本連載を初めてお読みになる方は<孫子の投資法その1>を先にご覧ください。 http://okuchika.jugem.jp/?eid=4482
■敵の陰謀を実行しないうちに破る
◎最上の戦争は、敵の陰謀を実行しないうちに破ることであり、その次は敵と連合国の関係を破ることである。そして、その次は敵の軍を討つことであり、最悪なのは敵の城を攻めることである。敵の城を攻めるというのは、他に手段が無い時にやむを得ず行うべきである。
孫子が常に強調するのは弱者でも強者に勝てる「策略」の重要性です。敵と真正面から対峙するのではなく、背後や横から揺さぶりをかけて敵を自滅に追い込 めば、味方の損害を最小限にすることができます。あるいは、たった100人の兵力で1万人以上の軍隊を打ち破ることも優れた策略があれば可能です。
ところで、「テロリスト」なのか「革命軍」あるいは「レジスタンス」なのか、その線引きは極めてあいまいです。例えば、現在の米国政府は、英国の植民地 であった時代には「テロリスト」「反政府勢力」と呼ばれていた人々の末裔が担っています。フランスの「革命」も当時の政府からは「テロリスト」「反政府勢 力」と呼ばれていた人々の勝利によって成し遂げられました。
ですから、「テロリスト」「革命軍」「レジスタンス」「反政府勢力」の区別なく、弱者が強者に勝つための手法のエッセンスが「孫子13章」であるといえます。
弱者が強者に勝つために最も重要な武器が「策略=知恵」であるわけですから、強大な力を持つ敵が力に奢ることなく、謙虚な姿勢で「策略=知恵」を使い始めたら勝ち目はありません。
あるいは、同等あるいははるかに弱小な敵であっても、有効な「策略=知恵」で戦いを挑まれたら、同じく勝ち目がありません。
ですから、自分よりも強大である敵はもちろんのこと、はるかに弱小である敵であっても、「策略=陰謀」の気配が見えたら、種や芽のうちに徹底的に叩き潰さなければなりません。
その芽や種が成長してしまっては、とても厄介なことになります。
中国共産党も、第2次世界大戦が終了したころには、国際法上は反政府「テロリスト」集団にしかすぎませんでした。現在中国と呼ばれている地域の代表はあ くまで国民党政府=中華民国(現在の台湾)であり、ポツダム宣言に加わったのも国民党政府(中華民国)の蒋介石であって、中国共産党は当時世界中が認める 非合法テロリスト集団であったわけです。
しかし、敵ながらあっぱれなのは、非合法集団であった共産主義中国はすべての中国の古代からの知恵・哲学を否定し破壊しつくしたのにも関わらず、「(孫子の)弱者が勝つ方法」を熟知していたことです。
そのおかげで、世界第2位の経済大国にまでのし上がりました(中国の国民にとってそれが幸であったか、不幸であったかは別問題です。逆に言えば、日本を含む世界の国々は、種や芽のうちに摘み取る努力を怠ったために、現在の様な禍に見舞われているわけです)。
しかし、劇的な成功に酔いしれてコントロールが効かなくなったのか、最近の共産主義中国にはほころびが見えます。
弱者が強者に勝つ方法として「敵の同盟関係にヒビを入れる」というものがあります。実際、共産主義中国は、日米関係や日韓関係にヒビを入れることに腐心しある程度成功してきました。しかし、ベトナムやフィリピンとの領土問題では戦略を誤ったかもしれません。
共産主義中国とASEANの関係は難しいものになっていくでしょうし、共産主義中国と米国や欧州との関係も微妙になっていきます。そうでなくても、共産主義中国は第2次世界大戦後侵略したチベットやウルムチなどでの深刻な人権問題を抱えています。
GDPでは共産主義中国に抜かれ相対的な弱者となった日本は、今こそ「孫子の知恵」に学ぶときです。その点で、世界中の友好国(同盟国)を幅広く取り込んでいこうとする安倍政権の施策はとても理にかなったものです。
敵を真正面から攻撃するのでは無く、敵の同盟関係にヒビを入れ、敵の友好国を味方に引きずり込んでいくのです。
もちろん、投資やビジネスにおいても同じことです。弱者である小さな企業が「策略=戦略」によって、大きな勝利を勝ち取り成長するときこそ、最大のチャンスです。
(大原浩)
【昇龍社の出版物 アマゾン・Kindle版】
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*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
