残暑お見舞い申し上げます。
日本ではお盆シーズン、海外では夏休暇による市場参加者の減少で、マーケットは流動性が薄く、仕掛けが入りやすく値が飛ぶ時期です。
8月のドル円相場は、97円88銭に始まり、米国の7月雇用統計への改善期待でつけた99円95銭を高値に日経平均と共にじりじりと下げ、95円81銭安値をつけました。直近は98円台に戻していますが、今月は3ケタの値はつかず、上値の重い相場展開です。
上値が重い背景には、ドルの要因と円の要因があると思います。
米ドルは、7月初旬に量的緩和QE3の早期縮小を材料にほぼ全ての主要通貨に対して上昇。7月9日には、主要通貨のバスケットに対するドル指数は 84.75という当面の高値をつけました。その後は、米国債市場における長期金利の急激な上昇や株価の反落を懸念したのか、米金融政策当局者たちからマー ケットの過度の反応を和らげるような発言も多く聞かれ、一時2.77%まで上昇した10年物国債は2.5%台まで戻し、通貨市場でも米ドルは下落しまし た。
円サイドの要因は、来年度の消費税引き上げ見送りの可能性、日本の財政再建への懸念があげられます。
消費税引き上げは、安倍総理が見識者からの意見を聞きながら9月に決定する予定だそうで、12日に発表された第2四半期のGDP速報値も参考材料とされ ています。事前予想が3.6%、4%という声もありましたので2.6%は予想よりは低いものの、政府の一部からは増税に向け前向きなコメントもありまし た。
周辺では、アベノミクス有力ブレインである浜田氏からは引き上げ延期、日銀総裁・黒田氏からは引き上げとデフレ脱却の両立可能など、諸意見が聞こえてきました。
8月9日の日経新聞記事にあった「財政再建 具体策先送り」も、日本政府に問われる政策実行力への疑問符という意味で、日本株買い・円安というセット取引にマイナスに働きました。
ねじれ国会も解消、今後の選挙予定がないことから長期政権が予想される安倍政権。「決められない政府」のレッテルは、特に海外投資家からの落胆、日本株売り、円買い方向に動く可能性が高いでしょう。
アベノミクスに理解を示してきた海外政府やIMF等の国際機関も、条件として財政規律の改善をあげてきましたので、消費増税見送りの影響は大きいと思います。
予定通り消費増税実施が決まった場合には、期待インフレ率の上昇、景気への配慮として金融政策を動員する可能性も加わり、円安要因となるでしょう。
逆に、見送られた場合には、日本国債の評価が落ち、国債保証料上昇、あるいは格下げの対象になるかもしれません。株安・円高シナリオになる可能性もありますし、国債プレミアム上昇、金利上昇で金利差縮小から円買いの可能性もあります。
一方で、日本国債格下げは、悪い金利上昇としてとらえられ、日本売りの株安&円安になる可能性もあります。その時の市場がどんな状況にいて、どのような解釈をするか、です。
すでに立法化された政策を実行せず破棄する影響は大きいでしょう。
消費増税実施の決定は9月。盛りだくさんの9月には、2020年オリンピック開催地決定、ドイツ総選挙、QE3の米金融政策決定会合が開催予定など目白押しです。
その米QE3縮小。今朝のブルームバーグニュースによれば、直近のエコノミストアンケート(対象48人)で65%のエコノミストが9月での縮小を予想、ただ縮小額は以前の予想の半分程度から、としています。
米国の長期金利は、債券から資金が流出していることもあり、利回りは底堅く、昨日のニューヨーク終値も10年物で2.7%台に上昇してきました。
対して日本の国債市場は、日銀のオペレーションが功を奏して0.7%台前半で落ち着いています。金利差拡大は、ドル円相場の下値サポートではありますが、9月を前にしばらくレンジ相場が続きそうな雰囲気。抵抗帯100円の壁、厚そうです。
最後にユーロについてふれます。ドイツの景況感が上昇してきました。他の問題国の景況感もマイナス圏からの回復が見られてきました。ドイツとスペイン、 イタリアなどの問題国との国債利回り格差も縮小が目立ってきました。本日発表されるユーロ圏の第2四半期GDPが注目されます。
ユーロ圏経済の出口までの距離は米国と比べれば未だ遠いとは言え、ユーロ圏の安定は世界経済にはプラスの影響です。通貨市場でのユーロ対米ドル相場は1.30~1.34のレンジ内での取引が続いています。今後の動向に注目していきたいところです。
猛暑まだ続きそうです。読者の皆さまには引き続きご自愛ください!
