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為替市場動向~ボックス相場、外からの波で揺れ、内は停滞?~

2014/03/21 00:37 投稿

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ウクライナ問題は、クリミア地方が住民投票で過半数の賛成をもってロシアへの回帰を決めたことから次の段階へ入りました。昨日、ロシア議会ではクリミア のロシア編入を決議し、プーチン大統領によって正式に発表。欧米諸国は反発していますが、ロシアがクリミア編入のみに終始し、ウクライナへの介入には至ら ないという声明もあり、マーケットはこの問題でのリスク回避行動は一服しました。深刻な状況が避けられている背景の一つには、ロシアと欧米との間に切って も切れない経済的相互関係ができているからでしょう。

 日本では年度末、今年の第1四半期という節目のためか、取引量が減少しています。目先では、米国の金融政策を決めるFOMC(結果は日本時間20日午前3時頃)待ちという要因もあります。さらに、極め付きは、中国経済の不透明感への懸念です。

 為替市場での、各主要通貨の対米ドル、年初来パフォーマンスを見ると、上昇トップは、先日、政策金利を上げたニュージーランド・ドルが4.98%の上 昇、それに続き、日本円は3.82%の上昇、3位は政策金利の下げが一段落して経済指標も好転してきたオーストラリア・ドルの2.36%。
 一方、下落トップはカナダ・ドルの-4.6%で、南アフリカランドの-2.23%が続きます。また、2月末から下落し、先週末に中国当局が変動幅を1%から2%に変えた人民元は2.27%の下落。連日、下値を探る動きとなっています。

 マーケットの膠着状態の背景になっている中国景気悪化への最大懸念である理財商品に関しては、先般デフォルト例もありました。中国の債券市場では起債が 難しいケースも増え、企業は起債から銀行借入にシフトしているという情報もあります。新発債から償還分を引くと1,2月には64%減っているとの事です。 信用市場での不安定さも心配されます。

 そんな中で、中国人民銀行は15日に人民元の対ドル相場、1日あたりの許容変動幅を上下1%から2%に拡大。変動幅拡大は約2年ぶりの決定です。13日に行われた中国の全国人民代表大会で、拡大方針については報告されていたのですが、実施の速さには驚かされました。

 人民元対ドル相場は、2005年の管理フロー制移行以来、切り上げ、ドルペッグ制、元高誘導、弾力的な運用を経ながら、巨大な貿易黒字を背景に基本的に元高で動いてきました。
 今年年初には対ドル6.04元高値まで上昇。その後も強い展開でしたが、一方で、元高による中国の輸出競争力低下への国内の不満、人民元への過剰な投機 が増加したこと等が、今回の政策的な相場調整につながったものと見られます。特に国内における政策への不満が膨らんできていることが大きいと言われます。

 人民元は、先週の発表以来、連日下落。昨日(3月18日)の終値では、対米ドル=6.1916までつけ、これを書いている現在(3月19日)3.1960~80水準での取引です。この元安により、中国関連の日本株、特に海運株等は安くなっていますね。

 では、このまま元安傾向は続いていくのでしょうか?
 中国政府は、元の国際化を目指し、近年、市場の規制緩和をふくむ市場改革を実施しています。元の直接取引も増えてきています。本日も、ニュージーランド との元直接取引が始まるニュースがありました。自由化を進め、官の市場介入を避けるという方針には変わりはないので、長いトレンドとしての元高は変わりな いのではないかと思います。

 一方、中国の経常収支の黒字も元高傾向が変わらないであろう背景になるでしょう。米国の貿易赤字断トツトップは中国です。年々増加する赤字は3000億ドルを超えており、米国政府は長い間しつこく、中国に対して通貨を切り上げるように圧力をかけてきました。
 理財商品や景気悪化の問題が落ち着いてくれば、大きなトレンドである元高に回帰するものと思っています。

 最後に、米国経済です。
 気候要因で経済指標が読みにくかった米国も、昨今暖かくなったようで、米国経済の体力はどうなっているのかが今後のマーケットを動かす大きな要因になると思われます。
 そんな中、18日、19日にはイエレン氏が初めて議長として務めるFRB理事会、FOMCが開催されています。金利据置、テ―パリング(量的緩和の段階的減少)は想定内で、利上げ時期も遠いというのがコンセンサスです。
 一方、今後の政策のガイドラインである『フォーワードガイダンス』を修正する可能性についての声が聞かれます。金融政策変更の参考指標を失業率に加えて 他の指標も追加するなどの可能性が聞かれます。失業率が政策変更メドの6.5%に近づいてきていることが背景と見られます。緩和は維持、利上げはまだ、と いう意図を示すメッセージを送るための変更ではないかと予想されます。
 市場では、2014年中の利上げを予想する向きは殆どなく、来年早々での変更が約10%程度です。

 さて、ウクライナ問題や中国経済への懸念、気候要因が剥がれた米国の最新指標を見たい、ということで停滞中のマーケット。特に、日本株は外部要因に人一 倍振られ、内部要因は停滞気味です。市場が期待していた日銀の更なる緩和に関しては黒田総裁から出た否定的コメントでガックリ。そんな中、安倍総理の経済 ブレインの一人、浜田教授から「日銀はタブー恐れず、さらなる金融緩和を」というコメントが聞かれましたが、反応はないようです。

 当面はレンジ内での動きだと思っていますので、下値の落ち穂拾いでしょうか。
 消費税が上がる新年度、相場も上がって、元気になることを期待したいところですが……。
 焦らず、慌てず、慎重に対応したいものです。

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

*3月19日13時執筆。
 本号の情報は3月18日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。

式町 みどり拝

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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