その会社は20年も前から日本に進出している、それなりの人気がある米系の衣料品通販会社だそうです。ちょっとお洒落なカジュアル衣料を通販専門で扱っ ているのですが、送られてくるパンフレットにも会社HPにも「いつでも、どのような理由でも交換・返品をお受けします」(Guaranteed Period、登録商標?)との文言が大々的に躍り、その無制限とも言える返品可能を宣伝文句にしている会社です。
ブランドと言えるほどのネームでも無さそうだし、無店舗販売且つカジュアル品の割には随分割高と感じる価格設定になっていますので、この無条件の返品を 可能とする為のコストが単価にオンされているのでしょう。ところが、ここ数年は返品を受け付けない事例が増えているらしいのです。以前は簡単に返品に応じ ていたらしいのですが。
物によって細部の縫製が不十分で型崩れしたり、数回洗ったら色落ちしたとか着崩れした、何度か着てみたがやはり気に入らない・・・等々の理由で着なくな り、それらの着ない商品が溜まったところで(一つ二つでは送料が勿体無いため)返品しようとしたら、「当社製品の品質には万全の自信を持っており、縫製が 不十分などは理由になりません」とか、「着古しや、お客様の体型の変化による取り替えや返品はお断りします」との手紙と共に全ての商品が送り返されてきた そうです。
返品しようとした商品の大半は使用による経年劣化ではないため、商品を丁寧に調べたと言うより購入後の経過年数だけを目安にして断ってきたと感じたこの 奥様はサービスセンターにも問い合わせたところ、「商品には全く問題ありません。お客様の使用状況の問題です」「消費者センターに問い合わせるなりご自由 にどうぞ!」と、大変横柄な対応をされたことに怒りを覚えたとのことです。
小職が調べたところ、やはりそのような理由で返品を受け付けないなど、広告資料にもHPのどこにも記述がありません。それどころか、どこを見ても「無条件で返品OK」と受け取れる文字がアチコチに躍っていました。余程自
信があるかの表現です。
これが金融商品なら明らかな景表法違反、金商法違反となりそうですが、監督当局(経産省)はどのように捉えているのでしょうか?
明確な判断基準はありませんし、違法と言えるほどのエビデンスを消費者側が得ることも難しい。且つ単価がそれほど高いものでは無いため訴訟などにも及び辛く、今のところ消費者側の泣き寝入りとなっている事例の一つでは無いのでしょうか。
そりゃ考えてみれば、ほぼ無条件の返品を謳っていれば、散々着古した後に理屈をつけては「替えてくれ」だの「やっぱり気に入らないから返す」なんて人は 幾らでもいそうですから、このビジネスモデルを追求するなら相当のコスト負担になるだろうことは容易に想像できます。つまり、善意のユーザーほど損をする モデルになっているはずで、無理があることを承知で「無条件返品、交換」を謳って商売をしている訳です。
同社のビジネスモデル自体に無理があり、そもそもが高コストのドンブリ経営をしていたため中々黒字にならず、謳い文句をそのままに、経営方針を替え返品 制限をかけ始めたと考えるのが自然なのでしょう。ネットで色々調べてみると、案の定、経営陣も度々替り身売りの話しも出ている会社のようです。もし潰れた りしたら、それこそ返品など一切出来なくなりますから注意が必要です。
消費者から見れば、気に入らなければどのような理由でも返品出来るとの安心感が割高とは言え商品を購入する動機になっているはずです。ブランド物では無 いですし、生産地(東南アジアや中南米)から見ても品質面で同業他社との差異はなさそうですから、ちょっとばかりデザインが良いなどの理由だけでは差別化 は難しく、何らかの付加価値(この場合には買取保証)を付けなければ簡単に購入には至らないであろうと思われます。
つまり、無条件の買い戻しを謳って購入を煽る一方で、何だかんだと理由を付けて買取りに応じない訳ですから、これは消費者心理を逆手に取った(実は古風な類の)詐欺商法の一つと言えるのではないかと感じた次第です。
いつもは「大手金融機関に騙されるな!」などと書いていますが、友人からは「街のコンサルさん、何だかんだ言っても金融機関は常識がある方です。」「世 間一般の商取引の中には(報道されるような悪質なものは論外としても)恐ろしく杜撰なものや違法ギリギリのことをしているビジネスが沢山あって、しかもい つまでも野放し状態なのですよ。」と、いつも言われます。
読者の皆様にはくれぐれも気を付けて頂きたいと(投資とは余り関係無いですが)書いてみた次第です。
またまた前振りが長くなりました。
今月に入っても株式市場は博打的な状況が続いており、ひたすらインデックスの乱高下が繰り返されています。もちろん大口&中長期投資の海外投資家からも それなりの資金が入ってきているそうですが、それ以外では、もともと浮動株が少ないなどで日々の出来高が少なく、ある程度のまとまった金を持った投資家が 組織的に介入すれば大きく株価を動かせる類の銘柄が不自然な動きをしています。日々見ていても、これは明らかに意図的な売買で株価が動いているなと感じる 銘柄が多数あります。一昔前で言う(今も?)仕手株と言うカテゴリーに入る銘柄です。
善意の投資家だけではなく、悪意ある投資家も活発に動ける相場になっていますから、それらの魅力的な(に見える)動きに惑わされないようにしなくてはいけません。もし投資するにしても「上がればラッキー!」くらいのつもりで余裕を持ってすべきですね。
なにせ足元のEPS予想が仮に1,000円としてもPER15倍で15,000円ですから、全体としては特に割安感はありません。来年度の業績予想なり でしっかりとストーリーを組めない銘柄以外は「金余り」(博打的)と言う前提以外にはここから大きく上げていく理由は見当たりませんから、派手に動いてい るインデックスは参考程度にして、暫くは個別銘柄を物色する動きとなるのではないでしょうか。
元気な金融市場になりつつありますから、小職の下にも「これはヤバイんじゃないの?」と言いたくなる案件が時々舞い込んでくるようになりました。資本市 場に余り詳しくない知り合いから「街のコンサルさん、こんな話がきたのですが、儲かりそうなのでアドバイスを頂けませんか?」・・・と。
大口の案件では大半が(私募型)投資ファンドの組成か、左前の上場企業を買収した上でその企業を利用して金集めをしたい・・・と言った類の話しです。その手の案件ほど、調べるほどに怪しい人物がゾロゾロ検索できます。
怪しい案件の時には、何故それがダメなのか、何故にやるべきではないのか、と言った理由を丁寧に説明するのですが中々ご納得頂けません。何故なら、成功 すれば数百万円、いや数千万円単位で儲かりそうな話だからですが、そんな話が専門でも無いその方の下に来ること自体を疑うべきなのですけどね・・・(苦 笑)。
悪質な詐欺(犯罪行為)は全体で見れば少数ですが、その一方で犯罪とは言えないまでも“詐欺的”“偽装”と言えるレベルの話しは無数にあります。世間一 般の常識より儲かりそうな話しやとても聞こえが良く安心し易い話し、何だかこれからドンドンと上がりそうな動きをしている銘柄・・・、こんなものを見聞き した時には注意してください。
金融市場の投資家だけに止まらず、本当の弱者や年金暮らしのお年寄りの生活を滅茶苦茶にしてでも金儲けしたいという輩が跋扈する時代です。悲しいことですが、我々自身が見分ける能力を持たねばなりません。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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