午年は波乱の幕開けになりました。今年に入ってから、日経平均もドル円相場も昨年11月と12月の連続陽線の月足に覆いかぶさる1月の月足は長い陰線。 そして、始まったばかりの2月も今のところ陰線。年初来、下げ相場が続いています。立春を過ぎましたが、市場の春はまだまだでしょうか。
報道などでは、背景は中国経済の経済指標の悪化に始まり、通貨下落、経常収支悪化から始まった新興国リスク。その裏には、米国の量的緩和の段階的縮小の 開始がジワジワ効いてきている、と伝えられます。米国の量的緩和縮小は、昨年から分かっていたことだと思いますが、何かと決まり文句のような背景としてと りあげられます。
世界経済の好不調を左右する米国経済は、12月からの悪天候によって景況指数や雇用状況を悪化させていることが、最近発表される経済指標から伺えます。 東海岸の厳しい寒さはまだ続いているようです。今週初に行われた恒例のスーパーボウルは、まずまずの天候の中、ニューヨークで開催されましたが、事前には 激寒で中止される可能性もあったと聞きます。また、本日朝のニュースではニュージャージー州に悪天候による非常事態宣言が出たと伝えらました。
一方、西海岸のカリフォルニア州は119年ぶりの干ばつと伝えられ、しばらくは、天候による影響が米国経済指標に表れてくるものと考えられます。
為替市場で、日本円は対ドルで昨年末比、3.6%上昇しました。主要通貨(G10諸国)中で対ドルで上昇したのは、他に豪ドルとニュージーランド・ドル だけ。下落トップは、カナダ・ドル(-4.1%)でノルウエイ・クローネ(-3.37%)が続き、その他欧州通貨も対ドルで昨年末比下落しています。米ド ル指数(主な貿易相手国バスケット通貨に対する指数)は昨年末は下げていましたが、年初来反発してきています。
ドル・円相場は、昨年末の105円31銭を高値に昨日2月4日終値では101円64銭。安値は100円76銭までありました。日経平均が昨年末から 2000円以上動いた割には、5円弱の動きで済んでいるとも言えます。外国人投資家の株と為替をからめた取引が少なかったことも背景かもしれません。
また、米国金利(米国債10年もの利回り)が昨年末から0.40%も下がり、日米金利差がその分縮小しました。そして、株安などリスク要因が発生する と、円やスイス・フランを買うお決まりのリスク回避行動も、今回は以前に比べたら円買いには繋がっていないように思います(これからなのかもしれません が、、、)。
毎度書いていますように、貿易赤字体質が定着しており、燃料輸入やスマホ部品等の輸入決済用の実需のドル買いがドル円相場の下支え要因になります。このところ顕著なのは、日米インフレ率の縮小(日本が上昇、米国が下落)です。
日本のインフレ率が上昇してきている中、金利は低位に張り付いています。日本の実質金利(10年物国債金利引く消費者物価指数)は直近でマイナス1%近 く、過去最低水準しかも主要25カ国中唯一のマイナスの実質金利となっています。かつて、消費者物価がマイナスだった時には、実質金利が主要国で最も高 く、それが円高要因の一つだと言われた時期もありましたが、現在は状況が変わっています。
このように円安を促す要因は大きく変わらず多いわけですが、マーケットは今後の変化に注目するわけで、昨年末に相場を上昇させた日銀の新たな緩和も期待が出来そうもなく、新たな期待が見当たらないというのが相場を頭打ちにしているように思います。
さらには、いわゆるアベノミクスが頭打ちしていることも見逃せません。
安倍首相は精力的に海外にも出かけ、国会開催中にソチ開会式にも出席したりと、その活動ぶりには感服します。前回の政権時と人が変わったように見えます。
しかし、このところのメッセージはアベノミクスからアベポリティクスに力点を置いているように見受けられます。3本目の矢を矢継ぎ早に放つよりも、憲法 改正などの政治的野望に勢力を注いでいる印象を受けます。ダボス会議での引用(日中関係と、第一次大戦時の英独関係)も誤訳と釈明しておられますが、報道 されてしまうと様々に各国で解釈され海外投資家にとっては日本に危ない印象を与えている可能性はあります。
個人的には、100円から104円半ばのレンジでの動きを当面想定してはいますが、想定しないリスクにより市場が過剰に反応する可能性も大きい空気があ ります。警戒しておく必要がありそうです。3月の期末を前にした日本企業の本国への利益送金のための円買いも季節要因としてありますし、米国のFRB新議 長の出方も気になるところです。
さて、最新のサプライズになったのが、豪ドルです。昨日、豪準備銀行は金利を据置き、声明文から豪ドル高に関するコメント(不快なほど高すぎる豪ドル) を削除、豪ドルは久しぶりに大きく上昇、1豪ドルは0.87米ドルから0.89米ドル台に、対円では、88円台から90円台をつけてきました。中央銀行は 国内のインフレ率上昇を懸念しての行動と思われます。中国経済の影響も受ける豪ドル。利下げ期待はやや薄れたものの、未だ夏前の利下げを予想する向きもあ ります。一本調子での上昇には限界があると思います。
今年は年初から、少額投資非課税制度が始まったばかりなのですが、むずかしい展開が続いています。無理せず、焦らず、欲張らず、よく準備してチャンスを手にするために、市場の動きを見ていきたいものです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*2月5日13時執筆
