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減益見通し企業の研究

2014/04/22 16:54 投稿

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株式で儲ける秘訣はと聞かれて、億の近道の読者の皆さんはどうお答えになりますか?

 答えは千差万別でしょうが、要するに投資対象の企業が業績を向上させることに尽きます。
 投資の王道は成長株投資です。成長企業というのは一定期間売上や利益を拡大させていけるビジネスモデルを構築し人材や設備を先行投資させて中期的に利益成長していける企業です。

 成長を見出す作業をアナリストの皆さんは行い、見出した企業を投資家にアピールしていきます。
 上場企業も自らをアピールしながら時価総額を拡大させていきますが、日本の場合は安定指向の企業が多いように思われます。つまり社内にお金をため込んで積極的な投資をしない企業が多いように感じられます。

 先行投資をしないで利益を上げられる企業なら良いですが、通常は先行して投資しないと利益拡大にはつながりません。つまり企業はお金をため込んでばかりいては成長できないのです。

 3600もの上場企業の中から投資家の皆さんは儲かりそうだと思う銘柄を見出してリスクマネー(時間をかけてリターンを得るために出すお金)を投じてお られますが、投資したい企業というのは少なくとも今期から来期にかけて利益成長が期待できる企業でしょうか?企業によっては中期計画を作成してその達成に 向かってまい進します。中期計画が達成できる可能性が高ければ株価は上昇しますし、絵空事のような計画では投資家はついて来ません。

 「減益見通しを発表した会社は株価が上がらない。」という基本パターンがあり、どうしても増益企業に目が向かいがちですが、そうした減益を発表した企業 にも投資価値が見出せるのでないかといつも頭の片隅には置いて考えています。同じ減益見通しでも一過性の先行投資によるものであればリターンは後から追い かけてきます。
 このため減益企業を研究するのは決して無意味なことではないと思われます。


【減益銘柄研究】

1)成長途上のハブ(3030)が今2月期の減益見通しを発表

2014.2期 売上高 8,478百万円、経常利益707百万円
2015.2期予売上高 9,000百万円、経常利益600百万円
2016.2期予売上高 9,300百万円、経常利益670百万円
2017.2期予売上高10,000百万円、経常利益800百万円

 英国風居酒屋「HUB」を首都圏を中心に展開する同社は2006年の上場以来、順調に売上と利益を拡大してきました。
 キャッシュオンデリバリーのシステムを取り入れ、急激な店舗増ではなく着実な店舗増で既存店をプラスにしながら居酒屋市場が縮小する中で同社の売上は拡 大基調を続けています。メンバー会員数は17万人を突破し、リピート客も多いため今期も増収増益を達成するとの期待がありましたが、残念ながら今期は前期 比6.2%の増収ながら同15.1%の経常減益を見込んでいます。

 成長株のはずが減益とは・・・。そう思った投資家は同社株を売りに出し、高止まりしていた株価が頭重くなってきました。時価3865円は、今期予想 PER13.4倍となっているほか、配当については減配をしない方針を打ち出しており、年84円配当を予定。時価は配当利回り2.17%となっています。

 今年はワールドカップ開催の年。6月開催月はかなりの売上が期待される中での減益見通しなのですが、その理由は人的コストの増加(店長の年収550万円 へ)、店舗メンテナンス費用の増加、販売価格の維持によるコスト増、旗艦店の一つである新宿靖国通り店の閉店による影響、といったことが掲げられていま す。
 今期の特徴は中期目標(2016年の売上高100億円、経常利益8億円)の達成に向けた前向きな施策と捉えることができます。

 ただ、表面的にはずっと利益が伸びてきたのに減益を発表したので一旦は株価は頭打ちとなってしまうのは致し方ないところです。もともと同社は2008年 度に中期計画として2017年の売上高100億円、経常利益8億円を掲げていましたが、それを今回、前倒しで1年早く達成するというものです。長期的な成 長を継続するための基盤構築の3年間と位置付けています。
 このことを同社は15日の決算説明会で説明しました。今年はワールドカップサッカーの開催が6月に予定されていますので、既存店は102.6%と伸びる と見ています。3月の月次で既存店が94.8%と落ち込んだので、この見通しはにわかには信じられないのでしょうが、前年の3月はWBCがあり、サッカー の予選もあったので109%と伸びたこともあってダウンすることは予想されていたとしています。むしろ期初計画を上回ったとのことです。6月は前年比 120%と大きく伸びると見ており、上期中心に今期は既存店の伸びが期待されています。

 今期の経常利益は既存店の売上増1億12百万円や前期の新規出店による増加1億20百万円などがありますが、ビル建替えによる1億12百万円(一時休 業)や既存店のメンテナンス65百万円、人件費の増加59百万円などの費用発生によって前期比1億7百万円のマイナスになると同社では分析しています。

