7月も最終日。今月は、猛暑、豪雨と気候の異常さに自然の脅威を感じた月でした。被害に合われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
7月のマーケットは、前半からリスク選好度が持ち直しましたが、後半には失速。参院選直前に15,000円直前まで上昇した日経平均株価も頭打ち。月の 始値に近いところで引けると5,6,7月の月足は面白い形状になります。大暴れ相場も、夏休みをとって、エネルギー注入が必要かもしれません。割安見直し が言われた日本株も企業業績や市場環境の大きな変化がなければ、大半の銘柄はもはや割安ではない、と言うことでしょうか。
7月のドル・円相場は、99円22銭に始まり、米国の好調な雇用統計を受けて、101円台乗せがあったものの、その後、FRBバーナンキ議長の「緩和継 続は状況次第」発言で98円台に戻し、レンジ内取引が続いています。月レンジは東京マーケット31日昼時間帯時点では現在値98円がらみの水準、始値99 円22銭、高値101円53銭、安値97円64銭。終値に関しては、本日31日の米国時間帯に、米国の主要経済統計(民間会社による雇用統計、第2四半期 のGDP)に加えて、FOMC(連邦公開市場委員会)の終了後の声明文が出るため、ぶれる可能性があります。とは言え、大きな陽線が出るとは考えづらく、 6月に引き続き陰線引けになりそうです。株価同様、昨年から大きな変動をしてきた相場が、一度収斂されてきているようです。
7月の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスで、マイナスだったのは新興国通貨でした。
ブラジル・レアルは、マイナス2.3%強下落、他の新興国通貨に加えて、豪ドルも2%近い下落。新興国通貨が、マネー流出で下げた一方で、豪ドルは中央銀行による更なる利下げ方針を根拠に売られています。
逆に対ドル上昇通貨は、ノルウエークローネの2.62%を筆頭に、日本円を含むその他の主要、準主要通貨で、1~2%の上昇でした。
米国の主な貿易国に対するバスケット通貨指数である「ドル指数」は、7月9日の84.753を高値に、10日のバーナンキ発言(状況次第で緩和継続)を 機に下落、直近では200日移動平均(81.534)でぎりぎりサポートされている81.88水準。月足は陰線引けの可能性が高そうです。
ドル指数の対価の中で最も比重が高い通貨はユーロです。ポルトガルやスペインの政治リスク、ギリシャ支援が小出しになったこと、一部格付け機関のフラン ス国債格下げなどネガテイブ要因も多くあり、もたつき感はありますが、ドイツをはじめ、ユーロ圏の景況感が予想以上に回復している指標が多く見られました こともポジテイブ・サプライズでユーロの安定につながりました。
一方、ユーロを支えた要因として、欧州中央銀行が初めて導入した先行きガイダンス「フォワード・ガイダンス」への評価があげられます。今後の金融政策へ の柔軟な時間軸を示したもので、政策金利が現状と同じ、又はより低い水準で長期間続くと予想する、として明確な日程は示さないものの、政策当局の意図を市 場に伝えるという意味で、信頼獲得に功を奏したとの評価です。粛々と低金利と緩和を続け、その間に景気回復、財政改善、金融システム再構築などに取り組ん でいく姿勢を示した、と受け止められます。
粛々と、と言えば、我が日本の中央銀行、日銀も粛々とマネタリーベースの倍増に努めています。消費税増税が決定した場合に景気悪化を防ぐための更なる金 融政策(またまた金融政策頼み?)を期待する向きもあるようですが、4月から開始された、これまでに例を見ない異次元緩和の効果を見るには未だ早いように も思います。
7月の日本国債相場は、久しぶりに(価格ベースで)陽線引けの様相。国債から株式へ、が一時休止。国債の月間投資収益の4ヶ月ぶりのプラスが今後の景況 感への不透明感と見るのは早計かもしれません。しかし、ねじれ解消で安堵することなく、安倍政権、スピード感を持ってインパクトある政策を出すのは「今で しょう?」との催促にも聞こえます。
ドル・円相場を考える上で、金利差の影響は重要な要素です。バーナンキ発言後に低下した米国の長期金利は、このところじわじわ上昇。10年もので直近 2.60%まで戻してきました。一方の、円金利は国債利回りの低下で10年ものは0.80%割れで推移しています。直近の相場では、相関性が薄れてはいま すが、中期的ドル高要因として見逃せません。
日本の物価連動債と同期間の国債から割り出す期待インフレ率は、2年もので1.81%、3年1.7%、5年1.32%と、6カ月平均値を上回っていま す。消費者物価は、食料とエネルギーを除くと脱デフレには、まだ時間がかかりそうですが、日銀の地味な努力が功を奏する時も遠くないのではないか、と願っ ています。
円サイドの現在の材料は、直ぐにドル円3ケタ相場を支えるには新鮮味に欠けています。
一方の米ドルサイドの材料は、6月の経済指標が政府支出の下げなどの影響もあり、予想以下のものに反応していますが、個人消費、住宅市場、景況感指数に見る底堅さは米国経済の復調を示していると思います。米国債市場の利回り上昇にそれが表れているのではないでしょうか。
基本的には、ドル高相場が時間と調整を交えながら進むと考えます。
今後の市場の注目は、9月に移っていくものと思われます。9月の米国FOMCは緩和策縮小するかどうかで超注目、また次期FRB議長人事も注目度が高まるでしょう。ドイツでは総選挙、日本では来年の消費税導入について総理の決断が出ているか?!
