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為替市場動向~しばらくレンジ相場が続く?~

2014/01/23 16:24 投稿

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1月も半ばを過ぎましたが、市場は明確な方向感が出にくい状況が続いています。昨年末、高速で盛り上がりましたが、年明けてパワーダウンした感があります。
 株式市場は、指数がレンジ相場の一方、個別株物色でパワフルな動きになっていますが、為替相場はレンジ内限定での取引がしばらく続きそうな気配です。

 年初来の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスを見てみましょう。

 最も上昇した通貨はニュージーランド・ドル(+1.25%)、次が日本円(+0.97%)です。
 ドル・円相場は年初105円から始まったので、104円台は比較して円高の推移になっています。一方で、最も下落した通貨は約3%下落したカナダ・ド ル、続いて南アフリカ・ランド、続いてスイス・フラン(-1.9%)ユーロや豪ドルは1%前半の下落となっており、全般的に年初よりもドル高傾向で動いて います。

 年初に発表された米国の雇用統計は予想に比して弱い数字でしたが、昨年末の米国北東部の寒波を考慮すると、気候による一時的な落ち込みとも言われていま す。先般発表された地区連銀経済レポートであるベージュブックからは、米国経済が穏やかに回復していることが伝えられました。かつては、双子の赤字と言わ れていた財政赤字と貿易赤字が改善していることも、米国経済の構造的変化を示すものと考えられます。

 ところで、米国は今週も北東部に厳しい寒波が到来し、西海岸のカリフォルニア州では雨が降らないために水不足による干ばつが問題になっているそうです。 カリフォルニアに住む友人からも雨不足が深刻になっているという話を聞いたばかりです。因みに、このような異常気象の中で牛乳相場が上昇しているそうで す。今後の米国経済指標を見る上で、異常気象の経済への影響を含めて見ておく必要がありそうです。
 今後の一時的弱含み傾向も想定しているのか、債券市場では米国債10年物利回りが年初の2.9%台から2.8%台前半で落ち着いた動きになっています。

 為替相場に影響がある材料としてあげられるのは、日米の金融政策委員会開催です。
 本日終了する日銀政策決定会合、そして来週には米FOMC(金融政策を決定する連邦公開市場委員会)が開催されます。

 今春の消費増税を控えて、経済減速を避けるための日銀による金融追加緩和が行われるという期待が円売り材料になってきましたが、今回の会合では現状の大 規模緩和継続という決定で大方の予想通りの結果となりました。発表後は、やや円高方向に戻していますが、現時点では大きな動きにはなっていません。

 このところの円売りの背景には、金融追加緩和期待という面もありましたが、実需によるドル買い円売りによる要因も大きいとされています。貿易赤字が続く 中のドル不足、株式市場でも少額投資非課税制度の影響が思ったより大きいパワーになっているように、個人投資家による外貨投資取引での円売りも増えていま す。また、昨今の某日本の大手飲料会社による米国飲料会社の大型買収の発表もありました。
 先日、米国の財務省筋から円安について、やや批判的な発言もありましたが、ドル・円相場は大きくは下げていません。実需の構造が変わらない限り、ドルの下値は支えられると考えています。

 米国については、FRBによる量的緩和第3弾の段階的縮小(tapering)は既に織り込まれていると思います。また、今回は1月末でバーナンキ現 FRB議長が退任し、イエレン新議長が就任し、3月のFOMCから議長として会議を運営し、政策について市場とコミュニケーションをとることになるわけ で、市場と議長と最初の数カ月間はジャブ応酬になる可能性があり、都度マーケットが意図の解釈により乱高下する可能性もあります。過去の交代期にも、その ような事象がありましたので注意しておく必要がありそうです。

 このところ、動きを注目しているのがスイス・フランとニュージーランド・ドルです。
 スイス・フランといえば、有事には円とともに買われやすい通貨。リスク回避通貨とされてきましたが、低金利通貨を売って、金利がやや高い通貨を買うキャ リー・トレードの売り通貨の対象にスイス・フランが使われる可能性が高いと見られています。現在は1米ドル=0.91近辺ですが、世界の有力金融機関の今 年末の予想中心値は0.98.スイス・フランは割高通貨です。購買力平価(OECD物価指数による比較)では35%も対米ドル割高水準です。割高な背景に は、スイスの金融面での優位性により逃避資金が集まりやすいという点があげられてきましたが、ここへ来てスイスの優位性が薄れたという見方が増えているの かもしれません。

 一方、ニュージーランド・ドルですが、同じオセアニア通貨である豪ドルに利下げ期待が続いて弱含みで推移している一方で、ニュージーランドでは数年来続 く国内の住宅ブームや好調な貿易により、金利を上げる可能性があります。中央銀行の総裁も先月、利上げの可能性を示唆しており、現在の2.5%から利上げ すれば主要国では最も高くなります。このような利上げ期待から上昇しているニュージーランド・ドルですが、豪ドルやスイス・フラン同様、購買力平価では割 高(OECD物価指数比較で+17%強)です。ドル・円やユーロ・ドルに比べて、流動性が低いので、上げるときも素早い一方で、下げるときも素早いので、 一点投資で大きく資金を傾け過ぎず、投資配分に気を点けておくことが必要でしょう。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

*1月22日正午執筆
 本号の情報は1月21日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。

式町 みどり拝

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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