前の週の地合いを引き継ぎ、4日の終値は448円高の1万6862円となり、約7年ぶりの高値を回復。為替が1ドル=114円まで円安・ドル高が進行し たこともあり、日経平均は一時713円高の1万7127円まで上昇しました。その後は利益確定売りを交えながらも、米株高と円安を支えに底堅く推移しまし た。
日銀が意外なタイミングで追加緩和に踏み切ったことで、当面株式市場では「売り込みづらい」センチメントが醸成されたものと思います。需給面でも、 NISA口座を通じた個人の買い、GPIFの運用改革に伴う年金の買い、日銀のFTFの買いなどが下値を支えるものと見込まれます。米国の堅調な景気動 向、外為市場での円安傾向、国内企業業績の拡大なども支援材料といえます。
懸念材料といえるのは、やはり内外ともに政治と考えます。
国内では、消費再増税を実施するのか、見送るのかが大きな焦点です。法律的には、15年10月の税率の再引き上げ(8%→10%)は決まっているため、 「消費再増税見送りを宣言して衆院を解散し、国民に信を問う」との流れは一定の合理性があるものと思います。世界経済の減速が懸念されるなかでの日銀の 「バズーカ砲」(追加緩和)は世界の金融資本市場に安心感を与えました。さらに、安倍内閣が消費再増税を先延ばしし、当面景気浮揚、デフレ脱却に専念する のは、この局面ではむしろ望ましいものと考えます。これらを巡って、安倍内閣が迷走することは株式市場にとってマイナスです。
米国の景気は力強く回復しつつあり、中長期的にも、人口増、シェール革命の進行などにより、先進国にあって高めの成長が続くと予想します。ただ、上下院を共和党が過半数を握ったことによるオバマ政権の指導力の弱体化が懸念されます。
以前にも述べましたが、共和党はFRBの量的緩和策に強硬に反対してきました。次回の大統領選の共和党のホープとも目されるランド・ポール上院議員な ど、茶会党の影響が濃い人々は、FRBの廃止に言及しています。FRBは量的緩和策を終了しましたが、共和党が金利の正常化(政策金利の引き上げ)を強く 要求するなどで、株式市場が混乱する可能性もあると考えます。
日経平均株価は年末に向け底堅く推移すると思いますが、先週も述べたように、直近の業績動向、株主還元に対するスタンス、消費再増税後においても業績拡大を継続できる収益力など、より個別銘柄に注目する選別な展開を予想しております。
(水島寒月)
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