注目の9月を前に、8月は通常でも夏枯れと言われますが、流動性が減る分、嵐になるときも多いので、天候の急変には気をつけたいものです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*7月31日13時頃執筆。
本号の情報は7月30日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、
記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
7月のマーケットは、前半からリスク選好度が持ち直しましたが、後半には失速。参院選直前に15,000円直前まで上昇した日経平均株価も頭打ち。月の 始値に近いところで引けると5,6,7月の月足は面白い形状になります。大暴れ相場も、夏休みをとって、エネルギー注入が必要かもしれません。割安見直し が言われた日本株も企業業績や市場環境の大きな変化がなければ、大半の銘柄はもはや割安ではない、と言うことでしょうか。
7月のドル・円相場は、99円22銭に始まり、米国の好調な雇用統計を受けて、101円台乗せがあったものの、その後、FRBバーナンキ議長の「緩和継 続は状況次第」発言で98円台に戻し、レンジ内取引が続いています。月レンジは東京マーケット31日昼時間帯時点では現在値98円がらみの水準、始値99 円22銭、高値101円53銭、安値97円64銭。終値に関しては、本日31日の米国時間帯に、米国の主要経済統計(民間会社による雇用統計、第2四半期 のGDP)に加えて、FOMC(連邦公開市場委員会)の終了後の声明文が出るため、ぶれる可能性があります。とは言え、大きな陽線が出るとは考えづらく、 6月に引き続き陰線引けになりそうです。株価同様、昨年から大きな変動をしてきた相場が、一度収斂されてきているようです。
7月の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスで、マイナスだったのは新興国通貨でした。
ブラジル・レアルは、マイナス2.3%強下落、他の新興国通貨に加えて、豪ドルも2%近い下落。新興国通貨が、マネー流出で下げた一方で、豪ドルは中央銀行による更なる利下げ方針を根拠に売られています。
逆に対ドル上昇通貨は、ノルウエークローネの2.62%を筆頭に、日本円を含むその他の主要、準主要通貨で、1~2%の上昇でした。
米国の主な貿易国に対するバスケット通貨指数である「ドル指数」は、7月9日の84.753を高値に、10日のバーナンキ発言(状況次第で緩和継続)を 機に下落、直近では200日移動平均(81.534)でぎりぎりサポートされている81.88水準。月足は陰線引けの可能性が高そうです。
ドル指数の対価の中で最も比重が高い通貨はユーロです。ポルトガルやスペインの政治リスク、ギリシャ支援が小出しになったこと、一部格付け機関のフラン ス国債格下げなどネガテイブ要因も多くあり、もたつき感はありますが、ドイツをはじめ、ユーロ圏の景況感が予想以上に回復している指標が多く見られました こともポジテイブ・サプライズでユーロの安定につながりました。
一方、ユーロを支えた要因として、欧州中央銀行が初めて導入した先行きガイダンス「フォワード・ガイダンス」への評価があげられます。今後の金融政策へ の柔軟な時間軸を示したもので、政策金利が現状と同じ、又はより低い水準で長期間続くと予想する、として明確な日程は示さないものの、政策当局の意図を市 場に伝えるという意味で、信頼獲得に功を奏したとの評価です。粛々と低金利と緩和を続け、その間に景気回復、財政改善、金融システム再構築などに取り組ん でいく姿勢を示した、と受け止められます。
粛々と、と言えば、我が日本の中央銀行、日銀も粛々とマネタリーベースの倍増に努めています。消費税増税が決定した場合に景気悪化を防ぐための更なる金 融政策(またまた金融政策頼み?)を期待する向きもあるようですが、4月から開始された、これまでに例を見ない異次元緩和の効果を見るには未だ早いように も思います。
7月の日本国債相場は、久しぶりに(価格ベースで)陽線引けの様相。国債から株式へ、が一時休止。国債の月間投資収益の4ヶ月ぶりのプラスが今後の景況 感への不透明感と見るのは早計かもしれません。しかし、ねじれ解消で安堵することなく、安倍政権、スピード感を持ってインパクトある政策を出すのは「今で しょう?」との催促にも聞こえます。
ドル・円相場を考える上で、金利差の影響は重要な要素です。バーナンキ発言後に低下した米国の長期金利は、このところじわじわ上昇。10年もので直近 2.60%まで戻してきました。一方の、円金利は国債利回りの低下で10年ものは0.80%割れで推移しています。直近の相場では、相関性が薄れてはいま すが、中期的ドル高要因として見逃せません。
日本の物価連動債と同期間の国債から割り出す期待インフレ率は、2年もので1.81%、3年1.7%、5年1.32%と、6カ月平均値を上回っていま す。消費者物価は、食料とエネルギーを除くと脱デフレには、まだ時間がかかりそうですが、日銀の地味な努力が功を奏する時も遠くないのではないか、と願っ ています。
円サイドの現在の材料は、直ぐにドル円3ケタ相場を支えるには新鮮味に欠けています。
一方の米ドルサイドの材料は、6月の経済指標が政府支出の下げなどの影響もあり、予想以下のものに反応していますが、個人消費、住宅市場、景況感指数に見る底堅さは米国経済の復調を示していると思います。米国債市場の利回り上昇にそれが表れているのではないでしょうか。
基本的には、ドル高相場が時間と調整を交えながら進むと考えます。
今後の市場の注目は、9月に移っていくものと思われます。9月の米国FOMCは緩和策縮小するかどうかで超注目、また次期FRB議長人事も注目度が高まるでしょう。ドイツでは総選挙、日本では来年の消費税導入について総理の決断が出ているか?!
注目の9月を前に、8月は通常でも夏枯れと言われますが、流動性が減る分、嵐になるときも多いので、天候の急変には気をつけたいものです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*7月31日13時頃執筆。
本号の情報は7月30日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、
記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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