億の近道 チャンネル版

上昇相場で調整中の株を探す

2013/05/21 21:10 投稿

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アベノミクス相場で上がっている株はたくさんあるけど、案外下がっている株もあるというのがここでの株式相場の特徴とも言えます。
 単にアベノミクス相場で個別株が上がっているというだけではなく、実は業績の良さ、未来への期待、需給といった要因が働いているものと考えられます。

 調整気味の銘柄も評価の仕方ではがらっと変わってきますので、研究はしておかないとなりません。企業価値をどういう風に見出すかで調整相場の中でも中長期スタンスの投資家にも聞く耳をもって頂けるものと思います。

 表面的に売り上げと利益が伸びているから業績が良いという風に投資家や専門家であるアナリストも表現しがちですが、実は、企業には中・長期的な成長のた めに先行的な投資が必要になります。そうした要因で業績が停滞していることが明らかでも見た目の業績数値がダウンしているとなかなか株価は上がりません。 上値が重くなってしまいます。
 全体相場が日経平均で1万5000円を超えているのになかなか上がらない訳です。

 こうした銘柄を持っている投資家は持ち株が上がらず困っているに違いありません。上がらない株は処分して上がる株につこうとしますのでますます上がる株は上がり、下落傾向の株は下がるといった二極化現象が見られるようになるのです。

 逆張りでいくかトレンドフォローかの投資スタンスかで投資成果は異なります。現在人気化している銘柄も実は低迷していた時期もあります。長期に低迷していた銘柄がようやく花形スターのごとき株式相場の主役の役割を担うことになります。

 芸能界のタレントのような話ですが、投資家はこうした活躍する役者の本質を見抜く必要があります。成長株ならその成長モデルや未来の姿、バリュー株なら財務内容、PBRに見る解散価値評価などです。

 投資成果を高めるためにはいけいけで増やす局面と安定型の局面とを色分けしてうまく対応していかないとなりません。バイオベンチャーのようなあっという 間に何倍にもなってしまった銘柄やスマホゲーム関連企業、IT系ベンチャーのような事例もありますが地道にこうした銘柄を評価してこられた多くの投資家に は恩恵がもたらされたものと思います。
 問題はこれからです。上がった株には上がったなりの理由や背景があり下がった株は下がったなりに理由、背景があります。なかなか上がらなかった株が短期急騰したり、過去結構人気のあった株がなかなか上がらないといった現象が見い出せます。

 下がっているとまだまだ下がるのではないか。上がっているとまだまだ上がるのではないかといった不安や期待が交錯してきます。そこは投資家の皆さんの冷静な目が求められますが、過去も現在も現実はなかなかそうした冷静さに欠けてしまいがちです。

 本日はこの上昇相場で調整局面、停滞局面にある銘柄をピックアップしてみましたのでご参照下さい。下落トレンドで上がりそうもない株こそ実は私の興味の対象なのです。投資のベストタイミングかどうかは皆さんでご吟味願えれば幸いです。


1.100分割後800円台前半で推移するエムティーアイ(9438)

 本年3月に100分割を実施。時価849円は時価総額113.5億円の水準。自社株を除いた時価総額は110億円で過去数年の中では低い水準に位置しています。
 同社は携帯モバイルコンテンツの大手として上場来成長指向を貫いています。スマホ向け有料会員数でトップクラス。フィーチャーホン(これまでの携帯電 話)の会員数が減少しスマホ会員が増加していて、会員の入れ替えが続く中、業績は2011年9月期をピークに停滞。2012年9月期に大きくダウンした利 益は今期もプロモーションコストの増加を背景に更に減少を見込んでいます。

 フィーチャーホンからスマホへの切り替え期に当たりモバイル会員獲得に向けた広告費の増加がなおも業績の伸びを妨げています。
 ただ、既に会員の純増が見られ、スマホ会員数の拡大(2Qで過半数を超えてきた)で業績が来期以降上向く可能性が出てきたと考えられます。
 一流の証券会社である野村証券とその系列のいちよし証券がレーティングを引下げたこともあってここ半年間の株価は頭重くなっています。アナリストはプロ モーション費用の増加による収益の低迷を読んでレポートしたものと見られ、実際にそうなることを会社側が発表しましたのでさすがだと思いましたが、実際に は800円を割れないままで推移しています。

