本連載を初めてお読みになる方は<孫子の投資法その1>を先にご覧ください。 http://okuchika.jugem.jp/?eid=4482
■投資とは詭道なり 戦わないのが勝利への最短コース■
◎トレードオフ、何をしないかが大事 その1<短期決戦で勝利すべき>
「長期投資」というと、<長い間戦う戦略>とイメージされる方も多いと思いますが、実はそのまったく逆です。「短期決戦」こそが、長期投資の重要ポイントなのです。
例えば、「世界一の投資家」ウォーレン・バフエットが売買をする回数はとても限定されています。市場の環境によってはほとんど取引をしない時もありますし、通常は年に数回程度です。
しかし、例えば企業買収の案件が持ち込まれたときには、初対面の売り手の経営者(オーナー)と握手をしてから、たった10分で買収を決断することもしばしばです。もちろん、デューデリジェンスと呼ばれる会計士などの専門家による査定など必要としません。
頻繁な取引をしないがゆえにたっぷりとある時間を使って、事前に買収相手先の企業や業界を徹底的に研究しているからこそできる芸当です。買収適正価格は、彼の中で既に決定され、それ以下であれば一瞬にして買収を実行するというわけです。
バフエットが「世界一の投資家」になったのは、長期的な観点で投資を行ったからだけではありません。むしろ、重要な取引<戦争>を行うべき局面で即断し、戦いを一瞬にして勝利へ導いてきたことの方がより重要な理由です。
これは、上場企業へ市場を通して投資を行うケースでも一緒です。例えば、ある<悪ニュース>で優良企業の株価が暴落したとします。その企業や業界の事情 に通じていなければ、<その悪ニュースが正しいものなのかそれとも誤報なのか>、あるいはもし<その悪ニュースが本当だとしたら、致命的なダメージを与え るものなのかそれとも一時的なダメージなのか>を瞬時に判断することはできません。
バフエットは常日頃あらゆる業界や企業を勉強して準備を怠らないため、悪ニュースの真偽や企業に与える影響を即座に判断できます。そして、誤報や単に一 時的影響に過ぎないと判断したときには、恐怖におびえている市場などにお構いなく、積極果敢に悪ニュースが出ている企業の株式を大量に買うのです。そして ほどなくして、市場がその企業の新の姿に気が付いたときに、戦争(投資)に勝利(多額の利益を生む)するというわけです。
ところが、毎日取引をしている投資家はそうはいきません。目先の株価の動きにエネルギーを吸い取られて、企業や経済の勉強をすることができないですし、 大局的判断を行う精神状態でもないからです。つまり、<毎日戦争をしていて疲弊しているので、最も大事な戦いで十分に力を蓄えた相手から総攻撃を受けて負 けてしまう>というわけです。
ディ―ラ仲間でよく使う言葉に<コツコツ稼いで、大きく損をする>というものがあります。実際、デイトレードなどでコツコツ稼いでも、リーマンショックのような市場の急変に対応できず、それまで稼いだ分をはるかに上回る大損をして討ち死にする人々がたくさんいます。
孫子の言うとおり、【戦争<=取引>をだらだらとやっていると疲弊し、肝心の勝負どころで大敗してしまう】というのは、我々が良く見聞きするところです。
ビジネスにおいても同様です。よくスケジュール帳をアポイントで一杯にして駆けずり回っている人を見かけますが、そのような人々の中に成功者を見かけるのは稀です。
対面で話をするというのは、1日24時間という限定された資源を消費する貴重な機会です。ですから、有能な人物であればあるほど、その限られた貴重な時 間の中でできるだけの成果を上げたいと考えるものです。ところが、そのような有能な人物の元に、いくつものスケジュールの合間に遅刻ギリギリでやってきて しかも着いた途端に次のスケジュールの時間を気にしだす人間がやってきたらどうでしょうか?その有能な人間はすぐに失望の表情を浮かべるでしょうが、その ことさえあたふたしている訪問者は気が付きません・・・
さらに、何の準備もしておらず気もそぞろな人物が、優秀な人間の気を引く魅力的な話などできるわけがありません。かくして、いつも戦争(アポイント=面 談)をしている人物は、疲弊して素晴らしい取引チャンスに出合ってもそれをものにできないどころか、素晴らしいチャンスがやってきていることにさえ気が付 かないのです。
戦争=投資=ビジネス。いたずらに長々とやっても、疲弊するだけで勝利を得ることができないのはどれも同じです。
限られた資源を、ごくまれにやってくるビッグチャンスにできる限り投入する。しかも、資源の無駄使いを避けるために、<勝負は一瞬で決める>のが、孫子の主張する戦術です。
ウォーレン・バフエットも、滅多にやってこない最高のチャンスにすべての資源(資金)を投入するために、普段は極力投資を控えていたことで「世界一の投資家」になることができたのです。
(OH)
*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