盛りだくさんの9月を前に体調万全と行きたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*8月14日13時頃執筆。本号の情報は8月13日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
日本ではお盆シーズン、海外では夏休暇による市場参加者の減少で、マーケットは流動性が薄く、仕掛けが入りやすく値が飛ぶ時期です。
8月のドル円相場は、97円88銭に始まり、米国の7月雇用統計への改善期待でつけた99円95銭を高値に日経平均と共にじりじりと下げ、95円81銭安値をつけました。直近は98円台に戻していますが、今月は3ケタの値はつかず、上値の重い相場展開です。
上値が重い背景には、ドルの要因と円の要因があると思います。
米ドルは、7月初旬に量的緩和QE3の早期縮小を材料にほぼ全ての主要通貨に対して上昇。7月9日には、主要通貨のバスケットに対するドル指数は 84.75という当面の高値をつけました。その後は、米国債市場における長期金利の急激な上昇や株価の反落を懸念したのか、米金融政策当局者たちからマー ケットの過度の反応を和らげるような発言も多く聞かれ、一時2.77%まで上昇した10年物国債は2.5%台まで戻し、通貨市場でも米ドルは下落しまし た。
円サイドの要因は、来年度の消費税引き上げ見送りの可能性、日本の財政再建への懸念があげられます。
消費税引き上げは、安倍総理が見識者からの意見を聞きながら9月に決定する予定だそうで、12日に発表された第2四半期のGDP速報値も参考材料とされ ています。事前予想が3.6%、4%という声もありましたので2.6%は予想よりは低いものの、政府の一部からは増税に向け前向きなコメントもありまし た。
周辺では、アベノミクス有力ブレインである浜田氏からは引き上げ延期、日銀総裁・黒田氏からは引き上げとデフレ脱却の両立可能など、諸意見が聞こえてきました。
8月9日の日経新聞記事にあった「財政再建 具体策先送り」も、日本政府に問われる政策実行力への疑問符という意味で、日本株買い・円安というセット取引にマイナスに働きました。
ねじれ国会も解消、今後の選挙予定がないことから長期政権が予想される安倍政権。「決められない政府」のレッテルは、特に海外投資家からの落胆、日本株売り、円買い方向に動く可能性が高いでしょう。
アベノミクスに理解を示してきた海外政府やIMF等の国際機関も、条件として財政規律の改善をあげてきましたので、消費増税見送りの影響は大きいと思います。
予定通り消費増税実施が決まった場合には、期待インフレ率の上昇、景気への配慮として金融政策を動員する可能性も加わり、円安要因となるでしょう。
逆に、見送られた場合には、日本国債の評価が落ち、国債保証料上昇、あるいは格下げの対象になるかもしれません。株安・円高シナリオになる可能性もありますし、国債プレミアム上昇、金利上昇で金利差縮小から円買いの可能性もあります。
一方で、日本国債格下げは、悪い金利上昇としてとらえられ、日本売りの株安&円安になる可能性もあります。その時の市場がどんな状況にいて、どのような解釈をするか、です。
すでに立法化された政策を実行せず破棄する影響は大きいでしょう。
消費増税実施の決定は9月。盛りだくさんの9月には、2020年オリンピック開催地決定、ドイツ総選挙、QE3の米金融政策決定会合が開催予定など目白押しです。
その米QE3縮小。今朝のブルームバーグニュースによれば、直近のエコノミストアンケート(対象48人)で65%のエコノミストが9月での縮小を予想、ただ縮小額は以前の予想の半分程度から、としています。
米国の長期金利は、債券から資金が流出していることもあり、利回りは底堅く、昨日のニューヨーク終値も10年物で2.7%台に上昇してきました。
対して日本の国債市場は、日銀のオペレーションが功を奏して0.7%台前半で落ち着いています。金利差拡大は、ドル円相場の下値サポートではありますが、9月を前にしばらくレンジ相場が続きそうな雰囲気。抵抗帯100円の壁、厚そうです。
最後にユーロについてふれます。ドイツの景況感が上昇してきました。他の問題国の景況感もマイナス圏からの回復が見られてきました。ドイツとスペイン、 イタリアなどの問題国との国債利回り格差も縮小が目立ってきました。本日発表されるユーロ圏の第2四半期GDPが注目されます。
ユーロ圏経済の出口までの距離は米国と比べれば未だ遠いとは言え、ユーロ圏の安定は世界経済にはプラスの影響です。通貨市場でのユーロ対米ドル相場は1.30~1.34のレンジ内での取引が続いています。今後の動向に注目していきたいところです。
猛暑まだ続きそうです。読者の皆さまには引き続きご自愛ください!
盛りだくさんの9月を前に体調万全と行きたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*8月14日13時頃執筆。本号の情報は8月13日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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