日本の社会インフラで重要な役割を担っている株式市場。資金調達の場としての株式市場は直接金融(企業が銀行からの融資ではなく株式の発行によって投資家から資金を調達する)の機能を担う場として公的に開かれている社会インフラの一つである。

 これを維持・発展させていくことは私たちの社会、すなわち資本主義社会・経済を支えることになる。日本の株式市場には約3600社が上場していますが、 実際の企業数(中小規模の企業まで含めて430万社)と比べればほんのわずか。上場している企業はいわばエリートと言えます。上場するには監査法人の監査 が必要だし、厳しい厳しい上場審査を経ないとなりません。このためのコストは億単位になるのでCFを生む能力の高い企業でないと上場を志すことはできない のがネックです。

 上場後も上場を維持するためのコストを払う必要がありますので最近は積極的に上場を廃止してしまうケースも見られます。自分でブランドを持ってしまって いる場合わざわざ高いコストを払ってまで上場する意味がないと考える企業も出てきました。特に株価が低迷して新たな資金調達が有利にできない場合が長期化 しそうだと判断された2000年代後半以降はそうした傾向が見られます。
 大手企業の統廃合の結果も含めて積極的に上場廃止を選択した結果、3900前後あった上場企業数は3500数十社にまで減少したことになります。
 いかん、このままでは上場企業がなくなる・・。と思われる一方で新たに株式を上場(IPO)し、エリート集団に加わる企業も出てきての現状です。 倒産して株式市場を去った企業もあれば、コストを払ってまでいる必要はな
いと去った企業がある一方で新たな上場企業の仲間に入り投資家の評価を仰ぐ企業もあり。そうして経済が活性化することでお金の循環が創出される。
 株式を上場し投資家の負託に応える企業経営こそ資本主義社会の根幹をなしている。それが良いか悪いかはともかくである。

 昨日、ある大学の記念イベントでは今伸び盛りのITベンチャー企業の若手社長の話があったが、彼は3年後の上場を計画していると大胆にOBの皆さんに話 していたが、そうした若くして創業した意識の高い企業がこうした株式市場に上場し、自らのビジネスモデルを積極的に示すことが重要で、腐ったような投資家 の負託に応えられない既存の上場企業と入れ替わって新陳代謝を良くすることは人間の体と同様に大事な点だ。

 旧勢力と新勢力のぶつかりあい。個人投資家も過去の古い考えにとらわれず、新たな考えをもつ必要がある。

 既存の上場企業の中には思ったほど業績を上げられずに赤字を続け、継続性が担保されないまま無駄な時間を経過しているケースも多い。早期退場か新たな経営者の下で再生させるか選択に迫られているのだろう。

 こうした状況にある上場企業よりは元気な上場予備軍的企業の方が投資家の評価は高い筈。そうは言ってもそうした企業が株式を簡単に上場できるインフラはない。

 あきらめていたら、実はあった。それが東京プロマーケット(TPM)なのだ。TPMはれっきとした東京証券取引所が開設する日本で唯一の特定取引所金融 商品市場(いわゆる「プロ投資家向け市場」)で東京証券取引所(東証)とロンドン証券取引所の共同出資で2009年に設立された東京AIM(エイム)が ルーツ。
 2012年3月にその合弁が解消され東証の完全子会社となった結果、生まれた新たな上場市場である。2017年7月に東証内部の市場(1部、2部、マ ザーズと並ぶ)となりTOKYO PRO Market(TPM)へと名称が変更された。つまりTPMは東証にお墨付きをもらえる上場市場ということなの だ。これまでのグリーンシート(ディーブレイン証券、現在のクラウド証券が主導)は上場ではなかったがTPMは明らかに違う。
 マザーズ、東証2部、1部へと続く入門編としての上場企業としての活動、道筋が示された点で大きな前進となる。

 銀行からの融資に頼らないで上場のステータスを得て社業を発展させる新たな方策が見いだせたことであるベンチャー企業の社長は大変に喜んでくれた。こうした企業経営者を応援したいと私もTPMへの上場支援ビジネスを開始した。

 TPMにはまだ5社しか上場していない。10月末にはもう1社加わる予定だが、まだまだスタートしたばかりでこれからが本番を迎える。米国では日本のグリーンシート(36社が登録)に該当するピンクシート企業が10000社もあるとされる。
 この上位にあるOTCBB(店頭ブリティンボード)では2300社の株式がマーケットメーカーを通じて取引されている。これに匹敵するのがTPMで取引の参加者はプロの投資家に限定されるが今後の上場企業数の増加につれて参加者の幅が広がってくると見られる。

 本メルマガの読者は圧倒的に個人投資家の方が多いと思われるが中には自ら企業経営されていて発展の道筋を模索されている方もお見えだろう。条件と意欲が整えばぜひ上場に向けた挑戦をお願いしたい。

(炎)

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