新年度入りの4月も今日で終了します。月初めの花見は短く、市場は相変わらず停滞前線張りつめる状態でゴールデンウィークの真っただ中の今日、月を終えそうです。
4月のドル・円相場を振り返ってみましょう。
本年2月から続く101円~104円のボックス相場。末日の今日の動きを見ても4月のボックス脱却もなさそうです。4月に入ってからのドル円相場は、 103円23銭に始まり、高値104円13銭、安値101円33銭、直近29日ニューヨーク終値102円62銭。2月から3月の動きで形成されている小さ な三角持合いを見ると、4月は高値も安値も若干なら上がってはいますが、上下ブレークには至らずでした。過去3か月のドル円取引の最多取引ゾーンは102 円~102円50銭。様々な材料をこなして、ここへ戻ってくるという動きの繰り返しとなっています。
上値を試した背景には、米国の一部経済指標の好調さや日本の公的年金運用が日本国債一辺倒から、外債や株への割合を増やすことが現実味をおびてきたこと が伝えられたことがあり、逆に下を試した背景には、日銀総裁の会見が金融緩和への市場の願いを断ち切ったかのように受け止められたことが最も大きかったで しょう。過去最大を記録した日本の貿易収支はすでにサプライズ材料ではなくなったようで、ウクライナ情勢の悪化にも反応薄でした。
とはいえ、4月中に動かなかったのは、ドル円相場に限らず、月間の主要通貨の対米ドルの動きは目立ったものがなく、最も上昇したのが韓国ウオンの 3.3%、続いてブラジル・レアルの1.6%、英ポンドやカナダドルが約1%の他はユーロや豪ドルの上昇は微小でした。一方で、下落通貨トップのスウエー デン・クローナやニュージーランド・ドルも1.3%程度の下落に終始しました。
日本の連休の谷間、米国ではFOMC開催、4月の雇用統計発表、日本では金融政策決定会合(本日)の開催があります。
米国FOMCでは、毎月100億ドルの量的緩和の縮小が予定通り行われていき、日本では黒田日銀総裁が強気発言をしようが異次元緩和を続けるという状況 には変化はないものと思われます。どちらも粛々と「回収する」と「当分ばらまき続ける」を実施していく状況には変化がないでしょう。将来展望に変化がない 限り、ドル円相場の下値はサポートされていくものと思います。
102円台に回帰してくる膠着相場には、購買力平価(OECD版、今後の物価動向を材料に計算)が現在の水準と同水準である102円60銭ということも ありそうです。今後の日本の物価上昇期待がさらに上がってくる、一方で他国のでディスインフレ期待が高まってくるなどの材料が今後出てくればジワジワ円安 に動いていく可能性が高まるかもしれません。
さて、動きが少なかったのはユーロ相場も同様でした。
ウクライナ情勢悪化や欧州中銀による量的緩和開始期待などユーロ安要因はありますが反応は軽微です。
ウクライナについていえば、地政学的リスクは大きいものの、EU諸国のウクライナ関連投資の引き揚げによるユーロ買戻しもあるので、一概にユーロ売りとも言えません。
量的緩和については、カードをちらつかせながら、なかなか切らなそうですし、問題国を含めて経済はよくはなっている、危機からの全般的な落ち着きも一方で見られ、方向感つかめず狭いレンジでの動きに終始しています。
値動きが賑やかなのは英ポンドです。英ポンドは、歴史的に投機対象になることが多い通貨ですが、昨年央からの英国景気回復への期待が高まり、ポンドは上 昇を続けています。昨年の安値1.4867(対米ドル)から直近高値1.6827まであり、対円高値は昨年末の174円36銭でしたが、直近水準も172 円台と高値に迫る勢いです。シカゴ商品取引所の投機ポジションでも、記録的な買い越し水準になっています。
英中銀は、需給ギャップが未だ大きいことなどから直ぐに利上げには動かないとしていますが、長期金利は10年物で米ドルとほぼ同水準2.68%程度、2年物では米国よりもやや高い0.6%水準で取引されています。金利先高観もポンド買いの背景です。
ただ、1.68ドル台、170円台のポンド。高いですね。ただでもロンドンの物価は高いことで知られていますから、英ポンド高は旅行者にはキツイでしょ う。また、貿易競争力からも過剰なポンド高は政府や中銀も避けたいところでしょう。他の通貨の動きが鈍い中、投機的には面白い対象ですが、過去の英ポンド の暴れぶりの歴史も参考にしてみれば、慎重に見ておく必要もあるでしょう。乗るなら、降りる判断は速やかに、でしょうか。
変化率が低下した為替相場。材料不足、プレイーヤー不足(リスクテイクへの規制や銀行の為替操作疑惑など)が影響している点もあるでしょうが、次の相場局面に向けて、力をためている時期ともいえます。
6月に目を向けると、麻生財務相がぽろっと口にした130兆円の年金資金を運用するGPIFの動きが注目されるますし、成長戦略の発表で法人税下げや農 政抜本改革等、これまで期待されていた政策が(しがらみを超えて)ひょっとして出たり、あるいは予想外のことで相場が大きく動く可能性もあるかもしれませ ん。停滞前線下ですが、油断なく準備しておきたいところです。
連休の最中、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
*4月30日13時執筆
本号の情報は4月29日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
