スタジオジブリをグループに入れたとの報道で日本テレビHD(9404)が一気に株価が1675円台まで急騰を演じました。
日本の中には後継者難で悩む企業が多く、それをキャッシュリッチな企業が買い取って自らも成長を図ろうとする事例が見られます。
食品ではヨシムラFHD(2884)がその典型ですが、以下取り上げる日創プロニティ(3440)もその典型企業だと言えます。
小規模ながらM&A型の投資で事業規模拡大を図り成長を目指す日創プロニティが8月配当落ちしてから株価は900円割れを演じた後、下値模索が続いています。
10月13日(金)に8月本決算を発表予定でその翌週の18日に日本証券アナリスト協会にて決算説明会を開催予定。ここではPBR1倍割れの現状に対して熱いメッセージを発信するものと期待されます。
同社株は年初から上昇トレンドを辿り直近高値は7月31日の1011円、8月18日の1003円。これに対して8月29日の配当落ち前の終値は970円となり、943円から1011円の高値圏での推移が続いてきました。
ところが配当落ちした8月30日以降の株価は9月22日の安値840円まで調整の動き。配当落ちを契機に久々の調整場面を迎えた格好ですが、ここからの展開はM&Aによる事業規模の拡大をどう見るべきかによります。
過去の同社のチャートからは一旦の上昇相場終焉と映りますが果たしてどうなりますか?
その答えは10月13日の決算発表内容、その後の説明会時のメッセージによります。
現在はその発表までの空白期間となり、換金売りに押され気味ではありますが、3Qまでの業績進捗に対しての通期業績見通しが比較的慎重だったため上方修正の可能性を踏まえて下振れは考えにくいかと見られます。
M&Aは相手企業の決算期中に実施したらその期間分しか決算に反映されません。同社の場合は一気に3社(子会社含めて5社)が前期中にグループ化されましたが、そのうちの2社(子会社2社を含めると4社)は5か月分の寄与。もう1社は2か月分の寄与ですので前期の業績(営業利益段階まで)寄与は限定的で、本格的には今期から売上、営業利益ともフルに寄与する予定ですので今期も業績は大きく伸びることになりそうです。
しかもその前の前々期にM&Aでグループ入りした企業の受注が急拡大しており、その業績貢献が今期から期待されます。このため、今期もM&A効果がフルに寄与するため増収増益が見込まれることになります。
業績に絶対はないですが、下振れする要因よりは上振れする可能性の方が高いと考えられます。しかも同社の場合は国内生産オンリーで、中国には一切関わってこなかった点がポジティブに評価されます。
工場は福岡と福島。それにグループ入りした天神製作所は宮崎と千歳に工場があります。ドメスティックオンリーの企業は今どき珍しい。
単に工場に機械設備を並べているだけじゃないかと揶揄する向きもありますが、かつてのソーラー架台で3期間に50億円も利益を上げた経験値を持つ同社のフットワークの軽さを軽んじることはないかと思われます。
決算発表まで立会日数で残り10日余り。発表後の株価は引続き、割安感が伴うと想定されます。時価872円のPBRは0.5倍と依然低水準。記念配を含む30円配当が今期どうなるかは不透明ながら派手さはないとしても好条件のM&Aは今期以降も継続されるため有利子負債は77億円(短期34.6億円、長期42.5億円)と増加してはいるが、一方でキャッシュも82億円、投資有価証券1億円と潤沢で、スケールアップが継続するものと期待されます。
昨年は10月14日に上方修正を伴う本決算の発表があり、その前段で株価は上振れしましたが、今年は果たしてどうなりますか。
(炎)
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