バブル時代を超えた時価総額!!

 日本の株式市場の時価総額(株価×発行済み株式数)は東証1部、2部、JASDAQを合わせて約420兆円。株式市場の時価総額は国力の象徴でもありま す。1989年末、つまりバブル経済のピークでは590兆円もあったのですが、23年余り経過してまだピークを超えていない。日本経済の現状を示していま す。
 時価総額がピーク水準を超えるには収益(EPS)水準が拡大するか、PERが高まるかどちらかになります。
 恐らくその両方であろうかと思いますが、円ベースの時価総額はまだ越えていませんが、ドルベースでは1989年末が1ドル=143円台でしたので現状の 1ドル=96円と比べ47円も円高となっていますので、実は過去のピークを抜けていることになります。つまりバブル時代の時価総額を日本の株式市場は世界 の基軸通貨(ドル)では越えていて、株式市場で活躍している上位20銘柄もいつの間にかバブル時代と近い水準になっている訳です。
 当時は日本興業銀行や住友銀行などの銀行株が時価総額の上位に並び、NTTが20兆円を超える時価総額であった点が現在とは大きく異なります。現在はト ヨタが最上位。時価総額は21兆円で2位の三菱UFJFG8.6兆円、ソフトバンク7.5兆円と続いています。NTTは第4位で、以下JT、ホンダ、 NTTドコモ、三井住友FG、みずほFG、KDDIと続きます。
 時価総額上位が自動車、通信、たばこ(食品)、銀行といった業種で占められていて、自動車以外の電機、精密、機械といったモノづくり産業が入っていないところに今の日本の状況を象徴しているように思われます。

 また、最近ではヤフーやファーストリテイリングや楽天といった新成長企業群が上位になってきています。米アップルのような時価総額50兆円クラスの上場 企業はまだ誕生していませんが時価総額競争で世界の上位に来る銘柄が今後登場してくる可能性が感じられます。それには斬新な事業モデルによる利益成長企 業、世界的な事業展開を行う企業などが登場しないとなりません。

 現状の上位クラスではソフトバンクや楽天、ファーストリテイリングなどが該当しますが、今後のIPO銘柄の中からもそうした企業が登場する可能性があります。年後半に向けてはLINEやリクルートといった大物企業の上場が見込まれます。

 投資家心理は新たな未知数に向かいがち。そこでも新たな時価総額競争が巻き起こるものと考えられます。

(炎)

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