4月のドル・円相場を振り返ってみましょう。
本年2月から続く101円~104円のボックス相場。末日の今日の動きを見ても4月のボックス脱却もなさそうです。4月に入ってからのドル円相場は、 103円23銭に始まり、高値104円13銭、安値101円33銭、直近29日ニューヨーク終値102円62銭。2月から3月の動きで形成されている小さ な三角持合いを見ると、4月は高値も安値も若干なら上がってはいますが、上下ブレークには至らずでした。過去3か月のドル円取引の最多取引ゾーンは102 円~102円50銭。様々な材料をこなして、ここへ戻ってくるという動きの繰り返しとなっています。
上値を試した背景には、米国の一部経済指標の好調さや日本の公的年金運用が日本国債一辺倒から、外債や株への割合を増やすことが現実味をおびてきたこと が伝えられたことがあり、逆に下を試した背景には、日銀総裁の会見が金融緩和への市場の願いを断ち切ったかのように受け止められたことが最も大きかったで しょう。過去最大を記録した日本の貿易収支はすでにサプライズ材料ではなくなったようで、ウクライナ情勢の悪化にも反応薄でした。
とはいえ、4月中に動かなかったのは、ドル円相場に限らず、月間の主要通貨の対米ドルの動きは目立ったものがなく、最も上昇したのが韓国ウオンの 3.3%、続いてブラジル・レアルの1.6%、英ポンドやカナダドルが約1%の他はユーロや豪ドルの上昇は微小でした。一方で、下落通貨トップのスウエー デン・クローナやニュージーランド・ドルも1.3%程度の下落に終始しました。
日本の連休の谷間、米国ではFOMC開催、4月の雇用統計発表、日本では金融政策決定会合(本日)の開催があります。
米国FOMCでは、毎月100億ドルの量的緩和の縮小が予定通り行われていき、日本では黒田日銀総裁が強気発言をしようが異次元緩和を続けるという状況 には変化はないものと思われます。どちらも粛々と「回収する」と「当分ばらまき続ける」を実施していく状況には変化がないでしょう。将来展望に変化がない 限り、ドル円相場の下値はサポートされていくものと思います。
102円台に回帰してくる膠着相場には、購買力平価(OECD版、今後の物価動向を材料に計算)が現在の水準と同水準である102円60銭ということも ありそうです。今後の日本の物価上昇期待がさらに上がってくる、一方で他国のでディスインフレ期待が高まってくるなどの材料が今後出てくればジワジワ円安 に動いていく可能性が高まるかもしれません。
さて、動きが少なかったのはユーロ相場も同様でした。
ウクライナ情勢悪化や欧州中銀による量的緩和開始期待などユーロ安要因はありますが反応は軽微です。
ウクライナについていえば、地政学的リスクは大きいものの、EU諸国のウクライナ関連投資の引き揚げによるユーロ買戻しもあるので、一概にユーロ売りとも言えません。
量的緩和については、カードをちらつかせながら、なかなか切らなそうですし、問題国を含めて経済はよくはなっている、危機からの全般的な落ち着きも一方で見られ、方向感つかめず狭いレンジでの動きに終始しています。
値動きが賑やかなのは英ポンドです。英ポンドは、歴史的に投機対象になることが多い通貨ですが、昨年央からの英国景気回復への期待が高まり、ポンドは上 昇を続けています。昨年の安値1.4867(対米ドル)から直近高値1.6827まであり、対円高値は昨年末の174円36銭でしたが、直近水準も172 円台と高値に迫る勢いです。シカゴ商品取引所の投機ポジションでも、記録的な買い越し水準になっています。
英中銀は、需給ギャップが未だ大きいことなどから直ぐに利上げには動かないとしていますが、長期金利は10年物で米ドルとほぼ同水準2.68%程度、2年物では米国よりもやや高い0.6%水準で取引されています。金利先高観もポンド買いの背景です。
ただ、1.68ドル台、170円台のポンド。高いですね。ただでもロンドンの物価は高いことで知られていますから、英ポンド高は旅行者にはキツイでしょ う。また、貿易競争力からも過剰なポンド高は政府や中銀も避けたいところでしょう。他の通貨の動きが鈍い中、投機的には面白い対象ですが、過去の英ポンド の暴れぶりの歴史も参考にしてみれば、慎重に見ておく必要もあるでしょう。乗るなら、降りる判断は速やかに、でしょうか。
変化率が低下した為替相場。材料不足、プレイーヤー不足(リスクテイクへの規制や銀行の為替操作疑惑など)が影響している点もあるでしょうが、次の相場局面に向けて、力をためている時期ともいえます。
6月に目を向けると、麻生財務相がぽろっと口にした130兆円の年金資金を運用するGPIFの動きが注目されるますし、成長戦略の発表で法人税下げや農 政抜本改革等、これまで期待されていた政策が(しがらみを超えて)ひょっとして出たり、あるいは予想外のことで相場が大きく動く可能性もあるかもしれませ ん。停滞前線下ですが、油断なく準備しておきたいところです。
連休の最中、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
*4月30日13時執筆
本号の情報は4月29日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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