■投資とは詭道なり 戦わないのが勝利への最短コース■
◎トレードオフ、何をしないかが大事 その1<短期決戦で勝利すべき>
「長期投資」というと、<長い間戦う戦略>とイメージされる方も多いと思いますが、実はそのまったく逆です。「短期決戦」こそが、長期投資の重要ポイントなのです。
例えば、「世界一の投資家」ウォーレン・バフエットが売買をする回数はとても限定されています。市場の環境によってはほとんど取引をしない時もありますし、通常は年に数回程度です。
しかし、例えば企業買収の案件が持ち込まれたときには、初対面の売り手の経営者(オーナー)と握手をしてから、たった10分で買収を決断することもしばしばです。もちろん、デューデリジェンスと呼ばれる会計士などの専門家による査定など必要としません。
頻繁な取引をしないがゆえにたっぷりとある時間を使って、事前に買収相手先の企業や業界を徹底的に研究しているからこそできる芸当です。買収適正価格は、彼の中で既に決定され、それ以下であれば一瞬にして買収を実行するというわけです。
バフエットが「世界一の投資家」になったのは、長期的な観点で投資を行ったからだけではありません。むしろ、重要な取引<戦争>を行うべき局面で即断し、戦いを一瞬にして勝利へ導いてきたことの方がより重要な理由です。
これは、上場企業へ市場を通して投資を行うケースでも一緒です。例えば、ある<悪ニュース>で優良企業の株価が暴落したとします。その企業や業界の事情 に通じていなければ、<その悪ニュースが正しいものなのかそれとも誤報なのか>、あるいはもし<その悪ニュースが本当だとしたら、致命的なダメージを与え るものなのかそれとも一時的なダメージなのか>を瞬時に判断することはできません。
バフエットは常日頃あらゆる業界や企業を勉強して準備を怠らないため、悪ニュースの真偽や企業に与える影響を即座に判断できます。そして、誤報や単に一 時的影響に過ぎないと判断したときには、恐怖におびえている市場などにお構いなく、積極果敢に悪ニュースが出ている企業の株式を大量に買うのです。そして ほどなくして、市場がその企業の新の姿に気が付いたときに、戦争(投資)に勝利(多額の利益を生む)するというわけです。
ところが、毎日取引をしている投資家はそうはいきません。目先の株価の動きにエネルギーを吸い取られて、企業や経済の勉強をすることができないですし、 大局的判断を行う精神状態でもないからです。つまり、<毎日戦争をしていて疲弊しているので、最も大事な戦いで十分に力を蓄えた相手から総攻撃を受けて負 けてしまう>というわけです。
ディ―ラ仲間でよく使う言葉に<コツコツ稼いで、大きく損をする>というものがあります。実際、デイトレードなどでコツコツ稼いでも、リーマンショックのような市場の急変に対応できず、それまで稼いだ分をはるかに上回る大損をして討ち死にする人々がたくさんいます。
孫子の言うとおり、【戦争<=取引>をだらだらとやっていると疲弊し、肝心の勝負どころで大敗してしまう】というのは、我々が良く見聞きするところです。
ビジネスにおいても同様です。よくスケジュール帳をアポイントで一杯にして駆けずり回っている人を見かけますが、そのような人々の中に成功者を見かけるのは稀です。
対面で話をするというのは、1日24時間という限定された資源を消費する貴重な機会です。ですから、有能な人物であればあるほど、その限られた貴重な時 間の中でできるだけの成果を上げたいと考えるものです。ところが、そのような有能な人物の元に、いくつものスケジュールの合間に遅刻ギリギリでやってきて しかも着いた途端に次のスケジュールの時間を気にしだす人間がやってきたらどうでしょうか?その有能な人間はすぐに失望の表情を浮かべるでしょうが、その ことさえあたふたしている訪問者は気が付きません・・・
さらに、何の準備もしておらず気もそぞろな人物が、優秀な人間の気を引く魅力的な話などできるわけがありません。かくして、いつも戦争(アポイント=面 談)をしている人物は、疲弊して素晴らしい取引チャンスに出合ってもそれをものにできないどころか、素晴らしいチャンスがやってきていることにさえ気が付 かないのです。
戦争=投資=ビジネス。いたずらに長々とやっても、疲弊するだけで勝利を得ることができないのはどれも同じです。
限られた資源を、ごくまれにやってくるビッグチャンスにできる限り投入する。しかも、資源の無駄使いを避けるために、<勝負は一瞬で決める>のが、孫子の主張する戦術です。
ウォーレン・バフエットも、滅多にやってこない最高のチャンスにすべての資源(資金)を投入するために、普段は極力投資を控えていたことで「世界一の投資家」になることができたのです。
(OH)
*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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