今週の東京株式相場は、週間で472円、率にして3.3%上昇しました。ウクライナをはじめ新興国情勢が依然として不透明であるなか、国内の機関投資家から決算期の運用成績の改善を狙った「ドレッシング(お化粧)買い」なども入ったようです。

 海外投資家は日本株を、史上最高となる15兆円超買い越しましたが、今年は年初より2兆円の売り越しとなっています。地域別にみると、欧州の投資家が大 幅な売り越しになっており、フランス勢との観測がなされています。フランス系の証券会社はデリバティブ取引に強い会社が多く、私はデリバティブに関連した 短期筋が利益確定を含めた売りを出しているとみています。実需とは関係のない特殊な事情の売りも出ているとの観測もあり、長期投資家を含む海外投資家全体 が日本株に対し、弱気になっているとは思っておりません。

 不透明な海外情勢(ウクライナ情勢、中国の景気減速・金融システム不安など)に加え、消費税率の引き上げに伴う国内景気の減速懸念が日本株調整の主因であり、海外での突発的な軍事衝突でもない限り、ここからの下値は限られると考えます。

 当面は株価上昇のカタリスト(きっかけ)に乏しいのも事実であり、4月末以降本格化する国内企業の13年度決算発表での会社側の来年度(14年度)業績見通しも年初特有の保守的な予想が続出し、市場のセンチメントを冷やす可能性もあります。
 しかし、これまでも述べてきたように、米国景気の好調、為替相場での円安傾向を背景に、14年度は2桁を超える営業増益は十分に可能とみています。

 年初から続く調整局面に、しびれを切らす国内投資家も増えているようですが、このまま株式相場を失速させてしまうことは、「アベノミクス」の全否定につながります。マーケットを重視する政府・日銀はそのことをよく理解しています。
 ここから上値の重い展開が続くほど、次の上昇のエネルギーが蓄積されると考えてください。12年まで5年間続いた円高局面で日本株をアンダーウエイトしてきた海外投資家の「買い戻し」は、まだまだ続きます。米国経済の自律回復という追い風がそれを促進するでしょう。

(水島寒月)

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