今週の東京株式相場は、25日(火)に日経平均株価で前日比213円上昇し、1万5000円台を回復したものの、その後は小甘い展開が続いています。先行 きに関しては強気な見方が多いものの、短期には相場上昇の「カタリスト(きっかけ)がない」との声が聞かれます。SMBC日興証券では、政策面の「カタリ スト」として、1)法人税減税、2)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株ウエートの引き上げ、3)日銀による追加金融緩和、を挙げて います。これらが実現すれば、海外投資家の資金流入につながると見られますが、3月中に実現する可能性は低そうです。

 先週、「国内企業業績は来年度も主要国では最も高い増益率を維持しそう」と述べました。シティグループ証券によれば、来14年度の1株利益の増加率見通 しは、日本が18%に対して欧州が10%、米国が7%となっています。野村証券、大和証券など国内大手証券も2月末時点での業績集計結果を来週にも公表す るものとみられます。来14年度の企業業績見通しがどの程度修正されるかが(前回集計との比較で)、大きな注目点といえます。短期的なカタリストには乏し くとも、好業績が見込まれる業種、銘柄をじっくり拾っていきたいものです。

 なお、私は3月のイベントでは、3日(月)に公表される13年10~12月期の法人企業統計(財務省)に注目しています。企業の設備投資動向の詳細が判 明し、そのデータなどをベースに、13年10~12月期実質GDPが改訂され、10日に2次速報として公表されます(内閣府)。設備投資の盛り上がりが確 認できるようであれば、これは企業業績へのプラス効果が見込まれ、株式相場の支援材料となります。
 また、2次速報が下方修正されるようであれば、日銀の金融政策決定会合(10日~11日)における追加緩和の決定につながる可能性があります。また、12日は春闘の集中回答日となります。賃上げの動きが本格化するようで
あれば、消費の活性化につながり、消費増税後の駆け込み需要の反動減も軽微にとどまる可能性があります。

 いずれにしろ、株式相場がもたつく局面は押し目買いの好機と言えましょう。

(水島寒月)

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