こんにちは。株式会社ZUUの冨田和成です。
少々大げさなタイトルで恐縮ですが、日本人の(特に富裕層の)バランスシートに占める不動産の割合は高く、資産の運用や防衛を考える上で避けては通れません。
ただ、ありきたりな話では恐縮ですので、シンガポールでのプライベートバンカーをしていた経験を活かしてアジアの富裕層は日本の不動産をどう見ているのかというテーマで今回の記事をお届けしたいと思います。
■日本不動産の人気と魅力
現地の友人に聞いた話ですが、シンガポールでの新聞紙面に、日本の不動産の広告を見ることが多くなってきたとのことです。
シンガポールというお国柄、イギリスやマレーシアの不動産広告を見ることは往々にしてありましたが、日本の不動産の広告を現地のビジネス新聞で見るというのは、今までではかなり想像し難い現象でした。
しかし今、現地の富裕層(金融資産数千万円後半~数億円前半)の間では、「こりゃ安い、六本木ヒルズの近くなのにシンガポールで一番高いオーチャードエ リアの3分の2くらいの坪単価だ。」「信頼できるデベロッパーなのか?」などといった会話が繰り広げられ、週末にはその不動産の説明会が行われているとい われています。
シンガポールの公営住宅以外に住んでいる人々からすると、坪単価、ならびに一戸当たりの総投資額も非常に魅力的に映るのかもしれません。彼らは普通に日本円で1.5億円は最低かかる家に住んでいる人々です。
シンガポール、香港、イギリスといった彼らにとって一番安心できる投資先が利回り的に魅力的でなくなった現状では(シンガポールのレジデンスで利回り2.5%前後)、都心でも5%弱で回る日本の物件を物色し出すのは当然の流れということでしょうか。
■日本不動産の注意点
日本ではサービスアパートメントとして展開している月の家賃が200万円くらいする物件も、シンガポールでは5億以上は優に超える物件として販売しているケースがあります。
ただ、その物件を日本のサイトで確認してみると、麻布とはいえども繁華街に近くそれほど治安が良くないエリアで売れ行きが芳しくなさそうだったりというケースが多く、注意が必要です
1億~2億円程度の物件であれば、シンガポールの投資家は物件を実際に見もせずに買うということが起こるのかもしれませんし、業者側もそれを期待する部分があるのかもしれません。
また、地理的に非常に近く、文化的な距離も比較的近いと言える台湾からは、日本の不動産を買うツアーなどが今年に入ってから盛んに開かれているというこ とです。台湾の銀行が円での貸出しもパッケージ化して扱っているらしく、彼らは台湾に持っている不動産を担保に金利2%くらいでローンを引っ張ってきて、 都内に限らず郊外の少し利回りが高めな7~8%くらいで回る物件(駅近くのコンビニをテナントとして入れている物件の区分所有が人気)を好む傾向があると いうこと台湾のバンカーは話していました。
そして、ここで問題になるのは日本の税金の高さです。
例えば10億円以上の物件になると、節税目的の会社を設立して20%程にまで課税率を引き下げることを考えなければいけません。そのための設立、維持コ ストを勘案し、その他にも円の借り入れコスト、修繕費などを考慮し出すと実は5%程度の利回りでは殆どキャッシュフローベースで手元にお金を残すのは難し くなってしまったりします。
ここで簡単に削れるコストは、資金が豊富と仮定するなら借り入れに頼らずに為替リスクを取って投資のキャッシュ比率をあげることでしょう。
しかし、ここ数ヶ月の日本円の減価ぶりから、日本円への投資自体自信を持ってできる人、すすめられる人がいない状況です。
ちなみに、日本の中小企業も余剰資金を使って10億円サイズの物件を物色し出すというややバブルの臭いのするサインも見えはじめており、海外の投資家にとっては魅力的なマーケットである反面、手が出しづらいとも言えるかもしれません。
なお先日、上記のように海外から見て魅力と不安の混在した日本の不動産マーケットと特に東南アジアの間を結ぶ架け橋となるべく海外投資家向け英語メディア「Tokyo Premium Real Estate」を先日ローンチいたしました。
日本の不動産や日本自体の魅力を適切に海外に対してPRできる一助になれればと存じます。
冨田和成
株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO
冨田和成プロフィール
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)
