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ふるさと納税

2013/12/11 17:01 投稿

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日本の富は東京圏に集中している。
 地方と東京圏の経済格差は大きなものとなっている。

 国税庁によると年収1000万円以上の富裕層(富裕層と言えるかどうかは不明)が東京圏には全国の54%も住んでいるとのことだ。全国の給与所得者のう ち1000万円以上の収入のある富裕層は全体の3.1%しかいない。そのうちの半分以上が東京圏に在住しているとのこと。
 東京圏に在住している人の多くは故郷がある。地方から東京に出て仕事をして成功している方々が圧倒的なのかと思われる。
 特に戦後の高度成長時代に東京圏に出てきて故郷を思う方々は既に中高年となり、多くは年金暮らしなのかも知れないが、中には年収の高い人もいるに違いない。

 東京圏と地方の経済格差を埋める手法は税金を使って(地方交付税)、地方にお金を戻す方法だが、消費税の引き上げでこの方法が回らなくなってきそうだと言われている。

 ふるさと納税は5年前からスタートした制度であるが、地方自治体への寄付金のうち2000円を超える部分について一定限度まで住民税及び所得税から控除される仕組み。
 地域間格差の解消が目的であることは言うまでもないが、東京圏に住む多くの方々の故郷を思う気持ちがいかにこのような形となって故郷を支援する仕組みとなっていくかが重要。

 5年たってもなお、この活用は一般的にはなっていないが、これを自治体と組んでサポートしようという企業があらわれた。
 暮らしの便利帳(行政が発行する住民のための生活ガイドブック)を、全国460の自治体で共同で税金を使わずに発行するサイネックス(2376)である。
 同社はこのことを12月4日にリリースし、同日の決算説明会で明らかにした。
 結果として既に先取りしていたのか上昇していた株価は急落してしまったが地方と東京間の格差の解消を図るためのふるさと納税制度は日本人の心に訴求する もの。今住んでいる東京圏での納税ではなく、納税者のふるさと、すなわち地方の財政難を解消する可能性も秘めている制度でこれが定着すれば現在の税制も改 めて見直される可能性があるのではないか。
 ただ、問題は制度自体が認知されておらずに、活用がされていないという点だ。

 人員やノウハウの面で地方自治体ではこの制度を積極活用できない現状を踏まえて同社は地方自治体への活用支援事業を開始したというのだ。既に専門の情報サイトを同日にオープンしており、今後の展開が期待される。

 自治体は寄付者へ特産品の贈呈などの特典を用意しており、同社の子会社が運営する地域特産品販売サイトからの提供も予定しており、地域事業者の売上拡大にも貢献するとしている。

 この新たな試みが同社の収益拡大にどの程度寄与するかは未知数であるが、「地域再生のフロンティアへ」をキャッチフレーズに掲げる同社の新たな事業ステージが見えてきた。

 行政の行う住民サービスは多岐にわたっている。同社はそのうちの情報メディアを税金を使わずに行うという発行モデルを提供しているに過ぎないが、今後予 想される公共施設・インフラの老朽化に伴う支出の拡大が少子高齢化社会の到来で財政難に陥っている行政と民間企業が協働で取り組むことはますます重要に なってくると考えられる。
 同社はその先駆的な取り組みを行っている企業であり、地域イノベーションを推進する社会貢献型のリーディングカンパニーとして成長を続けるものと期待される。

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 創業60周年、上場10周年を迎え、自治体支援事業を積極展開し新たな成長を目指す同社は今期の配当金について年5円から年10円(普通配)に増配すると発表している。
 利益を蓄積するばかりでは上場企業として株主無視と批判されかねない。株主への利益配分にも努めないとならないという認識がようやく自ら筆頭株主でもある社長にも伝わったのだろうか。これは私が以前から主張してきたことだ。
 残念ながら倍に増配するとは言え配当性向はまだ13%台にしか過ぎない。将来において配当性向を30%程度まで引き上げていくぐらいのアナウンスメントがあってもしかるべきだったのではないか。この点は今後に期待しよう。
 加えて場合によっては株主優待制度として地方自治体の推奨する特産品の贈呈ぐらいはあっても良さそうな気がする。
 もっと株主数を増やして株主優待に自治体特産品を贈呈する制度を定着してはどうだろうか。これからは株主すら巻き込んでの地域活性化を行う発想が求められる。

 決算説明会は証券アナリスト協会で開催された。株価が上がってきている中だったためか、久々に開催されたということもあって狭い会場ながら出席者は比較的多かった。

 肝心な業績だが、第1四半期こそやや計画に対しての進捗が鈍ったが、中間期は取り戻した格好。下期の業績も堅い見通しで達成は可能と見る。下期は大阪市(24区)が1か所としてカウントされており、これをこなせば売上が結構大きなものとなる。
 上期売上5,111百万円に対して下期売上計画は4,989百万円であり、浜松や大阪、長崎といった人口の多いエリアでの発行もあってクリアは可能。営 業利益は上期291百万円、下期は349百万円となっているが、夏場に多い粗利率の低い旅行サービスが減少して粗利率の高い紙媒体の発行が増加してくる点 で計画をクリアできるとしている。
 着実に同社の業績も拡大基調となっている点に注目したい。

 ITメディアについての新商材への取り組みなどは発表されずに終わったが、その担当役員からの説明はなかったが、立ち話からは復活の兆しを感じることができた。今後に期待することにしよう。
時価:622円。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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