本号の情報は2月4日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
報道などでは、背景は中国経済の経済指標の悪化に始まり、通貨下落、経常収支悪化から始まった新興国リスク。その裏には、米国の量的緩和の段階的縮小の 開始がジワジワ効いてきている、と伝えられます。米国の量的緩和縮小は、昨年から分かっていたことだと思いますが、何かと決まり文句のような背景としてと りあげられます。
世界経済の好不調を左右する米国経済は、12月からの悪天候によって景況指数や雇用状況を悪化させていることが、最近発表される経済指標から伺えます。 東海岸の厳しい寒さはまだ続いているようです。今週初に行われた恒例のスーパーボウルは、まずまずの天候の中、ニューヨークで開催されましたが、事前には 激寒で中止される可能性もあったと聞きます。また、本日朝のニュースではニュージャージー州に悪天候による非常事態宣言が出たと伝えらました。
一方、西海岸のカリフォルニア州は119年ぶりの干ばつと伝えられ、しばらくは、天候による影響が米国経済指標に表れてくるものと考えられます。
為替市場で、日本円は対ドルで昨年末比、3.6%上昇しました。主要通貨(G10諸国)中で対ドルで上昇したのは、他に豪ドルとニュージーランド・ドル だけ。下落トップは、カナダ・ドル(-4.1%)でノルウエイ・クローネ(-3.37%)が続き、その他欧州通貨も対ドルで昨年末比下落しています。米ド ル指数(主な貿易相手国バスケット通貨に対する指数)は昨年末は下げていましたが、年初来反発してきています。
ドル・円相場は、昨年末の105円31銭を高値に昨日2月4日終値では101円64銭。安値は100円76銭までありました。日経平均が昨年末から 2000円以上動いた割には、5円弱の動きで済んでいるとも言えます。外国人投資家の株と為替をからめた取引が少なかったことも背景かもしれません。
また、米国金利(米国債10年もの利回り)が昨年末から0.40%も下がり、日米金利差がその分縮小しました。そして、株安などリスク要因が発生する と、円やスイス・フランを買うお決まりのリスク回避行動も、今回は以前に比べたら円買いには繋がっていないように思います(これからなのかもしれません が、、、)。
毎度書いていますように、貿易赤字体質が定着しており、燃料輸入やスマホ部品等の輸入決済用の実需のドル買いがドル円相場の下支え要因になります。このところ顕著なのは、日米インフレ率の縮小(日本が上昇、米国が下落)です。
日本のインフレ率が上昇してきている中、金利は低位に張り付いています。日本の実質金利(10年物国債金利引く消費者物価指数)は直近でマイナス1%近 く、過去最低水準しかも主要25カ国中唯一のマイナスの実質金利となっています。かつて、消費者物価がマイナスだった時には、実質金利が主要国で最も高 く、それが円高要因の一つだと言われた時期もありましたが、現在は状況が変わっています。
このように円安を促す要因は大きく変わらず多いわけですが、マーケットは今後の変化に注目するわけで、昨年末に相場を上昇させた日銀の新たな緩和も期待が出来そうもなく、新たな期待が見当たらないというのが相場を頭打ちにしているように思います。
さらには、いわゆるアベノミクスが頭打ちしていることも見逃せません。
安倍首相は精力的に海外にも出かけ、国会開催中にソチ開会式にも出席したりと、その活動ぶりには感服します。前回の政権時と人が変わったように見えます。
しかし、このところのメッセージはアベノミクスからアベポリティクスに力点を置いているように見受けられます。3本目の矢を矢継ぎ早に放つよりも、憲法 改正などの政治的野望に勢力を注いでいる印象を受けます。ダボス会議での引用(日中関係と、第一次大戦時の英独関係)も誤訳と釈明しておられますが、報道 されてしまうと様々に各国で解釈され海外投資家にとっては日本に危ない印象を与えている可能性はあります。
個人的には、100円から104円半ばのレンジでの動きを当面想定してはいますが、想定しないリスクにより市場が過剰に反応する可能性も大きい空気があ ります。警戒しておく必要がありそうです。3月の期末を前にした日本企業の本国への利益送金のための円買いも季節要因としてありますし、米国のFRB新議 長の出方も気になるところです。
さて、最新のサプライズになったのが、豪ドルです。昨日、豪準備銀行は金利を据置き、声明文から豪ドル高に関するコメント(不快なほど高すぎる豪ドル) を削除、豪ドルは久しぶりに大きく上昇、1豪ドルは0.87米ドルから0.89米ドル台に、対円では、88円台から90円台をつけてきました。中央銀行は 国内のインフレ率上昇を懸念しての行動と思われます。中国経済の影響も受ける豪ドル。利下げ期待はやや薄れたものの、未だ夏前の利下げを予想する向きもあ ります。一本調子での上昇には限界があると思います。
今年は年初から、少額投資非課税制度が始まったばかりなのですが、むずかしい展開が続いています。無理せず、焦らず、欲張らず、よく準備してチャンスを手にするために、市場の動きを見ていきたいものです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*2月5日13時執筆
本号の情報は2月4日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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