その前週(11月11~15日)ですが、東証が発表した株式売買動向によると、外国人投資家の買い越し額は1兆1720億円となり、4月第2週の1兆 5865億円以来、約7カ月ぶりの高水準となりました。先週の「市場潮流」でも述べましたが、この季節は例年、投信(10月)、ヘッジファンド(11 月)、年金(12月)など海外勢の決算の影響で国内株式相場が調整するケースが多く、今回のこれほどの積極的な姿勢は珍しいといえましょう。
外国人投資家の動向に詳しいストラテジスト宮島秀直氏によれば、2012年までの20年間で外国人投資家の買い越し額が週間ベースで1兆円を超えたのは 4回。いずれも3月であり、この時期は世界の主に年金基金が国別の株式投資比率を調整する時期に当たっているとのこと。これら年金基金が「日本の株式市場 を取り巻く環境が長期的に向上する」との判断のもと、日本株の組入れ比率を顕著に引き上げたことが確認できたとしています。
今年の場合は、3月、4月に続き、11月と既に3回も「1兆円超え」を実現しています。外国人投資家の日本株に対する期待は史上まれに見るほど高まっていると考えられます。
一方、11月11~15日の週は個人投資家が1兆1526億円売り越しました。これは、東証の統計が開始された1982年7月以降で最高の水準です。年 末の証券優遇税制廃止を控え、今後も個人の売り越し姿勢は継続すると見るのが妥当でしょう。14年に入ってからはどうでしょうか。
年初から「NISA(少額投資優遇制度)」がスタートします。少し先を見れば、16年1月からは「金融所得課税の一体化」が実現します。これら一連の 「貯蓄から投資」への政策的要請が進むなか、個人投資家の株式市場への参入が徐々に実現するのではないでしょうか。もっとも、NISAはその「使い勝手の 悪さ」が指摘され、NISA口座を申し込んでいるのも既存の高齢投資家が大半であり、若年の投資未経験層の動きは鈍いなどの声が聞こえてきます。本家の英 国ISAは創設後7年を経て「恒久化」されました。国内でも金融庁は「恒久化」、「複数口座の開設OK」へ向けて動いているようです。
ともあれ、現在の制度のもとでNISAを利用して株式を購入するにあたっては長期的なスタンスが必要です。長期的な観点の投資テーマといえば、「食 糧」、「エネルギー」が挙げられましょう。「エネルギー」に関していえば、米国の「シェール革命」の進行に際し、重要な役割りを果たしている、あるいは果 たすことが見込まれる銘柄群が注目されます。私の場合、今年に入ってから、日揮(1963)、千代田化工建設(6366)、クレハ(4023)を見続けて います。
参考文献:「外国人投資家はいま何を考えているのか」(宮島秀直 東洋経済新報社)
(水島寒月)
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