米国の財政協議難航が伝えられ金融市場はリスクをとりにくい状況が続いています。今年の会計年度の歳出予算が不成立、暫定予算の協議も進まず、政府機関の 一部は閉鎖されて一週間以上が経過。米政府機関の閉鎖は約18年ぶりとのこと。過去の政府機関の閉鎖では最高21日(1995年~1996年)、平均では 6.4日だそうです。その影響で、先週は市場関係者が注目していた9月の雇用統計発表も見送られました。また、今月17日が期限と言われる債務上限引き上 げ問題の進展次第では限定的に米国債デフォルトの可能性もあります。
最終的には妥結するだろうと思われていた今年の予算協議の膠着状態は為替相場にも影響しています。9月末と比較した直近の為替相場の動きを見ると、円は 主要通貨全てに対して上昇しました。リスク回避では円、スイスフランが買われる傾向がありますが、今回は円、豪ドル、ユーロなどが対ドルで買われ、基本的 にドル売りと言えそうです。また、円については10月1日に発表された消費増税によるダメージをカバーする経済刺激策に具体性がなかったことへの失望も影 響していると思います。
毎年起きるねじれ国会による秋の米国財政問題は、例年になく「どちらも引かない」深刻な状態が報じられていますが、突然の妥結という可能性もあるので、動きにくくなっています。米株式市場のブレの大きさを表すVIX指数
(恐怖指数)は昨日20台に上昇しましたが、パニックというレベルではありません(2000年末には高値89でした)
次期FRB議長に金融緩和継続派(ハト派)と言われる、イエレン氏が指名されるというニュースも金融政策の継続性という意味で安心感があります。
デフォルトの可能性が言われる米国債。信用市場での保険料は5年米国債で40BPと最近3カ月間の平均27を上回りましたが、過去5年の平均42を下 回ってはいます。また10年物米国債は直近2.62%。9月末と大きな動きはない落ち着いた水準です。ただ一方で、短期債(TB)、特に1ヶ月以内に期日 を迎えるものは誰ももちたくない証券です。通常、安全投資先の米TBは、これまで0%水準またはマイナスで取引されることもありましたが、直近0.33% まで売られ利回り急上昇しています。近い将来に米債デフォルトがあった場合のリスクに備えていると言えるでしょう。
さて、8日には96円台半ばまでつけたドル円相場。昨日の午後から底堅くなり97円台に戻ってきています。200日の移動平均線が96円78銭ですの で、上昇相場継続には崖っぷちです。米国の政府機能が一部閉鎖されたことは、米国経済には成長率鈍化という影響がある可能性が高く、過去の事例でも 0.5~1%程度GDPにマイナスの影響を与えたと言われます。これまで、米経済の好調さからのドル高、一方で金融緩和を倍増する日本の円安という通貨ペ アで推移してきましたので、政治のゴタゴタが米経済へどのような影響があるか?注目していきたいところです。
一方で、日本サイドの基本的要因に目を向けますと、貿易収支の赤字は常態化、直近に出た8月の国際収支も所得収支の減少で予想以下に。また日銀の金融緩 和でマネー量は順調に増加しており、たとえば今年度の日銀によるETF購入は昨年度比で倍増。積極的に行動しているように見えます。日本銀行によりマネー は粛々と、じゃぶじゃぶと流されていますので、やはり現状では円が安くなる要因が多いと言えますので、個人的には中期円安シナリオを維持しています。
米ドル相場の一方で、ユーロ対円相場は、直近132円台で推移しています。200日移動平均は127円60銭。過去5年間の平均が117円、昨年は 100円より安い時期がありましたので、ユールは上昇、円は下落傾向です。前回も記しましたが、ユーロ圏の緊縮財政政策、マネー量の減少、ユーロ各国の貿 易黒字傾向、デフレ傾向は通貨ユーロの上昇につながります。日本とは逆の動きと言えます。
米国の政治状況による影響が話題になる市場ですが、本日はFRBから9月の政策決定委員会の議事録が公開されます。政治要因が落ち着いてくれば、米国の 量的緩和縮小がどうなるかに関心事項になります。9月縮小が見送られた背景にはどんな議論があったのか?今後を占う上で重要です。
政治要因が多く動きづらい環境です。状況の変化に柔軟に動けるように資金管理には細心の注意をしておきたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*10月9日13時執筆。