 株価は時折、900円を上回る水準まで上昇しますが、そこから上にはいかない展開です。ただ、下値も800円割れ寸前で留まっています。

 今期の一株配当金は9月末40円配当を20円に減配します。時価849円は配当利回り2.3%の水準です。キャピタルゲイン狙いではなく配当利回り狙い が同社の現状の投資のモノサシになっていますので上値を追わずにじっくりと投資する投資家向きの銘柄です。業績はプロモーション費用が上期に出て、会員数 が予定通り増加している現状から、下期はプロモーション費用を抑制し収益の向上を図る予定です。

 同社の有料会員数のピークは2011年3月の973万人でした。そこからフィーチャーホン会員の減少で2012年6月に804万人まで減少。その後は四 半期ベースで徐々に回復傾向が見えてきました。2012年12月では816万人(うちスマホは367万人)、第2四半期では総会員数826万人(スマホ 426万人)となっています。スマホの比率は2011年3月の1.2%から2012年12月には45%、2013年3月末では51%へと拡大しています。 会員増強に向けた広告費投入で更にスマホの比率が拡大してくると見られます。

 とくにまだアイフォンの比率が9%と低いため今後の拡大余地が高いと考えられます。有利子負債は1億円以下で、財務内容は良好。映像コンテンツ配信など の成長分野への取り組みのためビデオマーケット社と提携するなど、新成長戦略が今後の期待材料にもなると思われます。今期の業績の下方修正発表後比較的株 価の下落は少なかったですが、基本的には800円から900円の株価ゾーンでの推移が見られますが、来期以降のスマホの伸びと新コンテンツの寄与から収益 向上の期待も高まり、下値を固めてから再び上昇トレンドに入る可能性も秘めているように思われます。


2.イマジカロボットホールディングス(6879)

 同社は高速カメラの製造販売を行うフォトロンを傘下に持つ映像制作企業。昔の東洋現像所と言えばご存じの方が多いでしょう。米コダックの日本での総販売 代理店であった東洋現像所は長瀬産業との関係の深い企業で、同社の長瀬社長もそうした流れを汲む経営者だと推察されます。
 同社は2011年4月に上場子会社フォトロンを吸収合併して映像制作会社を主体にした上場企業として生まれ変わりました。アナログからデジタルへの移行 が進展する中、アナログフィルムの縮小のマイナスが業績の伸びを抑えていて、それが株価の頭を抑えている格好。ただ年15円配当を実施していて株価の下支 えになっていますので300円(配当利回り5%)までの下落はないままに推移。上値は370円、下値は320円というボックス相場が続いている状況です。
 元来は経常利益30億円を稼げる企業だが、アナログフィルムの加工事業が落ち込むことが顕著で減損特損が拡大するため、2013年3月期は経常利益、当 期利益ともに下振れしましたが、期中に修正した数値は上回って終わりました。今期はそうした減損処理も終わり、デジタルシネマ向けなど映像制作事業の回復 を期待。経常利益は22億円(前期は20億円余り)へと拡大が見込まれます。
 今期は話題の3Dプロジェクションマッピング技術をテコにイベント受注などの拡大も期待されます。有料放送も視聴者増で赤字幅が縮減も想定されます。
 昨年の12月に自社株(515万株)を用いた公募増資285万株(公募価格355円)と第3者割当増資24万8700株を実施。10億円を調達し映像技術サービスの設備資金に充当しています。
 事業内容は比較的派手なものの、会社の知名度は低い。外国人にもそれほど知られていないのか外国人の持ち株比率が低いために上場メリットを享受していない。
 期末BPSは583円で時価(366円)PBRは0.63倍。
 財務内容は良好。現預金は91億円と豊富で有利子負債を大きく上回っています。
 今期以降の成長戦略が更に描ければ株価も配当利回りベースから変化してくるものと期待されます。