少々大げさなタイトルで恐縮ですが、日本人の(特に富裕層の)バランスシートに占める不動産の割合は高く、資産の運用や防衛を考える上で避けては通れません。
ただ、ありきたりな話では恐縮ですので、シンガポールでのプライベートバンカーをしていた経験を活かしてアジアの富裕層は日本の不動産をどう見ているのかというテーマで今回の記事をお届けしたいと思います。
■日本不動産の人気と魅力
現地の友人に聞いた話ですが、シンガポールでの新聞紙面に、日本の不動産の広告を見ることが多くなってきたとのことです。
シンガポールというお国柄、イギリスやマレーシアの不動産広告を見ることは往々にしてありましたが、日本の不動産の広告を現地のビジネス新聞で見るというのは、今までではかなり想像し難い現象でした。
しかし今、現地の富裕層(金融資産数千万円後半~数億円前半)の間では、「こりゃ安い、六本木ヒルズの近くなのにシンガポールで一番高いオーチャードエ リアの3分の2くらいの坪単価だ。」「信頼できるデベロッパーなのか?」などといった会話が繰り広げられ、週末にはその不動産の説明会が行われているとい われています。
シンガポールの公営住宅以外に住んでいる人々からすると、坪単価、ならびに一戸当たりの総投資額も非常に魅力的に映るのかもしれません。彼らは普通に日本円で1.5億円は最低かかる家に住んでいる人々です。
シンガポール、香港、イギリスといった彼らにとって一番安心できる投資先が利回り的に魅力的でなくなった現状では(シンガポールのレジデンスで利回り2.5%前後)、都心でも5%弱で回る日本の物件を物色し出すのは当然の流れということでしょうか。
■日本不動産の注意点
日本ではサービスアパートメントとして展開している月の家賃が200万円くらいする物件も、シンガポールでは5億以上は優に超える物件として販売しているケースがあります。
ただ、その物件を日本のサイトで確認してみると、麻布とはいえども繁華街に近くそれほど治安が良くないエリアで売れ行きが芳しくなさそうだったりというケースが多く、注意が必要です
1億~2億円程度の物件であれば、シンガポールの投資家は物件を実際に見もせずに買うということが起こるのかもしれませんし、業者側もそれを期待する部分があるのかもしれません。
また、地理的に非常に近く、文化的な距離も比較的近いと言える台湾からは、日本の不動産を買うツアーなどが今年に入ってから盛んに開かれているというこ とです。台湾の銀行が円での貸出しもパッケージ化して扱っているらしく、彼らは台湾に持っている不動産を担保に金利2%くらいでローンを引っ張ってきて、 都内に限らず郊外の少し利回りが高めな7~8%くらいで回る物件(駅近くのコンビニをテナントとして入れている物件の区分所有が人気)を好む傾向があると いうこと台湾のバンカーは話していました。
そして、ここで問題になるのは日本の税金の高さです。
例えば10億円以上の物件になると、節税目的の会社を設立して20%程にまで課税率を引き下げることを考えなければいけません。そのための設立、維持コ ストを勘案し、その他にも円の借り入れコスト、修繕費などを考慮し出すと実は5%程度の利回りでは殆どキャッシュフローベースで手元にお金を残すのは難し くなってしまったりします。
ここで簡単に削れるコストは、資金が豊富と仮定するなら借り入れに頼らずに為替リスクを取って投資のキャッシュ比率をあげることでしょう。
しかし、ここ数ヶ月の日本円の減価ぶりから、日本円への投資自体自信を持ってできる人、すすめられる人がいない状況です。
ちなみに、日本の中小企業も余剰資金を使って10億円サイズの物件を物色し出すというややバブルの臭いのするサインも見えはじめており、海外の投資家にとっては魅力的なマーケットである反面、手が出しづらいとも言えるかもしれません。
なお先日、上記のように海外から見て魅力と不安の混在した日本の不動産マーケットと特に東南アジアの間を結ぶ架け橋となるべく海外投資家向け英語メディア「Tokyo Premium Real Estate」を先日ローンチいたしました。
日本の不動産や日本自体の魅力を適切に海外に対してPRできる一助になれればと存じます。
冨田和成
株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO
冨田和成プロフィール
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)
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