米国の量的緩和政策の出口が条件付きながらカレンダーベースで示された影響、中国のシャドーバンキング問題(市中金利の急騰)といった懸念材料が徐々に 消化(或いは無理やり消化?)されてきたものと思われます。欧州、日本の金融緩和が長引くという見方、需給面では、投資信託の設定もドル高円安に寄与しま した。
高速でワイルドな下げの後ですので、強い上昇には日柄が少々足りないのではないか、とも思えます。下値を十分拾いきれなかった慎重な投資家の方も多くい らっしゃるのではないかと推察します(私だけ?)。「半値戻しは全値戻し」と言われますが、機が熟したのかどうか未だ十分な確信を持てずにいます。
さて、米国の量的緩和政策QE3の出口戦略が、今後の経済状況次第という条件付きながら、タイムスケジュールが示されました。タイムスケジュールが示されたことは、マーケットにとっては、大きなサプライズでした。
米国債利回りは発表前の2.2%水準から一時2.6647%をヒット。その後、バーナンキ議長発言をフォローするようなFRB理事たちの消化活動的コメントが続き、直近では2.46%まで利回り低下、落ち着きを見せて来ました。
リーマンショック後の混乱に対して緊急的に行われた量的緩和第一弾QE1、長期金利の低下による景気刺激を行ったQE2、そして、雇用問題改善を中心に 景気刺激を目的にしたQE3を実施している期間、米国債10年物は歴史的な低水準である1%台で推移していました。1%台では、実質金利、マイナスからゼ ロの水準です。現在の水準2%台は、正常な水準に戻っただけで高金利というわけではないのですが、長い間つかったぬるま湯からの変化に対応するのには時間 がかかるかもしれません。
QE3は、昨年9月に実施されました。当時、米国は大統領選の前でした。株価が高い時には現役大統領が強い、という過去の事例通り、オバマ大統領が勝利 しました。QE3は、現政権をサポートするための政策だったとも言えますので、目的達成と共に縮小するのは自然なことではあります。ただ、入口の影響より 出口の影響の方が市場には大きいのです。出口戦略の難しさについては今後の日本も経験することになるのでしょう。
米国債の利回り水準は、現在の米国のインフレ水準(消費者物価1.7%)からは、今後2.5%を挟んで±0.25%水準で当面推移のではないかと思いま す。ただ、経済指標次第では、2.75%を中心にした水準に上昇する可能性もあるかもしれません。株価、為替市場には、大きな影響を与えるので、今後も注 目しておきたい指標です。
為替市場におけるドル高は、各国の金融政策の出口までの時間への意識の差です。特に日本銀行はマネタリーベースの緩和を始めたばかり。少なくとも、 2014年度末迄の2年間はマネタリーベース指数を増加継続する日銀。条件に大きな変化がなければ、今年末に月850億ドルの買入を減額が始まります。欧 州は、何かあれば、ネガテイブ金利の準備もあるとのコメントが欧州中銀理事から出るほどですので、緩和政策は長引きそうです。ポルトガルの政情不安が直近 聞かれますし、ギリシャ支援も未だ潜在的問題を残し、景況感もドイツ以外はまだまだの状況です。また、オーストラリアも更なる利下げ余地に言及。更なる豪 ドル安を目指しています。
セオリー通りなら、基本的にはドル高が続く、と思います。
ドルの対バスケット通貨(ユーロが最大の比率)での指数は、2011年安値の72.22を底に下値切り上げながら、直近7月2日終値は83.544をつけ、上昇基調です。
一方、ブレを起こすリスク要因としては、米金利が急上昇して株式市場が下落してリスクオフのドル安になる、中国市場の混乱、ブラジルに見られるような新 興国市場の下落があげられます。日本の参院選挙結果も、ビッグ・サプライズあればアベ・クロ政策に影響を与えるでしょう。
今週は、4日が米独立記念日に伴う祝日や短縮営業があり、市場流動性が下がると予想されますが、5日の金曜日には注目の6月雇用統計発表があります。非 農業部門雇用者数が20万人以上の増加(予想は17.5万人)など強い数字が出た場合には、出口近しとして市場は反応するでしょう。
今年も節電の夏がやってきます。エジプト問題の影響もあり、原油価格が急上昇、一時102ドル台も。円安も重なり、物価への影響が気になるところです。 また、6月28日から7月20日までは、水星が逆行する期間だそうで、マーケットが乱高下することが多いと言われているそうです。
猛暑も乱高下も乗りきっていきたいものですね。
最後は余談で失礼しました。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*7月3日13時執筆。本号の情報は7月2日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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