3.LTE関連で活躍が期待されながら業績が浮上しないアルチザネットワークス(6778)

 長期の株価低落傾向がいまだに続いている銘柄が同社です。同社は通信計測機器の開発業者でモバイル基地局や交換機向けが主となる企業です。LTE関連で 期待されながらNTTドコモの設備投資先送りで業績は一向に良くならず、今7月期も赤字に転落。期初に黒字を予想していたが、期中に修正したため株価は下 落傾向を辿っています。
 同社の上場は2001年7月。その後の2002年2月にITベンチャーバブルの波に乗って58万6000円という高値をつけました。その後は2003年 にかけて下落。5万円程度まで下落しましたが2004年にかけて20万円台半ばまで上昇。その後は直近の全体相場上昇の中でも下落傾向が続いています。 2008年12月の安値20210円が上場来安値。時価は3万円前後で直近ボトムは2.7万円。ボトムからは多少戻りつつありますが、なおも上昇傾向には 至っていません。
 17億円程度の現預金を持っていますのですぐにどうなるということはありませんが、赤字の継続が投資家の不信感をかっての株価低迷と見られます。赤字で も人気のバイオベンチャーのようなシナリオが描ければ一気によみがえる銘柄と見られますが、なかなかきっかけがつかめません。基本は業績の黒字化ですが、 NTTドコモによるLTE投資の積極化がないと浮上は難しいのかも知れませんが需給が変わると変化の余地があります。既に来期業績の動向に関心が移ってい るようで、先般久々に3.5万円まで戻ってきましたが、またすぐに3万円割れを演じるなど、まだまだ低迷続きの状況が見られます。


4.3月に上場したアサンテ(6073)株が好業績なのに公募価格を下回る訳

 シロアリ駆除サービスの大手企業として3月19日に東証2部に上場。公募価格930円に対して初値は1034円でまあまあの水準でしたが残念ながらその 後の株価は低迷状態。業態がシロアリ駆除サービスというイメージの悪さが手伝って成長企業の印象がないことが株価低迷の背景。
 一般住宅に巣食うシロアリを駆除するサービスだけではなくネズミやダニなどの害虫駆除サービスも手掛けるほか、住宅の耐震化など家屋補強や基礎補修を手掛けている企業ですが、イメージは上場がゴールとなるなどと掲示板でも囁かれるほどそれほど良くはない。
 結果として株価は800円そこそこまで下がったのだが、先日はようやく株価が1000円の水準まで戻り、いよいよ上昇トレンド入りかと思われましたが、 残念ながらその後意外にも急落。高値1010円から846円まで一気に2日間で16%下落してしまいました。2013年3月期の業績を5月14日に発表 し、比較的良かったので一旦は株価が上昇したのですが、予想外に下落をしてしまいました。
 前期業績は売上高120億79百万円、経常利益21億35百万円、EPSは114.4円でしたが、今期も売上高130億40百万円、経常利益23億44 百万円(EPS110.1円)と増収増益を見込んでいます。同社は毎期8%の増収を目指しており、2016年3月期は売上157億円、経常利益30億円を 目標にしています。同社のROEは20%と高く資本の効率性が高いため、成長性よりも収益性への評価が先に高まりそうな感触です。

 認知までの時間はかかりますが、今後徐々に評価が高まるものと見られます。まだ認知度が低い状態で投資家の評価も低いのが株価低迷の背景にもなっていま す。同社では最近、TVCMを積極的に行うなど企業の認知度向上を図っています。ダスキンも直近になってシロアリ駆除サービス分野に参入し、TVCMを流 していますが、競合激化という不安よりも業界認知度の向上メリットが高いと思われます。
 時価897円はPER8.1倍。予想配当金22円で配当利回りは2.45%となっています。
 なお、同社は上場後初の決算説明会を5月24日に開催します。もちろん私も出席する予定です。サニックスの宗政社長とアサンテの宗政社長は兄弟。私の故郷である佐賀県伊万里市の出身であるのも興味のあるところです。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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