なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
==「投資という戦闘を実行する兵士としての自分をいかに鍛えるか」==
(有料メルマガ第20回・2009/05/12配信号)
先週の『ワキタ戦についての考察』については短期の時間軸で投資した場合の例でしたが、生涯パートナーの研究で取っている2つの戦術のうち
「高技術力は持っていないけれど、安定的な事業基盤を確立しており、過去の利益ですでにバランス・シートに資産を豊富に蓄積している財務内容が良く、高いインカムゲイン(配当+優待)を継続的にはらってくれる確率の高い企業の株を高利回りのときに買って所有する」
という戦術に基づいて戦闘行為を行なうときの、戦闘術としても役に立つことが沢山含まれています。
以前のコラムで書いたように、この戦術で投資した企業群は、いま現在の生活費を確保することも目的としているので、株価が下がったり、動かなければ持ち続けるスタンスです。
資産背景的に見て充分割安なところまで株価が下がっているので、そこから更に株価が下がっても、資産背景を自分が投資し続ける気力の支えと考えて、じっ と我慢をするわけです。景気にはサイクルがあり、景気がいずれ回復するなら、株価も戻るであろう。そんな中長期の時間軸でおこなう気長なスタンスの投資で す。
しかし、なんらかの株価上昇の触媒(=カタリスト)が発生し、株価上昇により配当や優待の数年分のインカム・ゲイン分の利益をキャピタル・ゲインで一気 に得られる状況となったときは、売却してインカム・ゲインではなくキャピタル・ゲインで利益を確定することも行ないます。
このキャピタル・ゲインを得るための実戦での戦闘術として、活用するべきこと(→戦闘術の基礎)が沢山含まれていると考えます。
「現在の生活費を確保することも目的としている」高配当優待利回り株は、繰り返しになりますが基本的には中長期の時間軸で投資することになります。
中長期で投資するのだからタイミングは見る必要が無い。すでに割安なのだから、いますぐ投資するべきでタイミングは選ぶべきではないという意見もありますが、暴論だと考えます。
ワキタの例で言えば、わざわざ権利落ち後の高いところで買う必要があったのだろうか、ということです。相場環境が良ければ、正解の場合も大いにあると思います。
ただ、2009年の2月末から3月の初旬にかけての日本株の投資環境は、非常に劣悪で不安定であったことに異論のある方は少ないと思います。
投資する時点の相場環境や、他の銘柄の動きを見ていれば、権利落ち後に10%~20%程度の下落は充分予想できたことです。そして実際にワキタの株価は権利落ち後にズルズルと20%程度まで下落していきました。
ここで注意すべきことをまとめたいと思います。
まず第一に、投資を実行する場合は、その投資の投資期間=投資軸をはっきり決めて行なう必要があると考えます。
第二に、投資するにしても、どうせ買うなら、より安いところで手に入れる。投資時点の株式市場の投資環境に注意を怠らないということです。戦場の状況を把握しておくということです。
第三に、自分が充分安いと考えて投資を実行したならば、その後更にどんなに安くなろうとも握りこんだら離さない。他人の投資行動に影響を受け「30%下 がったら損切りする」などという、愚にもつかない投資方針を立てないこと。危険だから損切りラインを10%に設定するというような、更に愚かな方針を立て ないことです。
もちろんこれは、「中長期の時間軸で安定的な生活費を稼ぐために高配当優待のバリュー株に投資する」という時間軸で投資をする戦略をとっている投資家については、そうあるべきだと考えているということです。
最後にもう少し大事なことをまとめて書きます。生活費を稼ぐための投資なので、通常は株価が余り上がらなくても耐えられる株に投資をしています。だから といって常にインカム・ゲインだけで生活費を得なくても良いわけです。株価が急に上昇することにより、何年分かのインカム・ゲインを短期で一気に確保でき る幸運が訪れたなら、躊躇せず短期投資に切り替えることも「戦術の想定している選択肢の一つである」ということです。
インカム・ゲイン目的で投資したのだから、売らないで持ち続ける。このように融通のきかない頑なな態度をとるのが、自分の投資の性格に合っているなら問 題ないです。しかし普通の投資家は大きな利益を確保するチャンスが出来たときに、行動しないで、その後株価が反落して、儲けるチャンスを逃した時は大きな 後悔の念を持つことが多いです。そんなことが多い投資の性格を持っている方には、利益を確保できるチャンスが来たときは、そのチャンスを生かしても良いと いう、柔軟な対応が必要ではないかということなのです。
ただし、手放した株が更に上昇して、より大きなキャピタル・ゲインを逃してしまっても、悔やまないという覚悟は当然必要です。もう少しいうと、すでに手 のひらに入った利益をつかみ損なったときの後悔と、もしかしたら得られたかもしれない(将来の利益)を掴みそこなったときの損への後悔。どちらの損が自分 にとって精神的な負担が大きいかによって、とるべき戦闘術が違ってくると考えます。
(後略)
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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