今週(6月16日~20日)の東京株式市場は前週に続き好調に推移、19日には日経平均で節目とされる3月7日の戻り高値(1万5274円)を上回りました。
 米株式市場が連日高値を更新するなか、国内で消費増税の影響が軽微にとどまる見通しが広がったこと、法人税減税など政府の成長戦略の概要がみえてきたことで、国内景気の先行きへの期待が強まったことで、内需株が全体を牽引しています。

 米国では、連邦準備理事会(FRB)は景気の回復基調を背景に、量的緩和の一段の縮小を継続しましたが、イエレン議長は利上げ時期に関しては、「全く決 めていない」と強調、緩和姿勢を当面続ける意向を示しました。イエレン議長は経済学者としては雇用問題を専門としていますが、失業率の順調な低下にもかか わらず、長期失業者が高止まりするなどの構造的な問題などを重視しているようです。
 米国の景気は短期的には、記録的な寒波の影響を脱して復調しつつあり、中長期的にも、リーマンショック後の家計のバランスシート調整を終えて上向きつつ あります。ユーロ圏が、日本同様にバブル崩壊後の処理に手間取っているのに対し、米国は金融問題の処理を迅速に進めた点はさすがといえます。

 今後は、上記のような雇用の構造問題をいかに解決し、潜在成長率をリーマンショック前の水準(実質GDPで3.5%程度)まで回復することが出来るかどうかが課題となります。

 なお、米国経済には「ジンクス」がありまして、「民主党の大統領が迎える中間選挙の年は景気が良い」とのこと。今年はまさにその年に当たります。
 気になるのは、オバマ大統領の支持率が低下傾向をたどっていることです。中間選挙の結果により、また財政協議が蒸し返されるようですと、米国の景気動向、株式市場にも影響が出かねません。

(水島寒月)

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