■敵の陰謀を実行しないうちに破る
◎最上の戦争は、敵の陰謀を実行しないうちに破ることであり、その次は敵と連合国の関係を破ることである。そして、その次は敵の軍を討つことであり、最悪なのは敵の城を攻めることである。敵の城を攻めるというのは、他に手段が無い時にやむを得ず行うべきである。
孫子が常に強調するのは弱者でも強者に勝てる「策略」の重要性です。敵と真正面から対峙するのではなく、背後や横から揺さぶりをかけて敵を自滅に追い込 めば、味方の損害を最小限にすることができます。あるいは、たった100人の兵力で1万人以上の軍隊を打ち破ることも優れた策略があれば可能です。
ところで、「テロリスト」なのか「革命軍」あるいは「レジスタンス」なのか、その線引きは極めてあいまいです。例えば、現在の米国政府は、英国の植民地 であった時代には「テロリスト」「反政府勢力」と呼ばれていた人々の末裔が担っています。フランスの「革命」も当時の政府からは「テロリスト」「反政府勢 力」と呼ばれていた人々の勝利によって成し遂げられました。
ですから、「テロリスト」「革命軍」「レジスタンス」「反政府勢力」の区別なく、弱者が強者に勝つための手法のエッセンスが「孫子13章」であるといえます。
弱者が強者に勝つために最も重要な武器が「策略=知恵」であるわけですから、強大な力を持つ敵が力に奢ることなく、謙虚な姿勢で「策略=知恵」を使い始めたら勝ち目はありません。
あるいは、同等あるいははるかに弱小な敵であっても、有効な「策略=知恵」で戦いを挑まれたら、同じく勝ち目がありません。
ですから、自分よりも強大である敵はもちろんのこと、はるかに弱小である敵であっても、「策略=陰謀」の気配が見えたら、種や芽のうちに徹底的に叩き潰さなければなりません。
その芽や種が成長してしまっては、とても厄介なことになります。
中国共産党も、第2次世界大戦が終了したころには、国際法上は反政府「テロリスト」集団にしかすぎませんでした。現在中国と呼ばれている地域の代表はあ くまで国民党政府=中華民国(現在の台湾)であり、ポツダム宣言に加わったのも国民党政府(中華民国)の蒋介石であって、中国共産党は当時世界中が認める 非合法テロリスト集団であったわけです。
しかし、敵ながらあっぱれなのは、非合法集団であった共産主義中国はすべての中国の古代からの知恵・哲学を否定し破壊しつくしたのにも関わらず、「(孫子の)弱者が勝つ方法」を熟知していたことです。
そのおかげで、世界第2位の経済大国にまでのし上がりました(中国の国民にとってそれが幸であったか、不幸であったかは別問題です。逆に言えば、日本を含む世界の国々は、種や芽のうちに摘み取る努力を怠ったために、現在の様な禍に見舞われているわけです)。
しかし、劇的な成功に酔いしれてコントロールが効かなくなったのか、最近の共産主義中国にはほころびが見えます。
弱者が強者に勝つ方法として「敵の同盟関係にヒビを入れる」というものがあります。実際、共産主義中国は、日米関係や日韓関係にヒビを入れることに腐心しある程度成功してきました。しかし、ベトナムやフィリピンとの領土問題では戦略を誤ったかもしれません。
共産主義中国とASEANの関係は難しいものになっていくでしょうし、共産主義中国と米国や欧州との関係も微妙になっていきます。そうでなくても、共産主義中国は第2次世界大戦後侵略したチベットやウルムチなどでの深刻な人権問題を抱えています。
GDPでは共産主義中国に抜かれ相対的な弱者となった日本は、今こそ「孫子の知恵」に学ぶときです。その点で、世界中の友好国(同盟国)を幅広く取り込んでいこうとする安倍政権の施策はとても理にかなったものです。
敵を真正面から攻撃するのでは無く、敵の同盟関係にヒビを入れ、敵の友好国を味方に引きずり込んでいくのです。
もちろん、投資やビジネスにおいても同じことです。弱者である小さな企業が「策略=戦略」によって、大きな勝利を勝ち取り成長するときこそ、最大のチャンスです。
(大原浩)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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