あらゆるところで一般消費者、投資家を生贄に維持されてきた天下りシステムが軋み始めています。
10月から決算発表が続いている株式市場でも歪みが大きくなっています。ネット上で上方修正が発表されるや否や瞬時に株価は急騰し、下方修正の場合には 同様に間髪を入れず急落します。以前のように投資家が修正の中身を検証する間など全くありません。「幾らが妥当な株価なのか?」などには無関係に、ネット 上の文字と数字だけに反応するプログラムに従って自動的に売買が実行されます。
最近の株式市場の特徴は、まず前日のCMEの結果や為替状況に合わせた位置に上にも下にも離れて寄り付きます。一日の動向はここからのスタートになりま すが、出来高は少ないものの海外に合わせた夜間取引の方が余程相場らしく感じられるくらいです。一旦寄り付いた後は値動きの激しい銘柄に売買が集中し、運 良く飛び乗り飛び降りが成功した時に利益が出ます。または最近の動向が示す通り、値嵩の指数採用銘柄ばかりに売買が集中し日経平均が大きく変動するケース が増えています。
これら以外では普段の動きは少なく、サプライズの無い銘柄は割安でも放置されたままです。上述のように決算発表または若干でも何らかの発表があった事だ けを理由に株価が瞬間移動しますから、開示されているデータを元に地道に研究して投資しても実際には何か別のニュースで一瞬にして株価が上下に動くため、 予想外の結果となるケースが増えています。余程の内部情報でも手に入れない限りは運次第の博打場と同じです。
一昔前の株式市場とは似て非なるものに感じます。一部の投機的売買が支配する歪んだ市場では真面な投資家は育ちませんし、結果としてNISAや財政ファ イナンスに吸い寄せられて株式市場に入ってきた一般投資家も期待ほどには儲かっていないようです。これから一層乱高下の激しい投機的相場になる懸念があり ますから注意が必要です。
日銀が「ETFを買う」と宣言し、インデックスを上げるための官制相場ですから、指数採用銘柄やETFの売買ばかりに偏った歪な相場が続く事が予想されます。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
業界では誰でも知るファンドなのですが、パフォーマンスも良く販売開始から10年以上を経ている投信なのに国内残高は僅か60億円しかありません。それ に対して海外では4,500億円もの残高になっているのですが、その理由は単純明快で、国内では乗換えにより残高が増えないのに対して、海外ではそのパ フォーマンスと将来性を評価されて資金が増え続けている訳です。証券市場関係者は相場を嘆くよりも先にやることがあるはずとの解説が付されていました。
過去に何度も記述していますが、正にこれこそが国内の投信販売状況を表している現実です。日本の投資信託は乗換えが多いために残高が増えないのですが、 銀行や証券会社は売り易い、そして投資家に訴え易いストーリーをイメージさせる金融商品を運用子会社に作らせ、毎年500本もの投資信託を世に送り出し、 少しでも基準価格が上がると(商品特性をよく知らない)投資家に売らせて次の商品を勧める・・・この繰り返し。
販売額を増やすためには特別配当金までも含めて(欧米では禁止されている方法で)好利回りを謳い、詳しくない一般投資家を勧誘してきました。
2000年代に入ってからは株式委託手数料が自由化された中で証券会社の収入は激減しました。同時にこの時すでに従来型の(株式投信を筆頭に)投信は信 頼を失っていましたので、何とか投資家の気を引く金融商品が必要になりました。その筆頭格が国際投信のグロソブであり、これに倣う形で毎月分配型の投資信 託が続々と生み出されました。「年金代わりになりますよ」との整合性の無いセールストークを引っ提げて。監督当局はこの不合理性を分かっていたはずですが 業界の衰退を懸念してか黙認してきました。
特別配当金、つまりタコ足配当もひっくるめた「好配当」をパンフレットにまでも謳ったファンド組成の全盛期が2000年代から始まりました。毎月決算に するための手間賃も投資家負担になりますし、複利効果が得られないのですから何のための投信?と言いたくなる商品ですが、毎月の配当(手取り)があること と、目先の配当を優先することで将来に於ける運用や為替のリスクを軽減したい、と言う事なのか・・・?
大半の投資家は特別分配の仕組みを理解せず買わされたため、その後実態を知った投資家からの訴えなどからトラブルが頻発し、漸く今年の暮れに改善される見通しとなりました。「特別分配金を配当と書いてはいけないよ」と。当たり前ですね。
ここ数年はハイイールド債(ジャンク債)と海外通貨をミックスするなどで好配当を謳った商品が増えています。そりゃそうです。今度はリスクの高い複数の 原資産を組み合わせているのですから高い配当を出しやすい訳で、つまりリスクが倍加した金融商品を組成することで手数料収入と配当を厚くする手法に移って います。今のところは世界的な低金利と円安傾向などにより運用出来ていますし見栄えは良いですが、もし市場が逆方向に動けば大きな損失を蒙る懸念がありま す。保有コストも高いですから注意が必要です。
財務省の管轄業界に限らず、農水省による食管制度やJAの存立とコメの流通においても、また経産省の商品先物業界においても厚労省の医療行政などにおいても、あらゆるところで一般消費者、投資家を生贄に維持されてきた天下りシステムが軋み始めています。
10月から決算発表が続いている株式市場でも歪みが大きくなっています。ネット上で上方修正が発表されるや否や瞬時に株価は急騰し、下方修正の場合には 同様に間髪を入れず急落します。以前のように投資家が修正の中身を検証する間など全くありません。「幾らが妥当な株価なのか?」などには無関係に、ネット 上の文字と数字だけに反応するプログラムに従って自動的に売買が実行されます。
最近の株式市場の特徴は、まず前日のCMEの結果や為替状況に合わせた位置に上にも下にも離れて寄り付きます。一日の動向はここからのスタートになりま すが、出来高は少ないものの海外に合わせた夜間取引の方が余程相場らしく感じられるくらいです。一旦寄り付いた後は値動きの激しい銘柄に売買が集中し、運 良く飛び乗り飛び降りが成功した時に利益が出ます。または最近の動向が示す通り、値嵩の指数採用銘柄ばかりに売買が集中し日経平均が大きく変動するケース が増えています。
これら以外では普段の動きは少なく、サプライズの無い銘柄は割安でも放置されたままです。上述のように決算発表または若干でも何らかの発表があった事だ けを理由に株価が瞬間移動しますから、開示されているデータを元に地道に研究して投資しても実際には何か別のニュースで一瞬にして株価が上下に動くため、 予想外の結果となるケースが増えています。余程の内部情報でも手に入れない限りは運次第の博打場と同じです。
一昔前の株式市場とは似て非なるものに感じます。一部の投機的売買が支配する歪んだ市場では真面な投資家は育ちませんし、結果としてNISAや財政ファ イナンスに吸い寄せられて株式市場に入ってきた一般投資家も期待ほどには儲かっていないようです。これから一層乱高下の激しい投機的相場になる懸念があり ますから注意が必要です。
日銀が「ETFを買う」と宣言し、インデックスを上げるための官制相場ですから、指数採用銘柄やETFの売買ばかりに偏った歪な相場が続く事が予想されます。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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