本号の情報は10月8日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
最終的には妥結するだろうと思われていた今年の予算協議の膠着状態は為替相場にも影響しています。9月末と比較した直近の為替相場の動きを見ると、円は 主要通貨全てに対して上昇しました。リスク回避では円、スイスフランが買われる傾向がありますが、今回は円、豪ドル、ユーロなどが対ドルで買われ、基本的 にドル売りと言えそうです。また、円については10月1日に発表された消費増税によるダメージをカバーする経済刺激策に具体性がなかったことへの失望も影 響していると思います。
毎年起きるねじれ国会による秋の米国財政問題は、例年になく「どちらも引かない」深刻な状態が報じられていますが、突然の妥結という可能性もあるので、動きにくくなっています。米株式市場のブレの大きさを表すVIX指数
(恐怖指数)は昨日20台に上昇しましたが、パニックというレベルではありません(2000年末には高値89でした)
次期FRB議長に金融緩和継続派(ハト派)と言われる、イエレン氏が指名されるというニュースも金融政策の継続性という意味で安心感があります。
デフォルトの可能性が言われる米国債。信用市場での保険料は5年米国債で40BPと最近3カ月間の平均27を上回りましたが、過去5年の平均42を下 回ってはいます。また10年物米国債は直近2.62%。9月末と大きな動きはない落ち着いた水準です。ただ一方で、短期債(TB)、特に1ヶ月以内に期日 を迎えるものは誰ももちたくない証券です。通常、安全投資先の米TBは、これまで0%水準またはマイナスで取引されることもありましたが、直近0.33% まで売られ利回り急上昇しています。近い将来に米債デフォルトがあった場合のリスクに備えていると言えるでしょう。
さて、8日には96円台半ばまでつけたドル円相場。昨日の午後から底堅くなり97円台に戻ってきています。200日の移動平均線が96円78銭ですの で、上昇相場継続には崖っぷちです。米国の政府機能が一部閉鎖されたことは、米国経済には成長率鈍化という影響がある可能性が高く、過去の事例でも 0.5~1%程度GDPにマイナスの影響を与えたと言われます。これまで、米経済の好調さからのドル高、一方で金融緩和を倍増する日本の円安という通貨ペ アで推移してきましたので、政治のゴタゴタが米経済へどのような影響があるか?注目していきたいところです。
一方で、日本サイドの基本的要因に目を向けますと、貿易収支の赤字は常態化、直近に出た8月の国際収支も所得収支の減少で予想以下に。また日銀の金融緩 和でマネー量は順調に増加しており、たとえば今年度の日銀によるETF購入は昨年度比で倍増。積極的に行動しているように見えます。日本銀行によりマネー は粛々と、じゃぶじゃぶと流されていますので、やはり現状では円が安くなる要因が多いと言えますので、個人的には中期円安シナリオを維持しています。
米ドル相場の一方で、ユーロ対円相場は、直近132円台で推移しています。200日移動平均は127円60銭。過去5年間の平均が117円、昨年は 100円より安い時期がありましたので、ユールは上昇、円は下落傾向です。前回も記しましたが、ユーロ圏の緊縮財政政策、マネー量の減少、ユーロ各国の貿 易黒字傾向、デフレ傾向は通貨ユーロの上昇につながります。日本とは逆の動きと言えます。
米国の政治状況による影響が話題になる市場ですが、本日はFRBから9月の政策決定委員会の議事録が公開されます。政治要因が落ち着いてくれば、米国の 量的緩和縮小がどうなるかに関心事項になります。9月縮小が見送られた背景にはどんな議論があったのか?今後を占う上で重要です。
政治要因が多く動きづらい環境です。状況の変化に柔軟に動けるように資金管理には細心の注意をしておきたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*10月9日13時執筆。
本号の情報は10月8日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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