 ビッグイベントの開催年で増収が確実視されている年にこそ、こうした先行的な対応を行うことで中長期の成長を確実なものとするということです。なお、同 社の出店はこれまで首都圏や関西、名古屋に限定されてきましたが、前期出店の仙台店が計画を2、30%も上回るなど好調で今後3,4店舗を仙台中心に出店 し、ドミナント化を図る計画です。
 また、同社初の大型店舗京阪京橋店も12月以降パーティ需要を取り込めており、計画通りに進捗しているとしています。

 出店については今期は4店舗に留まるものの来期は7店舗、さ来期は8店舗を計画。2016年度の店舗数は101店舗を計画しています。シングルモルトを ワンコインで出すというコンセプトの82という業態の新規出店は粗利率が低く敢えて止めており、HUB業態のみでの出店を計画。同社では100店舗超えて からがスタートとしており、リニューアルの徹底でぴかぴかの店舗で再成長、継続的な成長を目指すとしています。


2)ウェディングサービスに先行投資し減益となるKG情報

2011.12期 売上高 4,690百万円 経常利益  968百万円
2012.12期 売上高 4,727百万円 経常利益1,005百万円
2013.12期 売上高 4,691百万円 経常利益  821百万円
2014.12期予売上高 5,064百万円 経常利益  530百万円
2015.12期予売上高 5,300百万円 経常利益  620百万円※
 ※四季報春号

 渋谷のハチ公前交差点に1000%WEDDING!!ブランドのサロンを開設しプライベートコンシェルジェサービスを開始するとした岡山に本社を置く KG情報(2408)は2012年12月期をピークに2期連続の減益を見込んでいます。前期で先行投資は終わると見られたのですが、今期にずれ込んでし まったというのが2期連続の減益となる要因だそうです。

 先行投資金額は合計で5億円程度になるとの話で、前期は2億円、今期は3億円となるという前提で、経常利益は前期の8億21百万円、今期5億30百万円 となる見通しです。本来なら1億円の経費増で7億円程度は確保できないとなりませんが、堅めに計画しているという感触です。
 先行投資の内容は明確になっていませんがサロンの開設費用、HP開設、電車内広告、ポスター、チラシ、その他販促費用などと推察されます。リクルートを意識しているようですが、ビジネスモデルは現在模索中だとのこと。

 このビジネスは1000億円と言われるウェディング情報サービス市場(このうちの500億円が「ゼクシィ」ブランドのリクルート)の5%を確保していく ことが目標となっており、同社の新たなコア事業になるかどうか注目されます。売上が伸び悩んできた同社は一方ではキャシュリッチな財務内容を維持してきま したが、いよいよ念願の全国ベースのビジネス展開を実行し、業容の拡大を果たそうと考えています。
 全国ベースのビジネスはウェディングサービス以外にも求人情報、住宅情報などにも広がりつつあります。(時価496円)


3)毎週下がっていた買取王国(3181)が反転に転じた!!

 昨年の2月に上場した直後の株価は公募価格900円に対して初値2000円から一時は3000円という高値もつきましたが、その後は見事に下落歩調。同社の店舗ブランドにもあるようにマイシュウサガール状態となってしまいました。
 本年3月には、755円という安値まで売られました。ここまで下がるとさすがに割安感が出てきます。本日は一気に前日比9%以上もの値上がりとなり866円で終えました。

 同社は先週アナリスト協会で説明会を開催。前2月期の業績が創業以来初めて減収減益となったとして、今後の対応と今期の決算見通しを示していました。やはり株価は実際に減益となった結果よりも根拠は薄いが今期の業績計画を評価し始めます。

 同社は中古品を買い取って販売するリサイクルビジネスを中部地区で展開。コメ兵などと同様のリユースビジネスで売上規模54億円という水準となっていま す。ファッション品とホビーで売上の63%を占めており、前期はそのうちのファッション品の低単価品の売上が前年を下回り、粗利率が下がったことが減収要 因につながったとしています。
 今期はこれに対して低単価衣料品の在庫コントロールを行うほか、標準化による基本機能の回復、低単価VS高単価バランスを明確化するなどの対策を講じて 増収増益への復帰を図る計画。買取品のネット販売なども手掛ける計画。今期は前期比7.2%増収、同25.7%の経常増益(経常利益3億40百万円)を見 込む。
 経営者はベテランではあるが役員は見た目若い。上場直後に下方修正をしたという前科は残るが、株価の位置としては悪くはない。予想EPSは111円で時 価の予想PERは7.8倍の水準に留まってますのでもう下値はついたとの感触がありますが、果たして今後の株価の行方は・・・。(時価866円)

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 毎期順調に売上と利益が伸びていく企業だけではなく、訳ありで積極的な先行投資で減益見通しを示している企業にも関心をもってみて頂く必要があります。
 昨年はMTI(9438)やミクシィ(2121)が減益局面から見事に株価が復活しました。また、次世代携帯基地局向け通信計測機器のアルチザネットワーク(6778)が赤字転落後の黒字化で株価は大きく上昇しています。

 つまり減益や赤字企業というのもタイミング次第では大きなリターンが得られるという教訓を得ました。100%うまくいくとは限りませんが、リターンを上げる確率は高いと考えられます。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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